テラーノベル
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「無理せんといてな」
軽く言われたはずの一言が、なぜかずっと耳に残っている。
いつも通りだった。
ゾムは笑ってたし、俺も笑ってた。
いつもと同じ朝。
いつもと同じ会話。
……の、はずなのに。
教室に入って席に着いても、なんとなく袖のあたりが気になる。
ちゃんと隠れてる。
見えてない。
大丈夫。
それでも、さっきの視線を思い出す。
「ほんまに大丈夫なん?」
ああいう聞き方、ずるい。
追い詰めるわけでもなく、でも、見逃すわけでもない。
あいつは昔からそうだった。
俺が毎日のようにノートを買っても、いつもどこかに傷があっても。
何も言わずに隣にいた。
何も聞かないくせに、分かってる顔だけはする。
……分かってるなら、ほっといてくれればいいのに。
「⋯はぁ、」
小さく息を吐く。
別に、大したことじゃない。
これくらい、自分でなんとかできる。
なのに、
「無理せんといてな」なんて言われると、ほんの少しだけ、胸の奥がざわつく。
無理なんてしてない。
してないはずだ。
ただ、言わないだけ。
心配させたくないし、余計なこと考えさせたくもない。
それが一番、丸く収まる。
俺がちょっと我慢すれば、それで済む話。
……そう思ってるのに。
黒板に目を向けても、ノートを開いても、さっきの声が離れない。
無理せんといてな。
あいつ、あんな言い方するやつだったっけ。
ちょっとだけ、真剣だった気がする。
いや、気のせい。
いつも通り。
ゾムは笑ってた。
俺も笑ってた。
それで十分。
……十分なのに。
なんでだろうな。
袖の奥が、やけに重い。
NEXT=♡1000
みどりいろwith友
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ふゅう@低浮上
コメント
4件
ほんとにみんなに頼ってねらだお〜(๑´•.̫ • `๑)続き楽しみに待ってます✨️