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「涼しかったな」
「雨で気温も下がったみたいだね」
「何買ったの?」
「ラーメン。キヨくんは?」
「俺もラーメン」
「被るなよ」
コンビニから戻った俺たちは、リビングのテーブルに向かい合う形で座った。ケトルでお湯を沸かしている間に風呂の準備をする。といっても、タオルを用意したりパジャマを置いたりするだけだけど。
蒸し暑いな、なんて言いながらラーメンを食べる。誰かと食べる夜ご飯なんて久しぶりだった。
「キヨくん」
「ん?」
「今日はゲームしようよ」
「いいね、俺何も持ってきてないし」
夕飯の後は俺の部屋で二人でゲームをした。俺には兄弟なんていなかったし、こんなふうに誰かとゲームするっていいな…ってそう思った。弟とか、兄とか、そんな存在がいたら…
「…家族みたい」
「え?」
あ、声出てた?
「あ、いや、俺さ! 親も家にいること少ないじゃん?兄弟もいないし…だからキヨくんとこうしてるの、家族みたいで楽しいなって思って…」
「レトさん…」
「さっきも言ったけど、気にしないでいいよ、慣れてるから」
「そっか…」
そんな俺の言葉が何を思わせたのか、俺にはあんまり理解できなかったけれど、キヨくんの予想もしない行動に俺はただされるがままだった。
気づくと俺はキヨくんの腕の中にいて、その髪からは俺と同じシャンプーの匂いがした。
「キヨくん…?」
俺の声を聞いてその腕に力が入る。
「ずっと思ってたけど…レトさん、無理しなくていいよ」
「何の話…」
「寂しいんだろ?そんなふうに言うなんてさ」
俺の心を見透かしたようなセリフ。だからってそれを表に出すことはできない。迷惑になっちゃうから。
「そんなことない」
「本当に?」
「うん」
「俺を頼ればいいじゃん。レトさんの家族じゃないけど、なにかの縁だと思わない?」
不安のはけ口が今までなかったとは言わないけれど、一人でやってきたんだ。今までも、そしてこれからもそう。
「会ったばっかりでこんな事言うのもおかしいと思われるけどさ…」
「ん?」
「なんか、ほっとけなくて、守りたくなる」
昨日まで全く知らなかった人なのに、なんでこんな感情になるんだろう。
溜め込んでいたものが溢れるような、そんな感覚。
気づいたら俺はこの人の胸の中でポロポロと涙を流していた。
To Be Continued…