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※ これは「第3話 物忌み」で「6.扉を開けない」を選んだ人用の物語です。「5.扉を開ける」を選んだ人や、まだ「第1話 呪いの始まり」を読んでいない人は、これを読まないでください。
「私ったら、うっかりあなたのご飯を持ってくるのを忘れてしまったの。だからね、おにぎりを作って持ってきたわ。さあ、ここを開けてちょうだい」
確かに、お腹はすいたけど、扉を開けるな、返事もするな、って言っていたのはお母さんだ。だから、こんなのおかしい。
「ね、どうしたの? 返事をして?」
こんなときは、そうだ、呪文! 呪文を唱えなきゃ……
「しんいじょがく、しんおんじょかい、しんいじょがく、しんおんじょかい……」
「ねえ、どうしたの? さあ、早く開けて。ねぇ、開けて。開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ、
すごい勢いで扉がバンバンと叩かれる。扉は簡単な作りなので、あんなに激しくたたかれたらすぐに壊れそうだった。だけれど不思議と、音のわりに扉は無事だった。
私は泣きそうになりながら、必死で呪文を唱えた。
「しんいじょがく、しんおんじょかい、しんいじょがく、しんおんじょかい……」
一心不乱に呪文を唱え続けていると、どれぐらい時間が立ったかも分らないくなった。お母さん(の声をした何か)は、いつのまにか静かになっていた。
「…………、あっ、朝だ!」
永遠にも思えた夜は終わり、気がつくと朝になっていた。よかった、助かった……、いや、違う、これからだ。これから今度は「石」を探さないといけないんだ。怖かったけれど、私は覚悟を決めてお堂から出ることにした。
→ 「読者参加型物語 物語編」の「夜明け」へ。
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