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すまない先生→す Mr.赤ちゃん→緑 Mr.ブラック→黒 Mr.銀さん→銀 Mr.レッド→赤 Mr.ブルー→青Mr.バナナ→黄 Mr.マネー→金
『*ようこそ、青の世界へ*』
そう書かれた看板を見て赤ちゃんが喜びの声を上げる
緑「やったー!水族館だぜー!!」
す「水族館に来るのは久しぶりだなぁ!」
赤「今日は授業がなくて水族館に行けるなんて最高だぜ」
すまないスクールのメンバーは個々に喜びの声を上げた。
今日は「遠足」で、皆で水族館に来たのだ
休日は恐ろしく混む水族館でも、今日は平日の水曜日。だから人はそこまで混んでいない
黒「さ、寒いので早く中に入りましょう」
黄「そうだな」
金「はぁぁっ!水族館にはどんな高級魚がいるのだぁ?」
黒「水族館なんで高級魚はいなさそうですけどね」
金「そうか…」
す「皆〜!チケット買ったから入るよ〜!」
皆は自由におしゃべりをしていたが、すまない先生の呼びかけで話すのを止めた
全「はーーい!」
8人は青の世界へと足を踏み出していった
全「おぉ~!!」
全員が思わず声を上げた。この水族館は世界でも最大級の大きさで有名な水族館なのだ
人間の何倍も大きい水槽。透き通っていてまるで海にいるかのように感じさせる雰囲気。美しい水槽で優雅に泳ぐ魚達…。全てが幻想的な空間になっている。
水族館のゲートをくぐれば、外の世界とは反対の世界の様な雰囲気に包まれる
視界は青一色に染まり返った
8人はその幻想的な空間を見るや否やすぐにそれぞれ興味を持った水槽に向かっていった
銀「すっげぇ…めっちゃデカいなこの水槽…」
「俺もこんなすげぇ物作れたらな…」
銀さんが向かったのはゲート付近の少し大きな水槽
目の前に広がるのは、まるで宝石箱をひっくり返したような景色だった。色とりどりのサンゴ礁が、水底で淡い光を放ちながらゆらゆらと揺れている。その間を、原色の鱗を輝かせた熱帯魚たちが、光の粒のようにすり抜けていった
銀「すっごく綺麗だな…本当に宝石箱みたいに…」
銀さんの意識はその光景だけに向けられた。ずっと、ずーっと眺めていたものだからこの場所を動き出すのに…数十分かかった
緑「でけぇぇぇぇぇぇぇ!!」
大声ではしゃぎガラスに顔をびたーっとつける赤ちゃん。やはりガラスに近づいて見たほうがより海にいるような感覚になる。本当の海のような無音の世界がガラス越しに続いている気がしてくる
緑「こんなにでかい水槽は初めてだぜ…!」
赤ちゃんが熱心に眺めているのは、水族館中央にある一番でかい水槽
緑「おっ!あのお魚さん達すげぇ!」
赤ちゃんが驚きの声を上げた先にいたのは数えきれないほどの魚たちが作り出す巨大な銀色の渦だった。一匹一匹の鱗が光を反射して、まるで星のごとく輝いていた
金「赤ちゃんはいつまで経っても赤ちゃんだな!」「こんな魚ごときではしゃぐとは!」
はぁぁぁぁっ!と、マネーは腕を組み見下したような姿勢をとる
黄「いやお前も随分はしゃいでいるだろう」
バナナに鋭いツッコミをされたマネー。バナナの言う通り、マネーも赤ちゃんほどではないが水族館を楽しんでいた
金「…………」
黄「図星だな」
バナナの正論という名のナイフを突きつけられて、マネーはぐうの音もでなくなった
緑「お~いMr.マネー!バナナ!こっち来いよ!」
「エイだぜエイ!うわぁっ!こっちにはマンタも!」
次から次へと水槽を回ってははしゃぐ赤ちゃん。そんな赤ちゃんの子供らしい可愛い姿を見て、笑みをこぼさずにはいられなかった。だけど一人でスタコラサッサっとあちこちに行く赤ちゃんを見て、
黄「僕たちは保育士か…Mr.赤ちゃんを放っておいたらすぐ迷子になるぞ…」とバナナは呆れたように言った
