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「はぁ……はぁ……」
ステラが消えて間も無く、急にエラリスが膝を折り、体勢を崩した。
「大丈夫ですか?!」
エラリスの元へ駆け寄るアルテア。
『妾達と一緒にステラ様を一時的に呼び出しただけでもそれじゃ。力がない者が呼び出そうとすればどうなるのか……』
『最悪……力が足りずに死んでしまう……』
『だから最後の精霊は特に力を試す必要があるのだ』
下げていた頭を上げる精霊達。先程までの慎ましい態度から一変。既にいつもの調子に戻っていた。
『またボクが連れて行かないといけないのか……』
『仕方ないんじゃない?船で他の人間も一緒に……っていうわけもいかないでしょ』
そんな賑やかになる空間を、ホムラを抱き抱えながら眺めているカエデ。
「とりあえず……一度アマテラスへ戻りませんか……?外には皇子様やツクヨ様も倒れていますし……」
「それもそうだな……ゆっくり情報も整理したいし、一度戻ろう。エラリス、歩けるか?」
ルシオが全員を見回す。
「うん……少し疲れたけど歩くくらいなら大丈夫」
⸻
洞窟の外で倒れている皇子達。モラティがある程度安全を確保した場所に移してくれていたこともあるのだろう。幸いにも魔物などに襲われた様子もなく、木陰に綺麗に横並びに倒れていた。
大きな怪我はなく、アルテアの治療によりすぐ目を覚ました皇子達。
まだ意識が朦朧としているところもあり、詳しい話は国に戻ってからすると言うことで、皆がアマテラスへ帰ることとなった。
⸻
アマテラス城の玉座。
「この度は誠に申し訳ございませんでした……それと、皇子を助けてくださり、本当にありがとうございます」
フィニス達の目の前で深々と頭を下げるツクヨ。
「私からもお礼を言わせてください……。祈祷中にまさか神に扮した魔物に襲われるとは……ましてやアクリムの使者の方達の手を煩わせてしまい……申し訳ない」
ツクヨに続けて玉座の上からではあるものの、皇子も深く頭を下げていた。
「……魔物」
ぽつりとエラリスが呟く。信仰している炎の神様アマテラス。その神様が祀られている祭壇に現れた炎の鳥に襲われたのだ。祈祷を捧げに行って神に襲われるとは思いもしないだろう。
「……まぁ、神様ではなかったからな」
隣でフィニスが小さく答える。
「こちらこそ……アマテラスの信仰している神。アマテラス様が祀られている神聖な場所へ勝手に赴き、祭壇含め、洞窟内に傷をつけてしまい、申し訳ございませんでした」
別に悪い事は何もしていない。ただ、一国のトップに頭を下げさせたままにするわけにはいかない。この光景を見ている周りの人の心情も考えているのだろう。あえて自分たちを下げる事で、相手の国に対して、いかなる時も対等な立場であるということを示したのだろう。
一歩前に出たカエデも頭を深々と下げ、それに合わせてフィニス達も軽く頭を下げた。
「いえ、アマテラス様も自分の加護を与えた一族の皇子を助けるためだったのです。それは全然問題ありませんよ」
「そう言っていただけるとこちらとしても気が軽くなります」
「復興の支援に来てくれたばかりか……私たちまで助けてもらうことになるなんて本当にお恥ずかしい……」
その後、多少の雑談が所々入りはしたものの、本題の復興支援についての話をし始めるカエデとツクヨ。
日が暮れる頃にはおおよその方針が決まり、アクリムの使者の歓迎会という名目で食事をご馳走になったフィニス達。
今まで食べたことのないアマテラス料理と酒に舌鼓を打つフィニス達。
エラリスは食べ過ぎて動けなくなり、ルシオは酔っ払いながら給仕の女性達にちょっかいを出しては、アルテアに杖で殴られていた。
カエデはこういう場での食事に慣れていないホムラに食べ方を教えながらも、アマテラスの要人達にお酌をしに行くなど、外交官としての働きもしっかりとこなしていた。
トイレに行こうと席を立ったところで、ニティアの姿が見当たらないことに気づいたフィニス。辺りをキョロキョロと見回しながら、宴会の席を後にした。
⸻
「……」
アマテラス城の屋根の上で1人星を見ているニティア。
