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「こんなに可愛い子がいていいのかな~! もう、全世界の中で一番可愛い! お義父さん、お義母さん、あなた達は神様です! こんなに素敵で可愛い恵ちゃんを産んでくださって、心から感謝いたします!」
……あぁ……、なんか宗教始まっちゃった……。
私は魂が抜けた顔で、涼さんの暴走を見守る。
「やっぱり分かる~!? 恵ったら最高に可愛いのよ~!」
佳苗、お前もか。クネクネすな。
「とりあえず、渋滞するかもですから、出発してキャンプ場で交流深めましょうか」
孝志兄に言われ、涼さんは「そうですね!」と言うと私に「行こう」と車に乗るよう促す。
家族は孝志兄の大きい車に全員乗って行くようだ。
「素敵なご家族だね~」
運転席に戻った涼さんは、ニコニコ笑顔で言う。
「突っ込みが追い付かないっすよ」
「あの面白いご家族の中で、恵ちゃんが一生懸命突っ込んで育ったのが、目に見えるようだよ」
「あんまり変な事想像しないでください……」
茨城県の大洗までは二時間ぐらいの道のりだけれど、お盆休みに入っているので渋滞も踏まえてもう少し掛かるかもしれない。
途中のサービスエリアで休憩しつつ常磐自動車道を進み、私たちはドライブを楽しんだ。
「はー! あっつい!」
私はキャミソールの上にざっくりとしたレースのトップス、デニムのショーパンにサンダルという格好だ。
「マップで見たけど、海のすぐ近くなんだね」
「はい。何度か来てるんですが、温泉ありますし、お湯の出る炊事場がありますし、シャワー室もありますし。割といいですよ。車で十分圏内にコンビニやスーパーもあるし、今は時期じゃないですけど、ネモフィラで有名なひたち海浜公園も近いです」
「あぁ~……ネモフィラの中で微笑んでる恵ちゃんイイネ……」
「テント建てますよ~」
「俺の心のテントが建ってる」
「踏み潰しますよ」
「ひん」
私たちはそんな会話をしつつ、車のトランクからキャンプ道具をテキパキと出していく。
「恵ちゃん、結構力持ちだね」
「ソロキャンもしますし、鍛えられてますよ」
今は涼さんのマンションの駐車場に停めてもらってるけど、私の可愛い愛車ちゃん、アルトラパンに朱里も乗せて、あちこち行っている。
「朱里とキャンプする時は、あの子あんまり慣れてないから私がリードして、あの子が作って食べる役ですね」
「あはは、朱里ちゃんらしい」
「私も料理作れますけど、朱里は食いしん坊な分、ご飯を作ると凄く美味しいんですよね。味覚が優れてますし、再現力もあるんです。その代わり、量が多いんですけど……」
私は朱里の〝メガ〟シリーズを思い出す。
「恵ちゃんは?」
「私は食への欲求が朱里ほどないから、失敗しても『食べられたらいいや』で済んじゃうんですよね。学習能力がないというか」
「じゃあ、俺が恵ちゃんに美味しい物食べさせないとな~。腕が鳴っちゃうな~」
「ホントにポジティブですね……」
私たちは駐車場から荷物を持って、キャンプ場まで持っていく。
あとは会話をしつつ組み立て、涼さんが持って来た高級テントを建てていく。
アイボリーのテントを建てると、家族が持ち場を離れて近づいてくる。
「うへー! これ、ノルディクスですか!? すげー! しかもベッドある!」
孝兄よ、リアルで「うへー!」って初めて聞いたかも。
「居心地がいいほうが好みなので。俺も普段からソロキャンしてるんですが、今回は恵ちゃんと二人で泊まるために、張り切ってニューテント買っちゃいました」
「さっすが涼さーん! できあがったら佳苗も入れて~!」
「恭祐も入りた~い!」
「ぼ、僕も……」
「いいですよ~! どんとこーい!」
涼さんと家族が和気藹々と話している間、私は車とキャンプ場を往復して食材やらその他を黙々と運んで行く。
「やっだぁ~! 涼さんったら、ベッドは二つなの? 一つでいいじゃない!」
母の声が聞こえ、私は顔面からスライディングしそうになった。
「お母さん! 手を動かす! ムービングハンド! 口は動かすな!」
私がクワッと叱ったからか、家族は「ちぇー」と唇を尖らせて持ち場に戻っていった。
その唇、掴んでやろうか。