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《迅速にして精密なる算盤の誤算》
「…….ぐぅッ ………!!!!」
ナイト•クラウンは剣を腕ごと切り落とされた。
すでにナイト•クラウンの左足のアキレス健は剣で断たれていた。
ルークの腕を切り落とした後ルークが動けぬよう足で押さえつけながら懐中時計を見て、自分 の計画に狂いがないかを確認した。
(……問題ない。私が育て上げた部下達が 今頃ロカにトドメを刺していることだろう。)
そうやってルークは女王ロカの死をこの目で
確認するためにその場を去ろうとした。
その時だった。
ドクンッ…..ドッ….クン……とルークの心臓が硬直した。
この症状を【バルザード十二世毒殺事件】
の首謀者であるルーク•グリッツファーは
良く知っていた。
(……..これは……..マカロンの毒か……..?)
そう、それはマカロンの血に含まれる劇毒で
あった。
女王ロカはマカロンを殺害した後マカロンの
血をマニキュアのように塗っていた。
勿論、より確実にルークを抹殺するためである。
ルークの敗因はほんの数ミリだけ、復讐鬼ロカ の執念を見誤ったことである。
(……いや、違うな……。.私はそもそも……『悪政のロカ』と直接対峙するべきでは…..なかった。……..そして、あの女に 出会った時に…..合理的に….まっさきに…..殺すべき…..だったのか……..。)
そう、ルーク•シトルツファーは判断を見誤ったのだ。ロカの敗因が真っ先にルークを始末しなかったことなら、ルークの敗因は、真っ先に 始末しなかったことであった。
それでも、ルークは王の理想のため、
最後まで決して思考を止めなかった。
ルークは思考を続ける常に政治の業務に追われ 思考を加速させ続けた《シトラス王国の頭脳》はその脳細胞の酸素が完全に無くなるまで思考を止めなかった。
(今までの毒殺された死体の研究記録から推察するに残された時間は三十秒……..助かる見込みは……,ゼロ……か。)
ならばと彼は思考を加速させる。
彼は彼の部下達にダイイングメッセージを
残すことにした。
(私…..,の頭脳の……全て……私…….の
記録……,書……,物……….)
薄れ行く視界は、酸欠の苦しさは、死への恐怖は、彼の思考を奪っていった。
ルークは震える手でガラスの義眼を取り出した。
ルークは最後の力をギリギリまで調整しそのガラスを砕いた。
(陛……下…….。)
そして、ルークは最後の力をギリギリまで
振り絞り滴る血をインク代わりにして床に
「Night(異国の言葉で夜)Crown(異国の言葉で王冠)」
と書き記した、その暗号が示す場所は、
親愛なる王
バルザード十二世が眠る墓標の中であった。