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「ねぇ遥、始めちゃって大丈夫なの?」
「それともやっぱり…」
『悪者なの?』
多分菜々は次にこの言葉を出すだろう。
「今その話しなくていいだろ」
そう思っていたら海夏人が菜々の言葉を遮った。
「私、ぬいぐるみがある場所が分かるよ」
そう呟くように言うと
「どこ?!」
「早く教えて!!」
そう言いながら2人は私の肩を激しく揺らす。
「ストップストップ..」
慌てて陸が止めた。
じゃなきゃ、教える前に脳震盪で
気絶していただろう。
「2階のクローゼットの奥に広い空間があるの」
「クローゼットのドアを1度閉めたら、その裏側に丁度ぬいぐるみが入る位のくぼみがある」
「多分、そこにあると思う」
よく私が大切なものを隠して
秘密基地にしていたクローゼット。
「でもmiカちゃんはどうやって避けるの?」
それは..,分からない。
みんなしてうーんと唸っていると陸が口を開いた。
「今、miカちゃんが居る場所がそのクローゼットだとする」
「そしたら1階に降りてきたタイミングで急いで俺たちが2階に行けばいいんじゃないか?」
確かに行けそう。
だが、
「あの階段、きしみの音がすごいうるさいんだよね」
だから───
そう作戦会議をしていると、
【sスタt&@/-?ート」¿】
と家中にmiカちゃんの声が響いた。
ついにゲームが始まってしまったのだ。
「続きは通話してやろう」
そう言って海夏人は真っ先に
どこかへ行ってしまった。
「僕らも早く隠れよう」
「菜々はこの家に詳しい遥と一緒に隠れろ」
そう言って陸もどこかへ行ってしまった。
「敵かもしんない奴と一緒だなんて最悪…」
ぶつぶつと菜々が呟いているが、
あまり聞こえない。
その時、
【〜♪】
とmiカちゃんの鼻歌らしき声が微かに聞こえた。
「こっち!!」
私は菜々の手を引っ張って隠れる。
隠れた場所は押し入れの上の屋根裏部屋。
ここは昔、おばあちゃんが壊してしまって
空いた穴である。
ここに隠れたのはいいけど、
大事なことを思い出した。
ここは壊れやすいということ。
万が一、少しでも動いたら床が抜けて
和室の部屋に落ちてしまう。
「ここ危険だからあんまり動かないでね」
私がそう言ったと同時に菜々と私のスマホから大きな音が流れる。
「きゃあ!!」
そう叫んだ菜々の口を慌てて私の手で塞ぐ。
海夏人からのグループ通話の通知だった。
【nn何iかkak63/物音が¥gした気が…】
そう言って和室の部屋に入ってくるmiカちゃん。
私たちのすぐ下に居る。
「こんなとこ早く逃げようよ!!」
そう言って菜々が動いた。
途端、すごい音と共に床が抜け落ちる。
そしてmiカちゃんの目の前に菜々と私の姿が
晒された。
【みーつけた!】
見たことないくらい不気味な笑顔でそう言った後、逃げる菜々の足を引きちぎり、
ぐちゃぐちゃと喰った。
ただ悲鳴をあげるしかない菜々を
私は呆然と見ていた。
「あ”…ぁ…」
そんな言葉を吐いた後、
菜々はmiカちゃんの大きな口の中へ消えた。
『次は私の番だ』そう思ったが、
miカちゃんは私に目もくれず、
どこかへ行ってしまった。
まるで私が見えていないかのように。