テラーノベル
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叶さんが俺の落としたペットボトルを拾い、そのまま手に持っている
多分俺の事を気遣ってだろう
だが、俺はそれどころではない
まさかここで会うなんて‥‥
彼から目が離せない
「こちらは小柳ロウ君。そしてこや、あちらがセラフ•ダズルガーデン。2人っきりになっても喧嘩しないでね?」
「しないですよ、俺はここに居れるだけで幸せですから」
「本当に?急に葛葉がこやを選ぶかもしれないよ?」
「だったらそれまでです。今までだってありがたいのに」
「あ、なんか似てると思ったらセラフと似てたのかも、こや」
「え‥‥?」
俺と彼が似てる?
いや、俺が知ってるのは何年も前の彼だけ
それよりなんでこんな所に彼がいるんだ?
「‥‥こや、‥‥こや?聞いてる?こんなに身長高い人見たの初めて?」
「え?いや、はい。それはそうかも‥‥」
「まだぼんやりしてる?ごめんセラフ、改めて挨拶してもらえる?」
「気にしないでください。ロウ君も体安静にね」
「はい、すいません」
俺は叶さんに連れられて自分の部屋へと戻った
叶さんは枕元のテーブルに水を置き、布団に潜った俺を心配そうに覗き込む
「どうしよう‥‥中々熱下がらないね。傷口は痛む?」
「少しだけ‥‥でも大丈夫です」
「明日またお医者さん来てくれるから診てもらおう」
「ごめんなさい。俺、最初から迷惑ばっかりかけて‥‥」
「それはこっちの不注意だから。最初は僕がじっくり教えてあげれば良かったよな」
「いえ‥‥」
なんて返せばいいかわからない
こんな恥ずかしい答え
「セラフとも、体良くなったらまた話してやってよ。まぁ、ライバル同志になるんだけどね」
「‥‥ライバル?」
「そう。葛葉のお婿さん候補を探してるんだ。今の所、暫定一位はセラフだよ。でも僕はこやとも合うんじゃないかなって思ってる」
「俺‥‥?」
「そう」
俺とセラフさんが候補?
セラフ‥‥さん
初めて知った好きな人の名前
そして葛葉さんのパートナー‥‥
それなら俺は絶対2人の邪魔はしない
「疲れた?もう寝な」
「はい」
そう言うと叶さんが俺のおでこに触れた
触れた場所がチリチリと熱くなる
やっぱりまだ熱があったみたい
「こや‥‥‥‥」
「‥‥?」
「こや、感じてる?」
「‥‥何‥‥っ!」
「やっぱりあの匂いは葛葉じゃなくてこやだったのか。いつもより甘いと思った」
胸が大きく跳ねる
熱い‥‥‥‥なんで‥‥?
「こや‥‥βって言ったよね‥‥」
「あ、はいっ‥‥‥‥学校で‥‥」
「検査ではβだったのか‥‥」
「‥‥?叶さんっ‥‥何これ‥‥っ‥‥」
叶さんが俺から距離を取った
どうして‥‥?
「こや、落ち着いて聞いてね‥‥」
「‥‥はっ‥‥はぁ‥‥」
「こやはβじゃなくてΩなんだ」
「‥‥え?‥‥そんな‥‥」
「聞いたことがある‥‥検査の後変わることがあるって」
「‥‥そんな」
体が熱い
息も苦しい‥‥
なんだよ、コレ
「こや、もう一度‥‥触らせて」
「‥‥っ‥‥あ‥‥」
叶さんが俺の頰に触れた
その瞬間体にまたチリチリと‥‥電気が走ったみたいに体を伝う
「な‥‥に、これ‥‥」
「こや‥‥俺達‥‥」
怖い
叶さんは何を言う気なのか
「運命の番だ」
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コメント
4件
Σ(OωO ) こや と かなかな が運命の番?! やばい 見るの楽しすぎる~ 最高です!

Σ(゚д゚;)!!