テラーノベル
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11話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
次の日の朝。
窓の外はすっかり雨も止んでいて、やわらかな陽射しがカーテンの隙間から差し込んでいた。
先に目を覚ましたキヨは、まだ眠っているレトルトを見つめながら、しばらく黙って動けずにいた。
──なんでこんなに、可愛いんだろう。
髪が少し乱れてて、寝息は小さく、時々ぴくってまつげが揺れる。
いつもなら気を張ってるくせに、今は無防備すぎて、守ってやりたい気持ちで胸がいっぱいになる。
「……ん、ふふ……キヨくん……」
寝言まじりに名前を呼ばれて、キヨは思わず口元を押さえた。
『……は?無理…可愛すぎだろ…』
起こさないようにそっと手を伸ばして、乱れた前髪を指で整える。
その仕草ひとつひとつが、まるで宝物を触るように丁寧で。
『こんなの見たら、俺、もっと好きになっちゃうじゃん…』
昨日あれだけ気持ちを伝え合って、それでもまだ足りないくらいに愛しくて。
キヨはそっとレトルトの額にキスを落とした。
その温もりに反応するように、レトルトがうっすらと目を開ける。
「……キヨくん?」
『おはよ、レトさん』
キヨはにっこりと笑った。
レトルトは少しぼんやりした顔で見つめ返して、それから、ふいに照れたように頬を染める。
「……昨日の、夢じゃなかったんだね」
『夢じゃないよ。』
レトルトはふにゃっと笑って、キヨの胸元に顔をうずめた。
キヨはその頭をそっと撫でながら、思う。
──俺、やっぱこの人がいい。
ちゃんと、大事にしていきたい。
レトさんを、これから先もずっと。
レトルトが目を覚ますと、すぐ隣には優しい目で見つめるキヨがいた。
お互い、まだ布団の中。あったかい温もりと、昨晩の余韻がふわりとよみがえる。
「……おはよう、キヨくん」
『おはよう、レトさん』
自然と顔が近づいて、唇が触れ合う。
昨日みたいな激しいキスじゃない。ただ、お互いの存在を確かめ合うような、甘い朝のキス。
『……やばい、起きたばっかりなのに、また触れたくなってきた』
「バカ……朝から何言ってんの/////」
レトルトは小さく呟いて、布団の中でキヨの胸に顔を埋める。
くすぐったそうに笑いながら、キヨはその頭を撫でた。
「ずっとこうしてたいけど……そろそろ起きなきゃだよね」
レトルトが布団からゆっくり体を起こそうとしたその時――
「……っ!」
ピシッと腰に鋭い痛みが走る。
思わずうめき声を上げて、レトルトはその場で固まった。
『レトさん!? どうしたの、大丈夫!?』
「っ……な、なんでもない……ただ、ちょっと……腰が……」
真っ赤になった顔でうつむくレトルト。
昨晩の記憶が鮮明によみがえり、火がついたように頬が熱くなる。
『あー……あはは。……それ、俺のせいだよね?ちょっと激しくしすぎちゃった…かな笑』
「……言わないでっ……/////」
キヨは昨晩の行為を思い出してだきしめたくなる気持ちを必死にこらえて、そっとレトルトの背中に手を添えた。
『ごめん。……無理させちゃって。
でも ……レトさん、凄く気持ちよさそうだったから、止められなくて』
「……バカ……!」
ますます顔を真っ赤にして、レトルトはキヨの肩を叩いた。
でもその力は弱くて、むしろ照れ隠しのように見えて愛おしい。
『…じゃあ、俺が朝ごはん作るから、レトさんはゆっくりしてて』
「ううん、大丈夫。キヨくんにだけやらせるのは申し訳ないし…一緒に作ろう?」
『うん!でも無理しないでね?
あ〜、朝からエプロン姿のレトさん見れるの最高だなぁ…』
「もう!///」
そんな調子で、2人は笑いながら布団を出る。
昨晩よりももっと、2人の距離が近づいていた。
レトルトはなんとか布団から出たものの、ほんの数歩でぺたんと座り込んでしまった。
「……ムリ……動けない……」
その様子を見ていたキヨは、すぐさま駆け寄ってきて、心配そうにしゃがみ込む。
『だから言ったのに。無理しないでって』
「キヨくんのせいでしょ……昨晩、何回も……するから/////」
『うーん、ごめん!でもレトさんが可愛すぎたのも悪い!笑』
あっさり開き直るキヨに、顔を真っ赤にしながら力無くキヨの肩を叩くレトルト。
「もう…あんまり言わんとってや…///」
『ごめんってば。俺が朝ごはん作るよ。レトさん、何か食べたいものある?』
「……甘いの……フレンチトーストとか……」
『おっけー!任せて。得意なんだ、俺』
キヨは鼻歌まじりにキッチンへ向かい、エプロンを結ぶ。
冷蔵庫を開けて、牛乳、卵、食パン、バター、砂糖を取り出して――
ふわふわでとろけるような、甘いフレンチトーストを丁寧に焼き上げていく。
部屋中に広がるバターとバニラの甘い香りに、レトルトはくんくんと鼻を動かす。
「……いい匂い……」
『できたよー、レトさん。俺特製、ふわとろフレンチトースト!』
キヨはワンプレートに盛り付けたフレンチトーストをレトルトのところに運び、用意して差し出す。
『はい、あーんして?』
「……いや、自分で食べれるよ…」
『だーめっ。レトさん、動けないでしょ。だから、あーん』
キヨの顔があまりにも嬉しそうで、レトルトは観念して口を開く。
「……あーん」
『はい、あーん♡』
ふわっと口の中でとろける甘さに、レトルトの顔が緩む。
「……おいしい……」
『でしょ? 俺、レトさんのために作ったんだよ』
「うん……ありがとう、キヨくん」
甘くて、温かくて、ちょっぴり照れくさい朝。
キヨの優しさが、レトルトの心と体にじんわり染み渡っていく。
2人で迎えた初めての朝。
とろけるような幸せに包まれて
腰の痛みも忘れてしまうレトルト。
ずっと、ずっと、こんな幸せが続いてほしいと
お互いそっと心の中で思う幸せな朝。
つづく
コメント
4件
あぱぁぁぁぁ!!最高です!ありがとうございます!!