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今度は、楽屋で、照とふっかが一緒に旅のガイドブックを見ながら目前に迫った旅行の話をああだこうだとやっている。

見たくないので遠くの机で資格の勉強に専念する…フリをしていた。人間そんなに割り切れるモンじゃない。

隣りに翔太が来て、テキストの上にお菓子を置いていった。


💚「ありがとう」

💙「ん」


さりげない気遣いに、翔太も別に悪いところばかりじゃないんだよなーと思う。


直後。

翔太が照に何か耳打ちして、照がこっちに向かって来た。


💛「翔太が仲直りのエッチしろとか言ってるんだけど、俺たち喧嘩してる?」

💚「し、してない」


解決策それしかねぇのかあいつは。

前言撤回。即物的。享楽的。単純思考。単なるバカ。


💚「いつ行くの?1泊だっけ」

💛「そのつもりだったけど、2泊になるかも」

💚「はあ?????」

💛「思ったより行きたい場所多くて」

💚「ちょっとそれは」

💛「だめか?」

💚「……いや、もういい」


照が意外そうな顔をして、頭を掻いた。


💛「ふっかとは何もないよ?」

💚「わかってる…けど」

💛「阿部も来る?」

💚「行かない」

💛「次は阿部と行くから」


頭を撫でられて、ふっかのもとへ戻る照。

もやもやしかしない。


❤️「阿部、美人が台無しだよ」


そんな時に颯爽とロイヤルが現れた。

照の方をちら、と見る。ふっかとの話に夢中でこっちなんて見向きもしない。

俺はよせばいいのに舘さんに相談した。


💚「翔太置いて旅行とか行くの考えられる?」


舘さんはバツが悪そうな顔をする。


❤️「この間それで怒られてた」


相手は共演していた女優さんらしい。


❤️「ほら、求められるのは嬉しいし。翔太とは切っても切れない仲だから」

💚「うわ、最低だ、舘さん」

❤️「目の前に魅力的な花があったら摘むでしょう?」

💚「例え、綺麗に言っても浮気だからそれ」

❤️「そうかなあ。俺には、翔太が一番だけどね」

💚「言葉と行動が伴ってない」

❤️「人間は矛盾を孕んだ生き物だから」

💚「全然かっこよくない」


舘さんは首をすくめて、おどけるようにして去って行った。しかし去り際。


❤️「寂しかったら俺に連絡しなよ」


と、自らの宣伝も忘れていない。


でも、やっぱり寂しいし、腹が立つし、説明するのも癪だし。

照がアウトドアが好きで、家に籠らないタイプなのはよく分かっている。ふっかのことを大切に思っていることも。

俺だって家の中で勉強に打ち込めば2日や3日我慢してやり過ごすことはできるだろう。


それにしても、付き合ってる恋人を差し置いて友達を取るか?と思うのだ。


対抗して、俺も佐久間でも誘ってどこかに旅行に出掛けようかとまで思い詰める。


でももしそんなことをして照に捨てられたら嫌だ。

せっかく付き合えたのに、こんな馬鹿馬鹿しい終わり方があってたまるか。


やっぱり俺は我慢するしかないのか。

頭を抱えて、その日はあまりよく眠れなかった。

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