テラーノベル
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運命の夜明から明けた、翌日の午後。
米花町にある歴史ある時計塔の隠し部屋で、密室殺人事件が発生した。通報を受けて真っ先に駆けつけた目暮警部は、現場の凄惨さと、残された奇妙な暗号を前に頭を抱えていた。
「うーむ……被害者は鍵のかかった部屋で絶命、窓もすべて内側から施錠されている。おまけに壁には血で書かれた謎の数字……。これはまた、厄介な事件に関わってしまったわい」
「――お待たせしました、目暮警部!」
聞き馴染みのある自信に満ちた声に、目暮警部はパッと顔を上げた。
「おお、工藤くん! 待っておったよ、君の鋭い推理でこの難事件を――」
言いかけた目暮警部の言葉が、不自然にピタリと止まった。入ってきた新一のすぐ後ろから、全く同じ顔、同じ体格をした、見覚えのない少年が飄々とした足取りで続いて入ってきたからだ。
「……ん? んんん!?」
目暮警部は何度も目をこすり、新一と、その後ろの少年を交互に見つめた。
髪型や服装の雰囲気にわずかな違いはあるものの、顔のパーツや骨格、佇まいは、鏡に映した工藤新一そのものだった。
「工藤くん……いや、工藤くんが……2人いるぞ……!?」
目暮警部はあまりの衝撃に帽子を落としそうになり、周囲の鑑識官たちも一斉に作業を止めて、信じられないものを見る目で二人を凝視した。現場が一時、パニックに陥る。
「あ、紹介します警部。こいつは俺の双子の弟で、工藤翔です。色々事情があって隠してましたけど、今日から俺の相棒(アシスタント)として連れてきました」
新一がニカッと笑って翔の肩を叩く。翔は落とした目暮警部の帽子をサッと拾い上げ、手品のように鮮やかな手つきで警部の頭へと戻した。
「初めまして、目暮警部。如月……じゃなくて、工藤翔です。兄貴の足引っ張らないように頑張るんで、よろしくどうぞ?」
不敵でいてどこか愛嬌のある翔の挨拶に、目暮警部は口をパクパクさせながら
「あ、ああ、よろしく……って、双子ぉ!?」
とようやく叫んだ。 驚く警察陣をよそに、二人の「工藤」は同時に事件現場の調査へと移った。 新一が遺体や室内の状況を鋭い目で見分ければ、翔は部屋全体の構造や、家具の配置、そして壁に残された血の暗号を凝視する。そのシンクロした動きは、見ている者たちを圧倒した。
「新一兄ちゃん。この密室、物理的なトリックじゃないね。家具の擦り傷と床のワックスの剥がれ方を見てよ」
翔が床の一点を指差す。怪盗CATとして数々の現場に潜入し、建物の構造や死角を知り尽くしている翔ならではの着眼点だった。
「……なるほどな。犯人は最初からこの部屋の中に隠れていて、被害者が入ってきた後に犯行に及んだ。そして、警察が駆けつけた直後の『あのドタバタ』に乗じて、密室の外へ脱出したんだ」
新一が翔の意図を瞬時に汲み取り、ニヤリと笑う。二人の頭脳が、まるで最初から一つの生き物だったかのように完璧に噛み合っていく。
「壁の数字の暗号も解けたよ、警部」
翔が壁の血文字を指さし、工藤の血筋らしい明晰な口調で解説を始めた。
「これは時計の文字盤を反転させた暗号だ。被害者が死に際に残したダイイングメッセージじゃない。犯人が僕たちを混乱させるために、わざわざ『探偵の思考』を誘導しようと仕掛けたミスディレクション(目くらまし)さ」
「な、なんだって……!?」
「つまり、犯人は……今もまだ、この時計塔の敷地内にいる。警察の目を欺いて、優雅に逃走経路を探している真っ最中、ってわけだ」
新一が翔の言葉を引き継ぎ、目暮警部に向かって強く言い放った。
「工藤くんたち……君たちの言う通りなら、犯人はまだ近くに……!」
「警部、すぐに全館の出入り口を封鎖してください! 特徴は、床のワックスが靴底に付着していて、左腕に妙な擦り傷がある人物だ!」
新一と翔、二人の声が綺麗に重なる。 目暮警部は二人の圧倒的な知性と威圧感に気圧され、
「よ、よし! 貴様ら、工藤くんたちの指示通り、ただちに不審者を確保するんだ!」
と叫んで現場の警察官を動かした。 慌ただしく動く警察の背中を見送りながら、新一と翔は顔を見合わせ、お互いに不敵な笑みを浮かべた。
「やるじゃん、翔。初陣にしては上出来だ」
「新一兄ちゃんこそ。僕の言いたいことを、一言でそこまで理解してくれるなんてさ。やっぱり最高の相棒だよ」
光の探偵と、影を抜けたもう一人の天才。 二人の工藤が並び立ったとき、この世に解けない謎など存在しない。最強の双子探偵バディとしての第一歩が、華々しく踏み出されたのだった。
#まじっく快斗 # 名探偵コナン
pr様_@
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コメント
1件
あらためて読んだけど、この双子設定めちゃくちゃ面白いね! 新一が「双子の弟・翔」を連れてくる衝撃の導入から、二人の連携プレイが鮮やかでワクワクしたよ。特に翔が床の擦り傷やワックスの剥がれ方を見抜く場面、怪盗として培った観察眼が生きててカッコよかった。壁の暗号を「探偵の思考を誘導するミスディレクション」と見破るのも拍子もの。これからの双子バディ、要注目だね!