「5大精霊に……星の大精霊……」
目の前に人差し指を立てるニティア。魔力を込めると、指先に小さな魔法陣が作られた、その魔法陣の中心からは指先ほどの小さな炎が生成された。
「なにやってんだー」
「?!」
驚いた拍子に術式が解ける。炎は消え、小さな魔法陣がガラスの割れるような音と共に砕け散った。
目の前の手を下げ、声の聞こえた屋根の下を覗き込むと、そこには手を振りながらニティアの方を見ているフィニスがいた。
ニティアが気づいたことにフィニスも気づくと、ひょいひょいと飛び上がりながら、屋根上まで登り、ニティアの隣に座るフィニス。
「城の屋根を踏みつけるなんて……」
「お互い様だろ」
「私は飛んでここにきたから踏みつけてない」
「へいへい」
そう言いながらため息をつくフィニス。
「んで、何してたんだ?」
空から視線を動かさずに尋ねる。
「いや、改めてすごい色々あったなぁって思って」
自分の指先を見ていたニティアが、フィニスと同じく夜空を見上げた。
#魔王
チタコロ
48
#探偵
橘靖竜
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自転車和尚
1,223
#魔道具職人
こはる
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「ちょっと前まで森で暮らしてたのに。ジャヌスさんが殺されて……ジャヌスさんを殺した人が誰なのかとか、炎の色の謎とか……もちろん色々と世界を見てまわりたいって言うのもあったけど。いつの間にか国と国を渡り歩いて、魔女を追いかけて、精霊達を探して……なんか凄いことになってるよね」
「今度は精霊のさらに上の大精霊だもんな……」
「星の大精霊って何よって感じ」
「確かに」
遠くの方で宴の賑やかな音が聞こえてくる。
「先生もこう言う景色見てきたんかな」
「私たちはその先ももっと見ていこうね」
ニティアが人差し指を空に向け、くるりと円を描き始める。描いた線を中心とし、5つの小さな魔法陣が生成された。何をしているのか不思議に思い、ニティアの方を見るフィニス。
それにすら気づかないほどニティアは集中していた。
風が揺らめき、粉塵が集まり、水が生成され、熱で空気が歪み、パチパチと言う音が聴こえる。
5つの魔法陣がクルクルとまわりながらひとつに重なってく。
そして次の瞬間……
パァーン!
「きゃっ?!」
「うおっ!なんだ!!」
指先で小さな爆発が起こった。
「やっぱりダメか……」
「どうしたんだよ」
「いや……5大精霊っていうから……5つの魔法をひとつにまとめたら星の大魔法が使えるのかなって思って……」
「それで失敗したわけだ」
そう言い、くすりと笑いだすフィニス。
「わるかったわね!」
頬を膨らませそっぽを向くニティアに、フィニスは違う違うと話を続けた。
「いや、それこそ部屋で魔法の研究をしてよく失敗してたニティアを思い出してさ。懐かしいなって」
「……オリジナルの魔法を作るのは難しいんだから仕方がないでしょ」
ギロリとフィニスを睨みつけるニティア。
「世界を見て回って。魔女も倒して。いつかまたあんな日常に戻れるといいな」
ゆっくりと立ち上がるフィニス。
「……なにそれ。ずるっ」
「ん?」
「な、なんでもない!まずはステラに会いに行かなきゃね」
フィニスに釣られて立ち上がり、お尻についた土埃を叩いて落とす。
「そうだな」
無言になる2人。
空に輝く一面の星空。
静寂に包まれたキラキラと優しい空間が2人を包み込んでいた。
コメント
1件
やっと読んだよ〜!!第105話「アマテラスの輝き」、めっちゃ良かった😭💕 ステラを呼び出した代償でエラリスが膝をつくシーン、緊張感がすごかった!精霊たちが元の調子に戻るのも良いギャップだよね笑 んで何より屋根の上でのニティアとフィニスの会話…「いつかまたあんな日常に戻れるといいな」からの「ずるっ」は反則だよ!!あの星空の下の静寂、めちゃくちゃエモかった…😢✨✨ 日常と非日常のバランスが絶妙で、気づけば105話も一緒に旅してきたんだなってしみじみしちゃった。次の大精霊編もめっちゃ楽しみにしてるよ〜!!🌸