金「たまには良いではないか!俺達も全力で楽しむぞぉ」
そう満面の笑みを浮かべてマネーは赤ちゃんの方へ歩いていった
「Mr.赤ちゃん!一人で何処かへ行くな〜」
黄「赤ちゃん程ではない、と言ったがあいつも実はめちゃくちゃ楽しんでいる…?」そんな疑問がバナナの頭には浮かんだのだった
黒「綺麗ですね…ソーダのゼリーを思い浮かべます」
コポコポと時折泡が弾ける音だけが響く空間。そこに立ってのんびりと眺めているのはMr.ブラックだった
黒「水族館に興味はないと思っていましたが…こんな時間を過ごすのもいいですね」
クラゲは傘の部分を開いて閉じての行動をプログラムされた機械のように繰り返し続ける。しかし堅苦しい動きではなく、ふんわりと空を飛ぶ風船のようにゆったりと。
黒「ミズクラゲですか」「確か刺されてもそこまで痛くはないと聞きました」
頭の上の四つ葉のクローバーみたいな模様を、目を細めてじっと見るブラック
カシャリ、と機械的な音が静かな空間に響いた
黒「この美しいものはカメラに収めないとですね」
「せっかくの遠足ですし、久々に楽しみましょうか」
コツコツとブーツの音を鳴らせて「クラゲの間」を歩き回る
黒「すまない先生達に地図を渡したので迷うことはないでしょう」
約1時間前、ブラックは先生達と別れる時、入り口付近にあった地図を8枚拝借して全員に渡した
ここは最大級の大きさを持つ水族館だから迷わないようにするためだ
黒「私でもこの「クラゲの間」に来る時に迷わせるとは…中々ですね」
このクラゲの間はクラゲだらけの空間。毒のあるクラゲからないクラゲ、大きいものも小さいものも、いろいろな種類のクラゲが集まっている
その数あるクラゲの中で、ブラックが最も興味をそそられたクラゲが左側の水槽で漂っていた
水槽に目を移すと小さい傘に長い触手。一見可愛げがあるが、その裏には超猛毒を隠し持っている不気味さもあった
黒「ハブクラゲ…世界でもトップレベルの毒を持っているクラゲですね」
「この毒を研究すれば薬や劇薬が作れるのでは…?」
薬や劇薬を作る、という作業はIQ200の天才頭脳を持ち合わせているブラックにとっては容易いことだった
黒「いつかはやってみたいですね」
そう呟き、ブラックはクラゲの間を後にした
ブラックが去り、クラゲの間はさらに静まり返った
青「すっげぇ!兄貴、見てみろよ!サメだぜ!」
赤「ほぉ、こんなにでけぇサメがいるのか」
ここは数多くのサメが集められている「サメの回廊」
「回廊」とは、ずっと続いている道みたいなもの。その名の通り「サメの回廊」はぐるりと360°サメに囲まれたような作りになっている
青く光で照らされた道がどこまでも、何処までも続いている様に思わされる
青「おっ!サメがこっち来たぜ!!」
青く薄暗い通路の両脇や頭上を、大きなサメが音もなく横切っていく
赤「ん?」レッドが何かに気づいた
「おい弟、あっち行ってみねぇか?」
青「どこだー?」
レッドが指を差したのは水中の中に作られているドーム状の水中トンネル。360度どこを見渡しても青で染まる視界と、その中を悠然と泳ぐサメの影。一歩足を踏み入れれば、そこはもう地上ではない。まるで深い海の底を歩いているような、静かな感覚に陥る。
青「おっ!楽しそうじゃねぇか!」
ブルーがはしゃいで飛び跳ねた拍子に、ふわりとフードが揺れた
青「早速行こうぜ!」
水中トンネルがよほど楽しみなのか、ブルーは少し駆け足でトンネルの中へ踏み込んだ
赤「あいつガキだな」
そんな事を言いながらも、レッドも内心ワクワクしていたのだった
青、赤「おぉ…!」
水中トンネルの中に一歩足を踏み込むと、そこは音のない青い青い世界だった
