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「猫系だったら愛したそうです」

第1話 犬系女子と猫系男子

「桐生くん!おはようっ!」

朝の光を浴びながら、橘ひよりは全力で走ってきて、ぴょんと高坂桐生の隣に並んだ。肩で息をしながら、ニコッと笑う。

「朝から元気すぎ」

桐生はため息混じりに言いながら、ポケットに手を突っ込んだまま歩く。ひよりのキラキラした笑顔に対し、彼の顔は相変わらずの無表情。

「だって今日も桐生くんと一緒に登校できるんだもん!」

「……そんなことで?」

「そんなことって……ひどい!」

ぷくっと頬を膨らませるひより。でもすぐにまた嬉しそうに笑い、桐生の後をついていく。

ひよりは犬みたいに懐っこく、桐生のことが好きだった。猫系の彼はそっけない態度ばかりだけど、それでもひよりはめげずに距離を詰める。

そんなひよりのことを、クラスの女子たちは「まるで忠犬」だと言った。

「桐生くん、昨日の数学の宿題やった?」

「うん」

「すごい! 私、わかんないとこあってさ、教えてほしいなーって」

「……今ここで?」

「だめ?」

ひよりがじっと上目遣いで見つめると、桐生は少しだけ眉をひそめて、面倒くさそうにため息をついた。

「昼休みに」

「やったー! ありがとう桐生くん、大好きっ!」

「……」

桐生は何も言わず、ただ前を向いたままだった。けれど、ひよりは気づかなかった。彼の耳が、ほんの少し赤くなっていることを。


放課後。

ひよりは桐生の後ろをトコトコついていった。彼は図書室で本を借りるらしい。猫みたいに静かでマイペースな桐生には、図書室がよく似合っていた。

「桐生くんってほんとに猫みたいだよね~」

「……そう?」

「うん! 気分屋で、甘えてくれないし、でもたまーに優しい!」

「犬みたいに懐っこくないだけ」

「えぇ~、犬もいいじゃん!」

「俺は猫のほうが好き」

ふと、桐生がぼそっと言った。

ひよりは一瞬、心臓がドクンと跳ねた。でも、それが「好き」の意味じゃないことはわかってる。彼はただ、性格の話をしているだけ。

それでも、気づけば聞いてしまっていた。

「……もし、私が猫系だったら……桐生くん、もっと好きになってくれた?」

冗談のつもりだった。けれど、桐生はひよりを見下ろし、静かに言った。

「――猫系だったら、愛したよ」

その瞬間、ひよりの心に、冷たい風が吹いた。

「……そっか」

笑おうとした。でも、できなかった。

犬系の自分ではダメだったんだ。

猫系だったら、愛してもらえたのに。

ひよりは、自分でも知らないうちに拳を握りしめていた。

猫系だったら愛したそうです

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