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勝負の前の日だった。
ピアノの練習を終えると、スマホに黄喜から着信が入っていた。
かけなおすと、すぐに黄喜が出た。
「もしもし?着信あったみたいだけど、なんかあったのか?」[う、うん。あのさ。明日って、なんか予定ある?]「ある。」
きっぱり即答した。
[ちなみに、何か聞いていい?]「……ごめん、言えない。」[そっか。まぁ、そういうこともあるよね。ごめん。あの……………返事待ってるね。]
黄喜はそう言って電話を切った。
「うーん……」
突然過ぎて先延ばしにしているけど、いざ考えるとなると少しやりにくくて考えることをつい放棄してしまう。どうしようかな…………?
「先生、あの………勝ちはどっちですか?」「悩むわねぇ……どっちもすごかったのよねぇ……」
校長先生は本当に悩んだような顔をしてから、何か思いついたような顔をしていった。
「あ、そうね、後に聞いたほうが、オシャレでグッと来たわね。前に聞いて方もすごく良かったわ〜。とっても長くていろいろなフレーズがあってよかったけど。」
えっ、そういうことは……?
「後攻のほうが、勝ちってことですか……?」
青野君は少し驚いたように言った。
「そうなるわねぇ……先攻もよかったけどねぇ!」
校長先生は苦笑いをした。
よく漫画とかで見たけど、こういう勝負系って引き分けとかそういうのがよくあるけど…………
じゃあ、結局私はピアノを続けるって事になる?
それってつまり……
「葵?」「…!!」
後ろを振り返ると、黄喜が驚いたような顔でこっちを見ていた。
「黄喜…。」「音楽室…?音楽室に行ってたの?用事って音楽室でやってたことなの?」「……………」「そっか。言えないんだっけ。………ごめん。」
黄喜は後ろを向いて早歩きで去っていった。
ガラガラガラッ
「青野君、さっきの子って…黄喜ちゃん?」「桃野か。そうだぞ。」「やっぱり……。なんかあったの?」「…………」「図星かぁ。私でよければ話聞くよ?帰っても暇だし。」「そうか……。」
「やっぱり、そうだったんだ。」「やっぱりって……お前、知ってんのか?」「ごめん。この前青野君、黄喜ちゃんに屋上に呼び出されてたでしょ?気になっちゃって……。屋上で黄喜ちゃんが青野君に話を持ちかけてきたところで帰ったけど。次の日もなんか気まずい感じだったし。なんとなく予想はついてたけど。」「……そうか。」「返事、迷ってるんでしょ?どうして?」「……………」
青野君は少し顔を曇らせた。
クラスのみんなの話によれば2人は幼馴染らしいし仲もいいし…違和感はないはず…………な気もする。
どうしてだろう?
私は少し疑惑を持った。