頭上を覆う分厚いガラスの向こう側。サメの灰色の腹が、すーっと音もなく通っていった
赤「でっけぇ……」
青「あぁ…水族館には行ったことあるけど、こんなに身近にサメを感じたことないぜ」
あまりのサメの迫力に、2人はただただ圧倒されていた。水中を切るように泳ぐサメの姿には威圧感があり、海の覇者というに相応しい風格を漂わせている
青「あいつ泳ぐの速いな〜」「俺も泳ぎに自信はあるけどあんな奴に追いかけられたらあっという間に食われるぜ…」
赤「お前が食われそうになったら俺がそのサメの鼻ぶん殴ってやるよ」
ははっ、とレッドが冗談めかしてそう返した
青「…かっこいいとこあるじゃねぇか」「でも相手は海の覇者だぞ?鼻ぶん殴ったくらいでどうにかなるかよ」
赤「燃やせばなんとかなるんじゃね?」
青「でもサメって水中にいるんだぞ?」「炎なんて消えちまうぜ?」
赤「あ」
冗談交じりに会話をしながら、2人は水中トンネルを進んでいった。360°からサメを眺めることができるトンネル。ガラス1枚隔てた先にある「野生」に2人の目はいっでも釘付けにされるのだった
す「ふふっ、みんな楽しんでくれているみたいだね」
そう独り言を零し、水族館の案内図を見て優しい笑みを浮かべるすまない先生。彼はこっそりと、生徒達の様子を観察していたのだ
す「いやぁ~本当に皆の個性がでるなぁ!」
彼の生徒達が魚を観察している様子を思い返し、目を細める
銀さんは水の色を「先生の瞳みたい」と愛おしそうに表し、赤ちゃんは「マイクラのアレイ」のように不思議な色だと笑った。マネーは「サファイアを溶かした色」、バナナは「ダイヤモンドのような色」と贅沢に例え、ブラックに至っては「レーザーガンのレーザーの色だ」と表していた
そして、水中トンネルを進んでいたレッドとブルー。二人はその景色を「ブルーの髪のような色だ」と、互いの存在を確かめるように話していた。
す「同じ『青』を見ても、七人それぞれ例えが違うなんて……感心しちゃうね」
そんな事を考えながら、ふと右腕に付けている時計を確認する
す「お、もうそろそろ皆がここに集まる時間だね」
「皆楽しそうだったなぁ…たまにはこういうところに来るのもいいよね!」
目を閉じてふっ、と笑うすまない先生の元に何やら賑やかな声が聞こえてきた。それは彼が最も大切にしている7人の声__
す「来た来た!」
先生が顔を上げると同時、少し遠くからから弾けるような声が飛び出してきた。
「あ!すまない先生みーっけ!」
先頭を切って駆け寄ってくる赤ちゃんと、その後ろで「おい、走ると危ないぞ」と苦笑いする銀さん。マネーとバナナは高級魚についての話をしながら、ブラックは相変わらずクールな顔をしながらも、どこか満足げな足取りだ。
レッドとブルーは「サメの回路」で見たのだろう、大きなサメについての話で盛り上がっていた
す「皆おかえり〜!!」
再び8人が一箇所に集まった
銀「すまない先生!あそこで記念写真が撮れるらしいっすよ!」
銀さんが指をさす方向には、運よく列が並んでいない写真スポットがあった
す「記念撮影か…!いいね!いこう!」
誰かが「あっちまで競争だ!」という声を皮切りに、皆が一斉に写真スポットまでダッシュした
す「皆元気だね〜」
すまない先生が写真スポットに着く頃にはもうみんなスタンバイをしていて、「いつでも写真を撮ってくれ」というような表情で待っていた
す「はーい!みんな、撮るよ!!」
すまない先生は素早くカメラのタイマーを押して皆のところに飛び込んでいく
弾けるような音が周りに響いた
す「とれたかな〜?」
8人は撮れた写真を見ようと円になって、すまない先生のカメラを覗き込む
出来上がった写真には、
サメにビビるフリをするブルーと、それを指差して笑うレッド。
魚のポーズをきめる赤ちゃんと、優しく見守る銀さん。
