投げられるような形で、ベッドに寝かされると、ゆず君が覆いかぶさってくる。
「ゆず君怒ってるなら、謝るから。お願い」
「何をお願いしてるんです? てか、怒ってる? 僕が?」
と、ゆず君が笑うけど、やっぱり怒っているように見えた。
その笑みもどこかぎこちなく見えて、俺は怖くて目を瞑った。怒ってないと、本人はいっているけれど、本人が気づいていないだけで、それは怒りの感情だと俺は認識している。だからこそ、俺は声を上げる。
今のゆず君は何を言っても聞いてくれないって分かっていても。
「ゆず君、お願い」
「……」
「お願い」
俺の声にゆず君は何も答えない。
女々しいって思われたかな、それとも、面倒くさいって?
ゆず君は、はあ……と大きなため息をついた後、俺の足を大きく左右に開かせた。
「紡さん、もうちょっと足開いて下さいよ。これじゃ挿入れない」
「やだ」
「言うこと聞けないんだ。じゃあ、勝手にしますよ」
「やだやだやだ、待って、ゆず君」
ゆず君が俺の中に再び入ってくる。性急にこじ開けられるようにされてしまえば、さっきよりも強い圧迫感を感じてしまって、思わず、呼吸が止まる。
ゆず君の性器が俺の中に入っている。そう思うだけでも、身体が震えるのに、ゆず君は容赦なく腰を打ち付けてくる。
ぱんっぱんぱちゅぱちゅと音を立てながら、ゆず君のモノが出入する度に、俺は唇を噛み締める。声を出しちゃダメだって、自分を自制する。
これは、罰だから。
でも、気持ちよくなってしまっている自分がいて、それが許せなくて。俺は、何かしら、ゆず君の逆鱗に触れることしたのに、ゆず君で気持ちよくなろうとしていて、それが酷く許せなかった。
何よりも……
(何で、そんな辛そうな顔するの?)
ゆず君は、今にも泣きそうな辛い、堪えた顔で、俺を見下ろして、腰を振っている。八つ当たりするように、何で分かってくれないんだというように、感情も身体も全てがバラバラになっているゆず君は自分でも何がしたいのか理解できていない様子だった。
「紡さんは僕のものなのに、何で他の男に触れさせるの? ねえ、紡さんは僕のものでしょ? 僕だけの紡さんなのに」
「んぁあ……やぁあ、ゆずくん……っ!」
「紡さんは僕のなのに」
「ひゃぁああ!」
ごりっと奥の方まで突かれて、俺は達してしまった。
俺の精液が、俺の腹の上を汚していく。それを見たゆず君は、はははと乾いた笑いを漏らす。
「勝手にイキましたね?」
「う……」
「僕はまだなのに」
ごめん、何て言う前に、ゆず君はまた激しく腰を打ち付ける。荒々しくて、ゆず君も気持ちよくなっているかすら分からないそんな行為で。
俺は、涙がボロボロ零れた。二十も過ぎて、こんな泣くなんて思ってもいなかった。
「やっ……!」
「まだ付き合ってくださいね」
「むりぃ……んあぁああ!」
「無理じゃないです。ほら、まだ僕イッてませんし」
「やらぁああ!」
「何で」
何でって、そんなの……言いたくても言えない。言えるわけがない。
ゆず君が好きだから、こんな風に乱暴にされるのが嫌だって言ったところで、きっとゆず君は信じてくれないだろうし、何より、俺は……
(ゆず君、怒ってるなら、謝るから。だから、そんな顔しないでよ)
「僕がイクまでイカないで? 『お願い』しますよ? 紡さん」
「へ、え、おね……がい?」
『お願い』の言葉を頭で拾いあげ、俺は、身体の勝手が効かなくなった。
ゆず君がイクまで、イケない。そんな地獄にたたき落とされる。
「や、やだ、ゆず君。イキたい! イキたいからぁああ!」
「駄目ですよ。紡さんのここが、俺の形になるまでは。僕が、安心できるまでは」
ゆず君が、何を考えているかわからない。
俺がどんなことをしても、ゆず君には伝わらない気がして。俺が何を言っても、ゆず君には届かないような気がして。俺は、ただただ、ゆず君から与えられる快楽を享受することしか出来なかった。
「ハッ、そろそろイキたいますよ? ほら、紡さん待ち望んでたでしょ? もっと喜んで下さいよ」
「や、やだ、だめぇ、中だけは……中だけ、は、」
「どうしてですか? 中出し、好きでしょう? いつも嬉しそうに受け止めてるじゃないですか」
「ちが、違うぅう」
「違わない。本当は嬉しいんですよね? 中出し。僕も、気持ちいいし、僕たち相性良いですね?」
そう言って、ゆず君が笑った。
嬉しそうな、でも、心のそこからは笑えていないような、寂しい笑み。
どうしてそんなかおをするのかと思った瞬間、中に熱いものが注がれていくのを感じた。同時に それまで耐えてきた俺のものも弾けた。
「~ッ!」
「紡さんイケましたね。良かったですね」
ゆず君に言われて、自分が射精したことに気付く。ゆず君が俺の中から出て行くと、栓を無くした俺の穴からは白い液体が流れ出した。
それから、するりと、俺の額に張り付いた髪の毛を払うと、ゆず君は凄く申し訳なさそうな顔をして、キスを落とす。
「ごめんなさい、紡さん」
「ゆず……くん…………」
そう言ったゆず君の声を遠くで聞きながら、俺は意識を飛ばした。
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