テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#魔王
チタコロ
48
#探偵
橘靖竜
6,432
自転車和尚
1,223
#魔道具職人
こはる
1,904
「皆さん、この度はありがとうございました」
支援のお礼品などを船に積み込み、埠頭で深々とお辞儀をするカエデ。
「いや、こっちこそ最後まで付き合えずに悪かったな。ティアシャにもよろしく伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
フィニスらしい軽い口調で答える。それに釣られたカエデもくすりと笑うと、もう一度お辞儀をし、ホムラの手を取って船へと乗り込んでいった。
まだまだ始まったばかりとはいえ、復興の物資や人材を運んできたアクリムの船団。アマテラス城の役人や、夕凪港の人たちに手を振られながら、ゆっくりと船が動き出し、地平線の向こうへと消えていってしまった。
「さてと、俺らも行くか」
そう言って振り返るフィニス。そこにいる全員が頷いた後、エラリスが何かを思い出したかのようにふと呟いた。
「あ……でもここだと嫌がるかも。人も多いから」
「あ〜……それもそうだな……」
そう言い、港から離れた海辺へと歩いていく6人。
周りを見回し、人がいないことを確認した後、エラリスが精霊を呼び出した。
『なんだ。もう行くのか?』
岩場の上に体を丸めた状態で顔だけ上げ、少しだけ怠そうにフィニス達を見るリヴァレー。
「うん。ステラ様が言ってた神殿に連れていって欲しい」
腰を落とし、リヴァレーの目をしっかりと見つめるエラリス。
『はぁ……わかったよ……』
リヴァレーはゆっくりと身体を起こし、海の中へと飛び込んでいった。
「って言っても……あんな猫みたいな大きさでどうやって俺たちを連れていってくれるんだろう……」
「あぁ……。そうですね……まぁ、それが可愛いんですけど……」
頭に思い浮かんだ疑問がそのまま口から漏れ出すルシオ。アルテアは撫でる間も無くすぐさま海へ飛び込んだリヴァレーを見て少しだけがっかりしていた。
リヴァレーが海へ飛び込み、静かに待つ5人。辺りには波の音だけが響いている。
「なぁ……大丈夫なんだよな……?」
「え……?海水が駄目的な……?」
不安になり、フィニスとニティアがそう呟いた次の瞬間……
ザパァーン!!
海の一部が激しく光ったと思ったら、光っていた場所の水が遥か上空へと打ち上がった。
「きゃぁ!」
「なんだ!?」
「うぉ?!」
フィニス達の元まで水飛沫が飛び、びしょ濡れになりながらも海をじっと見つめる5人。水飛沫が落ち着くと、先ほど光っていた海辺から大きな影が姿を現す。
『ほら。背中に乗れ』
海から現れたのは、長い首に手足が鰭のよう細く平べったい。全身が青く、頭からは立派な角が生えたドラゴンが姿を現した。
「リ……リヴァレー?」
『ん?そうだぞ。いいから早く乗れよ』
そう言いながらフィニス達の元へ近づくリヴァレー。5人は意を決し、リヴァレー?の背中へと飛び乗っていった。
⸻
アマテラスへ渡ってきた船よりも遥かに速いスピードで海を泳ぐリヴァレー。
その背中には、リヴァレーの体毛を掴み、振り落とされないようにしているフィニス達の姿があった。
「お前……こんな姿になれるんだな……」
フィニスがリヴァレーの頭に向かって話しかける。
『言っただろ。最後の契約者が現れたら力を見る必要があるって』
「そう言えばそんな事言っていたわね」
首を少しだけ後ろに向け、横目で背中に乗る者たちを見るリヴァレー。
『ライナはあの性格だからね。余計な人間を近づけたく無いから元からあの姿。ニックもあの場所から動くことが少ないから姿を変えてないみたいだけど。みんな本来の姿があるんだよ。ボクのこの姿もそうだ』
「そうなんだ。知らなかった」
契約者のエラリスですら知らなかった事実である。
『ボクは各地の水の浄化をするんだ。こんな姿でいたら小さな川や湖で作業なんかできないだろ』
「確かに」
『モラティもそうだぞ。大きくなれる。でも大きいと地面移動するのも大変だからな』
「そんな理由のために小さくなってんのか……」
意外な理由で苦笑いをするルシオ。
「って事はゼフィリアも本当の姿があるの?」
「気になるわね。って言うかそもそもシルフィリアっていう名前すらこの間初めて知ったし」
視線を前に戻すリヴァレー。
『あいつは基本エルフに近い森にいることが多いからな。姿もボクらみたいな感じではないな』
「へぇ〜」
『まぁ……小さい方が色々と楽だから、ボクもあまりこの姿にはなりたく無いけど』
そう言いながら海面を進んでゆくリヴァレー達。背後に見えていたアマテラス大陸はもう地平線の彼方へ消えていた。
しばらく海を渡っていると、突如あたりが深い霧に包まれていく。
「すごい霧ですね……しかも普通の霧じゃありません……なんというか……魔力が阻害されるような……覗かれているような……」
不気味な感覚にリヴァレーの体毛を握るアルテアの手に力が籠る。ただの霧としか感じられないフィニス以外全員の顔がこわばっていた。
『これのおかげで、普通の人間は神殿にたどり着くことすらできないんだよ。この霧の干渉を防げるほどの膨大な魔力がある人間なら別だけどね』
「って事は魔力がすげーやつなら来れるってことか?」
『理論上は可能だけど、そんな人間はいないよ。基本はボクらみたいな精霊と一緒じゃないと辿り着かない』
「へぇ〜……」
時折止まり、何かを感知しながら進んでいくリヴァレー。
『よし、着いたぞ』
リヴァレーが海面で立ち止まる。
「着いたって……」
目の前には、霧に覆われている海面。
「何もないけど……」
エラリスが困惑した顔でリヴァレーを見る。
『いいから飛び降りろ』
リヴァレーの言う通り、目を瞑って海面へ向かって飛び込むエラリス。
スタッ
着水すると思い構えていたものの、足元にはしっかりとした足場の感覚。ゆっくりと目を開けると、そこには大きな神殿の姿が目に映っていた。
「すごい……」
次々とエラリスの元へ降り立つ仲間達。最後にはいつもの姿に戻ったリヴァレーもエラリスの足元へと降り立った。
「なにこれ……こんな大きな神殿が隠れていたっていうの?」
「うへぇ……すげーな」
『それだけステラ様がすごいって事だよ。ん……なんだ……?』
リヴァレーが急に立ち止まり、怪訝な顔で神殿の奥を見つめる。
リヴァレーの様子を見て、ニティア達も何かを探ろうとするものの、相変わらず深い霧に包まれており、魔力の探知は全く効かない。何も分からずに立ち止まり様子を見ることしかできなかった。
しばらくじっと神殿を見つめていると……
『あり得ない……誰かいる?!お前ら!急ぐぞ!!』
そう言いながらフィニスの身体をよじ登り、神殿の方を指差すリヴァレー。皆が顔を合わせて頷くと、駆け足で神殿の方へ向かっていった。
コメント
1件
うわあああリヴァレーの本当の姿カッコよすぎる〜!!🐉💙 小さい姿しか知らなかったから、あのドラゴン姿で海を泳ぐシーンはマジで鳥肌立ったよ…!しかも精霊たちそれぞれに理由があって普段の姿があるって知れて、世界観がもっと深まった気がする…✨ そして神殿に着いたと思ったら最後の「誰かいる?!」で一気に不穏になるのズルすぎる!!続きが気になりすぎて今夜眠れないよ〜😭💕