はぁぁぁぁっ!という声が聞こえてきそうなほど威張ってポーズをとるマネー。
そして、クールに決めつつもピースをしていて楽しそうなブラックとバナナ。
その中心で、世界で一番幸せそうに笑うすまない先生が写っていた。
赤「最高の写真じゃねぇか!」
青「俺のビビるフリ、結構上手いだろ?」
緑「ブラックとバナナも楽しそうだな↑」
金「はぁぁぁぁっ!俺が一番かっこいい」
銀「すまない先生いい笑顔ですね!」
す「あははっ!銀さんもいい笑顔だ!」
黄「皆よく笑っているな」
黒「たまにはこういうのも…悪くないです」
す「うん、みんな最高の笑顔だ!……よし、この写真はあとでみんなに送っておくよ。一生の宝物になりそうだね」
先生の言葉に、みんながそれぞれに照れ笑いを浮かべたり、誇らしげに胸を張ったりする。
水族館の鮮やかな青色に負けないくらい、鮮やかで輝かしい8人の思い出。
皆が「最高の思い出」に心を和ませていると…
『ピンポンパンポーン――。まもなく屋外特設ステージにて、波乱万丈のイルカショーが始まります。皆様、お誘い合わせの上……』
館内に響き渡るアナウンス。その瞬間、さっきまでのしっとりとした感動は、どこかへ吹き飛んでしまった。
赤「先生!イルカショーだって!いこうぜ!」
早速赤ちゃんが反応する
す「イルカショーか!せっかくだしいきたいな!」
青「……なぁ、兄貴。ここからステージまで、結構距離あるよな?」
赤「ああ。……全力で走らねぇと、特等席…最前列の席が埋まっちまうな」
二人はニヤリと悪戯な笑みを交わすと、カメラを覗き込んでいた円を解き、クラウチングスタートの姿勢をとった。
銀「おい、お前ら! 館内は走るなって――」
銀さんの制止が響くより早く、レッドとブルーが弾丸のように駆け出す。「お前らも早くしねぇと最前列の席が埋まっちまうぞ!」
その言葉を聞いたマネー、バナナ、赤ちゃん、が2人の後を追うように走り出す。そしてブラックまでもが「やれやれ」と言いながら驚異的なスピードで後に続いた。
それを見た銀さんも、走るなと注意したのに走り出す
す「ちょ、ちょっとみんな!? 待ってよ~!!」
さっきの感動を返してくれと言わんばかりに、すまない先生は慌ててカメラをポケットに突っ込み、再び走り出す生徒たちの背中を追いかけた。
8人はトンネルを抜け、エスカレーターを駆け上がり、潮風の香る屋外ステージへ。
先頭を走るレッドとブルーは、曲がり角をドリフトするような勢いで会場へと飛び込んでいく。
全力ダッシュをする2人には到底追いつけそうにない程に。
目の前に広がるのは、巨大なプールと、今にもショーが始まりそうな高揚感。
赤「あったぞ!最前列、まだ空いてる!」
青「よっしゃ!……って、おいマネー! 椅子に座る前に財布を出すな!」
金「はぁぁぁぁっ! このエリア一帯は俺が買い占め……」
銀「できるわけねーだろ! ほら、赤ちゃんもこっち来い!」
先生が少し遅れて会場に辿り着いたときには、すでに七人は最前列を陣取り、いつ濡れてもいい様にとレンタルしたカッパを着ていた
銀「すまない先生の分も借りてきました!」
「ありがとう!」とすまない先生は透明なカッパを受け取り、着用する
その時ちょうど『最前列の席は激しく濡れますので、レンタルしているカッパの着用をお願いします』というアナウンスが流れた
す「いやぁ~本当に皆走るのが速くなったね!いつか追い抜かれそうだよー!」
膝に手をついて息を整える生徒達と、少しも息切れせずに、今から始まろうとするショーを楽しみにしている先生の前に巨大な水しぶきが舞い上がる。
水飛沫の細かい粒は、少しだけ8人の頬を濡らした
いよいよ、彼らの予想を遥かに超える「波乱万丈」なショーの幕が上がろうとしていた。