サイド ユメ
あたくしは屋上から飛び降りました。
「おっと、危ないなぁ」
「?!えっ?!!」
体に強い衝撃を受けると思い、用意していましたのに、なぜ、男の人があたくしの腕を掴んでますの?!
「タエの計算と違うとこに落ちたらと、こっちが困るんだよね〜」
しかも、オレンジ色のTシャツを着た彼は、明らかに未成年で、この学校の関係者ではありませんわよね?!
……って、今は、そんなことどうでもいいですわ!
「は、離してくださいませんこと?!」
「うん。俺の腕、ユメちゃんの体支えられるくらい強くないから」
「へっ?」
なぜ、あたくしの名前を、知っているんですの?なぜ、ここにきているんですの?なぜ──────?
そんな疑問は次の瞬間、頭から吹っ飛びました。
彼は腕を離したからです。そりゃパッって音が聞こえたくらい、堂々と。
「っ……!!」
覚悟したはずなのに。心を決めたはずなのに。
どうして、こんなにも、怖いんですの?!
あたくしは小さい頃の幸せな思い出に包まれながら、体を地面に叩きつけられました。
………………って、あれ?
痛く、ない……?
「本当にここに落ちてきた……!」
「さすがだな、タエの計算は」
「ううん、私なんてまだまだだよ……」
「レンもすげぇな!こんなの作れるなんて!」
「いえ!皆さんの協力のおかげです!!」
「ユメちゃん、昨日ぶりだね」
周りには、ありったけの段ボールと、レン、トキを含めたカラフルな帽子をかぶった男女六人があたくしを覗きこんでいました。
…………この方々が、レンが考えてた『モンダイジ団』なんですの?
「ユメ、オレもユメと同じようにこの世界が嫌いだ」
かぶっていた帽子を外して、レンはあたくしの瞳を真っ直ぐ見つめる。
「だけど、こうして今を全力で生きてる」
「少し長くなるけど、オレの話、聞いて欲しいんだ」
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