また今日も自分の体の傷を増やす。
” シュッ、シュッ、シュッ “と聞き飽きたような音を立てて、また、” シュッ、シュッ、シュッ “… と…。自分の手首をカッターで切る。ポタポタと床に音を立てながら落ちていく血も今じゃもう毎日のように見ている光景。でも、それでもまだ切り続ける。貧血になって倒れるまで。何度も何度も切り続ける。フラフラになって倒れるまで。天国のような時間。決して地獄ではない。たまに” ズキッ “と痛くなるけどやめない。やめれない。この時間が一番生きてるって感じがするから。
誰も見ないでほしい…こんな汚い自分。
だけど、少し疲れちゃって…それでも頑張り続けないといけない…。
それが、また疲れて…もう、何もかもわかんない…死にたいな…誰か…助けてよ…誰か…この檻から俺を救って…助けて…誰か…
そこで俺の意識は途絶えた
ーーー
次に気づいた時、俺は倒れていた。手には無数の切り後。あぁ、またやっちゃったな、…今回は薬…飲んでないけど寝れてる…それと…まだ死んでないんだなって…って考えながらぼーっと天井を見上げる。
最近まともに寝れてない…寝ようとしても昔のことを思い出してしまって寝付けない…でも、そんなでも包帯を巻いて、傷口が見えないようにして、先輩、後輩、メンバー達と会う、昔の自分からしたら大きな進歩、みんなにバレないようにしなきゃな…それから、いつものセラフでいなきゃ…俺は、俺は…、
…そこまで考えるといつもの俺じゃいれなくなるから…仕事のことを考えて起き上がって準備をし始めた。今日は珍しく半袖で撮影するって凪ちゃんが言ってたからコンシーラーで隈とリスカの跡を誤魔化して撮影へ向かおう。
「行ってきます」
” いってらっしゃい “なんて聞こえるはずないのにな…今日も頑張ろう、3人のために…それから…自分の自傷のために……。
ーーー
「ぁ痛っ」
「もー、せらぁ、何ボーっとしてんの?」
「うぅっ…奏斗そんなデコピンしなくてもいいじゃん…」
「何回も声かけたのにお前が反応しないからデコピンしたんでしょ!」
「うぅっ、ごめんってぇ〜」
「…んで、珍しいね、どしたの?なんか考え事?」
「んーん、なんでもない」
奏斗にへらりと笑ってみせるとぽすんと頭を撫でられた、頼ってね…なんて言えるわけない、リスカのせい、睡眠不足のせいのこと、仲間に本当のことを話せない…こんな俺なんて生きてる意味あるのかな。
ヴォルタのメンバーとしている意味は…?何かあるのか…?もうわかんないや…また今日もエゴサして、リスカするんだろうな…なんて…
今日も誰も俺がリスカしてるなんて知らないままで終わるんだろう、いいんだ…ずっとこのままでいいんだ
『撮影しますんで入ってきてください』
「……はーい。」
そんなことを考えているとスタッフさんに撮影すると呼びかけられた、ゆっくり立ち上がって重い足取りでスタジオに向かう、この時の俺はこの後、最悪の事態になるなんて思ってもいなかった。