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#怪異
イキリ火の玉
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努は村の雑用とお堂で調べ物をして日々を過ごしていた。
村の食べ物は味が薄く量は少ないが、それにもすぐに慣れた。村人とは二人の少年としかほとんど会話はなかったけどヤクザグループとはミサと安田以外はそれなりに話しをした。
梶やちぃこは相変わらずの感じだったけど沢村と木村は同年代ということもあり話してみると気さくな若者だった。
ちぃことエッチさせてやろうかと言われて努が顔を赤くして苦笑いすると二人は可笑しそうに笑った。馬鹿にされている感じはしたけど、それでもこの二人のチンピラといる時だけが一番笑顔になれた。
この村の生活には慣れてきたけど、いつも心の中には不安感があった。このまま一生この村にいて、いずれ生け贄にされる。あの拷問を見ると絶対に生贄には選ばれたくなかった。
お堂で調べ物をしている時、そして梶と会話をしている時だけは不安感が少なくなった。特に梶は常に村から出る方法を考えていて、それが頼もしかった。
梶がいなければとっくに精神がおかしくなっていただろうとさえ思う。それは努だけでなく沢村や木村も同じだろう。二人は親分より梶を信頼していたからだ。
そしてその梶は着実に準備を進めていた。
「妖怪を退治する方法を優先して考えろ」
梶にそう言われたのは満月から半月ほど経った日のことだった。
「退治ですか? 妖怪を?」
「この村を出る方法は今のところそれしかないだろ?」
「それは、まぁ……」
書物には山伏が法力で結界を張ったとかどうとか書かれていた。もちろんそれが真実かどうかはわからないし結界の解除の仕方は見つかっていない。
「でも妖怪を退治したからって外に出られるかはわかりませんよ?」
「そのときはまた考えればいい。妖怪が死ねば生け贄が必要なくなるから、それをネタに村人を懐柔している」
「そうなんですか? 村人はアオ様を恐れているのかと思っていました」
梶が普段から上層下層関係なく村人と話していたのは情報集めだけではなく妖怪退治の仲間を集めていたようだ。
「神様のように敬っているわけじゃなく恐れているだけだ。それも、妖怪そのものより生け贄や拷問のほうをな。下民扱いされている村人に大人しく生け贄を待つより妖怪を倒して村を支配しようと持ちかけている」
「村を出るじゃなくて支配ですか?」
「俺らのように外から来た奴は村から出る方で話を進めているが、この村出身の奴には外の世界は想像できないのさ」
「なるほど」
この小さな村が世界の総て。努の頭にはあの二人の若者の顔が浮かんだ。外の世界に憧れているホタルと、この村が歪んでいると知りつつも認めているセイジ。
若い二人にとって妖怪の存在や村の結界はあったほうがいいのか、なくなったほうがいいのかわからなかった。
「村人と話してわかったんだが、前回のハザマビトは十年ほど前らしい」
梶が話を続けたので努は考え事をやめた。
「十年ですか。意外と最近ですね」
「ただ、どうもケツシは思い当たらないようだ。それらしい人物は誰もいなかったようだ」
「ちぃこは……違いますよね」
ちぃこは二十歳前後。十年前なら確かに生まれているが、さすがに前回は関係ないだろうと思った。
「ちぃこといえば、一度ちゃんと尋問しないといけないな。ちょうどいい、これから行くからお前も来い」
「ああ……はい」
あの満月の夜、ちぃこの尋問は親分と安田の騒動でうやむやになっていた。ちぃこは安田が護衛しているが梶には逆らえないようだし話しをするだけなら問題ないだろう。
努は梶と共にちぃこが暮らす家に向かった。
コメント
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うわああ第29話…!😭✨ 努くん、村の生活には慣れてきたけど不安は消えないんだね…。でも梶さんが「妖怪退治」を本気で考えてて、しかも村人巻き込んで計画進めてるとかカッコよすぎるでしょ!!🔥 ちぃこ尋問編も来るし、次が気になりすぎる…!! 毎日更新待ってます八頭道尾先生!!🌸💕