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【設定】
そうまさん主人公
ask yourselfの曲パロ
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《何も信じられなかった》
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これは、“自分”という存在に悩む1人の人間のお話。
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そうまside__
💛(……終わった、)
頭に着けていたヘッドホンを外してふぅ、とため息をつく。
今日の音楽は作り終わった。
窓の外から入る光。レンズ越しに曇る窓。
そんなものを意味もなく見つめ、新曲を歌いに外へ出る。
💛(…………………………、)
もう夕方か、なんて下校途中のランドセルを背負い歩く少女を見つめ思う。
いつも通り、いつも通りの日常なんだ。
気づけば歌詞を書いて、気づけば時は過ぎて。
💛「……っしょっと……」
いつもの場所。
“路上ライブ”と言えるほどしっかりしたものでもない。
ただギターを弾いて、その場で歌を歌うだけ。
聞いて欲しいとか、お金が欲しいとかそんなんじゃない。
ただ、歌うのをやめて自分の生きる意味を失うのが怖かった。
…………もう、歌詞を書くなんてことはやめるべきなんだろう。
そりゃそうだ、音楽をするきっかけになった2人の先輩だってもう音楽をやめてる。
💚「お前が一番大事なものを見つけること」
💙「僕達卒業しちゃうけどさ、それでもそまちゃが見つけられなかったら、音楽に頼ること」
……それなのに、やめられなくて、未だに歌を歌って。
1曲が終わる。
少しだけ、ため息をついてつぶやく。
💛「……馬鹿、みたい、」
音楽しか能がない。
一番気付きたかったものに気付けなくて、
本当に大切なものばかり見落としてきて、
友達なんてもう居ない。
恋人だって居ない。
過去にいても、“そばにいて欲しい”なんて簡単な言葉さえも喉の手前でいなくなった。怖くなった。
💛「~~~~♪」
ピピッ、と腕時計が鳴る。
もう6時。ギターをしまって家へ向かう。
すぐに暗くなってしまう街。
それは季節のせいか、それとも俺を置いていきたいのか。
先輩のことを考えていたからか、ふと、昔の先生を思い出した。
馬鹿みたいだけど、「この世界の全て」を先生があの時教えてくれたら、どんにに良かったことか。
家へ着く。
どうしようもない虚無感。
💛「………………ぅぁ、」
涙が出る。
辛くなる。
でも、声をかけてくれる人は居なくて、1人だって思い知らされて。
歌詞を書こう。そうすれば、きっと大丈夫。
…………歌詞が書けない。
書きたいものに、目指したいものに届かない。
伝えたい思いが、歌詞に書けない。
そうしている間にも、涙は溢れてきて、
💛「…ぁっ、……も、……や……だ…っ、」
昨日のことを思い出す。
確か昨日も泣いた。「これで最後」だって言って。
そんなはずなのに今日も泣いて
💛(……I love you、I love me)
そんなことが頭に浮かんで、歌詞に起こしてみる。
よく分からないけど、少しだけしっくりときた。
俺はきっと、この先誰かを愛して、自分を愛して、
…………自分を表す歌を歌う。
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翌日__
今日も、いつもの場所で歌を歌う。
昔はこんな人間じゃなかった。
高校生の頃までは友達に、例えば将来は……なんて、もしもの話……なんて自慢げに話せていて。
……でも実際、本当の将来なんてものは曖昧で、迷子のままで。
__特別になりたかった。
100億に近い命が咲いて散るこの地球という花壇で、
たった一つしかない、唯一無二の存在に、そんな色の花にいつもなりたかった。
__周りの人間が、羨ましかった。
周りが持っている才能が羨ましくて、そんな遠い場所のものに届こうと必死になって
……これじゃ、近い存在にあった「ナニカ」を見落としてしまうのに。
💛「〜〜〜〜♪、〜〜♪」
自分にとって一番大切なものだけが知りたかった。
言葉じゃない何か、それで俺を救いたかった。
……例えば、歌とか。
💛「…………ぁ、」
外なのに、涙が零れた。
慌てて手で拭う。
❤️「……大丈夫だよ、何とかなるってさ、」
__それ、信じても良かったのかな、
💖「安心してよ、そばに居るからさ」
__それ信じきれたかな、
💛「〜〜♪、ねぇ、大丈夫だよ、大丈夫。大丈夫。」
涙が止まらないまま、昨日作った歌を歌う。
大丈夫なんて、聞いている人に歌ってるわけじゃない。
きっと、自分に言い聞かせるためで。
💛「♪、ありがとう、ごめんね、〜〜♪」
「__さよなら、他には。」
持てるだけの言葉を集めて、その言葉で歌を歌って。
家に帰る。また歌詞を書く。
💛(……あぁ、いつも通り。)
今日も陽が登った。
また、いつも通り太陽が嘲笑うように俺を照らす。
歌詞が書き終わる。
最後に、全ての歌に入れている歌詞。
“じゃあよろしく”
“今日の俺はここまで”
“あとは君に任せるよ”
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【解説、考察】
これは個人的に、“自分”という存在に悩んで歌を歌う人の歌なのかな、と思いこんな小説にしました。
きっとやめて、新しいことを探せばよかった。
もう一度、人生をスタートさせるべきだった。
それでも、音楽はやめられなかった。
自分が気づいていないだけで本当に大切なものは音楽だったのかもしれませんね。
メンバーは昔の部活の先輩、そして昔の友達という体にしました。
ばうてるは、昔こんなことを言ってくれたけどそれが信じられなくて結局今はあっていない人。というような感じです。
最後の「あとは君に任せるよ」は歌詞を聞いた途端に、君って明日の自分のことなんだろうなぁ、と思いました。
是非皆様の考察を教えてください.ᐟ.ᐟ
𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮 𝐟𝐨𝐫 𝐰𝐚𝐭𝐜𝐡𝐢𝐧𝐠.