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ある意味オレは日常に退屈していたのかもしれない―――
日常生活において命の危険を感じることは中々ない。
魔法という未知の武器を使って、獲物を仕留めようとする魔物。
オレはそんな魔物と真剣勝負をしている。
リアルを感じている―――、とても興奮している。
今日、オレは魔法という未知の存在を知ることが出来た―――
感謝する―――
猿共が木々の上から一面が燃えている様を観察していた。
それから一分ほど経ったころ、4匹の猿共が魔法で一面の炎を消火し始めた。
4匹の猿共が木から降りてきて黒焦げになった”モノ”に近づき始めた。
一匹のサルがそれに触ったとき、その猿が違和感に気付いた。
黒焦げのそれはボロボロと音を立てて脆く崩れ去った。
それは人間ではないことに気付く。
「キィ?」
これは何だ?猿はそう思った。
その瞬間、地面から手を伸ばし、猿の足を握った。
「キィィィ!」
その猿の心臓をナイフで刺して絶命させた。
「まずは一匹!」
進は生きていた。
猿共を油断させる為、敢えて燃えたフリをして、地面に穴をあけ潜んでいた。
猿が確認した黒こげの存在は進が収納のスキルで用意した木だった。
ちょうど自分と同じ位の身の丈の大木に土を掛けて、分かりづらくする細工を施していた。
「人間様を舐めるなよ!」
進は、不敵な笑みを浮かべて猿共に近寄る。
「売れるかと思って入れておいた木材が役に立ったな。」
「お前たちの火球が一斉に進の元に放たれた瞬間、収納のスキルで地面の土を抉り、地面に隠れたんだよ。」
地面に隠れたのはいいが、結局ダメージ自体はかなり大きいから、長期戦は避けたいものだ。
さっき猿の数は確認したが全部で12匹。
さっき火球を放ったのが8匹で、消火したのが4匹か。
猿共が動揺している隙に進は、一気に間合いを取り、攻撃を仕掛ける。
「次はお前だ!」
猿の顔面に右のストレートで殴り、吹き飛ぶサルの足を掴みそのまま、地面に頭を打ち付ける。
「キィィイイィ!」
猿の甲高い断末魔が森の中に響いた。
「2匹目っ!!」
進は猿共にゆっくりと近づいて行った。
猿共は進のその強さにたじろぎ、後ろにジリジリと後退していく。
魔法を主体にしている猿共に進の攻撃を防ぐ手段はない。
進のスピードに猿共は付いてこれず、下にいた残りの猿共の心臓をナイフでそれぞれ突き刺し、殺した。
「レベルが上がりました」
オレの脳内でレベルアップを知らせる声が聞こえた。
さらに声は続いていた。
スキル《白魔法》を習得しました。
名前:天童進(てんどうすすむ)
種族:人間
性別:男
Lv.17
クラス:なし
◆パラメータ◆
体力:86
筋力:100
魔力:124
物理抵抗力:92
魔力抵抗力:97
精神力:94
器用さ:102
素早さ:99
◆装備◆
武器:錆びたナイフ(+5)
防具:学生服(+0)
◆アクティブスキル◆
《鑑定Lv.3》《収納Lv.2》《格闘術Lv.5》《高速演算Lv.5》《料理Lv.5》《魔力制御Lv.1》《挑発Lv.2》《短剣Lv.2》《気配察知Lv.2》《白魔法Lv.1》
◆パッシブスキル◆
《異世界語翻訳》
◆称号◆
異世界の天才児
白魔法?ついにオレも魔法を使えるのか。
戦闘中にも関わらず、テンションが上がる。
魔法を自分が受けたことで魔法を習得したのか。
早速使ってみよう。
進は、使ったこともないのにその《白魔法》の使い方が分かるようになっていた。
口から自然と詠唱呪文が出てくる。
「白魔法:ライトボール!」
手の上に光の玉が出てきて、それを木の上の猿に目掛けて放った。
「キィキ!?」
猿は驚いたようにその光の玉を受け、吹っ飛ばされた。
「これでこっちも飛び道具ができたわけか。」
残りの猿共は素早くまた臨戦態勢に戻り、一斉に火球を放とうとした。
「そうはさせるかよ」
今度は詠唱をすることなく、頭の中で魔法をイメージする。
天童 進―――、その類いまれなる戦闘センスで早くも魔法の真髄に片足を突っ込む。
しかし、本人はまだそのことを知らない。
「白魔法:ライトバインド!」
猿共の体の周りに光の輪を出現させ、縛り上げた。
なるほど、呪文は詠唱しなくても発動できるようだ。
「魔力制御のスキルレベルが上がりました」
脳内に声が響いた。
どうやら魔力制御のレベルが2に上がったようだ。
全ての猿が拘束され木の上から落ちてきた。
進はその猿共に近づいた。
「さっきの火球は痛かったぜ。覚悟しろよ」
猿共を一匹ずつ殺していった。
最後の一匹を殺したときにレベルアップを知らせる声がまた聞こえた。
魔力制御だけでなく、短剣のレベルも上がったのか。
オレがステータスを確認していると最初に殺したハズの猿が辛うじて生きていて、火球を放ってこようとした。
それに気づいて対応をしようとしたが間に合わないと悟る。
その瞬間、
「おりゃぁぁぁ!」
誰かの鋭い一閃が猿の脳天を切り裂いた。
「ッーーー!?」
そこにいたのは進の知らない異世界人。