テラーノベル
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ワシは必死で和泉を守ろうとした。早く逃げてくれ、ワシが時間を稼ぐ!
和束みやびとがっぷり四つに組んだけど、ワシは力で押されてる。くそっ!
和束みやびが「逃げるんやない!」と叫び、ワシは思いっきり横に投げられて尻もちをついた。でも和泉の方を見ると、和泉はアタリの子を抱いて奥の扉へ入っていったところだった。よかった、避難できた!
和束みやびは怒り狂った。
「返せ! 返さんか!!」
『もともとお前のもんじゃない!』
ワシはまた和束みやびに襲いかかった。和束みやびがこんなに強いの、さっき飲み込んだ9魂のおかげだろうけど、絶対そんなにうまくいくわけがない。
和束みやびは複合体に向いた魂じゃない、それで、9魂は多分みんな和束みやびに殺されてる。そんな子たちが、和束みやびに馴染むわけがない!
『時間の問題だ、お前絶対ずっと強くはいられない!』
和束みやびの鬼の身体が、血管が沸騰するかのようにボコボコと泡立ちだした。和束みやびは苦しみだした。
「くそっ、言うことを聞け! うちがいなきゃ生まれなかったくせにお前たち!」
和束みやびは全身が沸騰しだし、ほどなく血を吐いた。
「なぜ! なぜ! なぜうちの思う通りにならへんのや!」
『そりゃ自分を殺したやつに素直に取り込まれるわけないだろバカ!』
ワシは和束みやびを仰向けに抑え込んだ。巨大な和束みやびの足元で、緑さんが式神8体を集めている。集まった式神は、鎌を担いだ巨大な牛鬼になった。
「千歳ちゃん! そのまま抑えてて!!」
牛鬼は鎌を振り上げ、一閃。和束みやびの右腕が切り落とされた。和束みやびは山じゅうに響き渡るかというような悲鳴を上げた。
牛鬼は和束みやびの四肢を次々と切り落としていく。とどめとばかりに、九さんと深山さんが躍り上がり、和束みやびの首元に喰らいついた。
和束みやびの体が縮む。人に戻った和束みやびの体は、五体満足なもののズタズタに傷ついていた。気絶した和束みやびの体から9体の白い玉が飛び出し、ワシにくっついた。ワシはその子たちを抱きしめた。
『怖かったな、もう怖くないからな、もう大丈夫だからな……』
ワシに駆け寄ってきた緑さんが言った。
「千歳ちゃん、この家の、他者を立ち入らせない結界内壊せる? 普通の人が入れるようになれば、もう後は警察に任せられるから」
『うん、この子たちが力貸してくれる』
ワシにくっついた9体の白い玉から、どんどん霊力が染み通ってくる。ワシはその力を借りて、家の周りの薄いけれど強大な壁を打ちこわしていった。家の周りに集まった人たちがよく見えるようになって、テント屋根の下にいた警官たちがそろそろと庭の扉に近づくのが見えた。ワシは大人の朝霧の忌み子の姿に戻って、『こっちです!』と警察に言った。
『もう大丈夫です!』
緑さんも言った。
「こちらの案件は済みました! もう安全です!」
九さんと深山さんも人間の姿に戻った。
「なんとかなったのう」
「アタリの子、確保できて本当によかったですわね」
警察が庭に入り、気絶してる和束みやびを見て脈を取ったりなんだりしてるけど、胸が動いてるから息はしてる。こいつをこの場で死なせて楽になんか絶対しない、警察に捕まって刑務所に入れられて自分の罪を自覚しろ。
ようやく全てが終わったことに気づいて、ワシは大きく息をついた。
『疲れたー……』
緑さんが「お疲れさま」とワシの背中をぽんぽんした。
「私たちもアタリの子確認しておきたいから、和泉さんがつなげた扉の先行っていい?」
『うん、ていうかワシその扉でうち帰って即寝たい』
九体の子達も家の小箱に入れてやりたいし。
九さんが苦笑した。
「まあ、お主は頑張ったな。後は妾たちに任せるとよい」
『うん』
ワシはもうフラフラで、なんとか地下室に降り、うちにつながる扉を開いた。
#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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コメント
1件
1086話お疲れさまでした!和束みやびを倒して終わりじゃなく、「この場で死なせて楽にさせない」って締めがこのタイトルにめっちゃ刺さったわ。9体の白い玉の子たちを「もう怖くないよ」って抱きしめる千歳ちゃんも沁みる…。長い戦いだっただけに「ようやく終わった」感がすごく伝わってきた。警察に任せて、あとは寝るだけ、っていう日常に戻っていく余韻も好きです。おつかれさま、千歳ちゃん!🔥