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「うおっ、マジかよゲームオーバー…。やっぱグローブだとやりにくいな」

樹がゲーム機を放り投げた横で、文庫本を読んでいた北斗が眉をひそめる。

「取るなよ。凍るぞ」

「知ってるって」

その会話を聞いた高地が、横から茶々を入れる。「ジェットこそ、間違えて本消しちゃうんじゃねーの?」

「俺は制御が上手いんだよ、どっかの氷ファンタジアと違って」

「…おい」

一瞬険悪なムードが漂ったが、リビングに入ってきたジェシーと慎太郎の「ただいま!」の声でそれを免れる。

「おかえりルビー、ラルド」

2人は買い物に出かけると言って、午前中から外出していた。

「あれ、ナイトは?」

ジェシーがきょろきょろと見回す。大我は1人で、散歩をしてくるとカメラ片手に出て行った。しかし、散歩にしてはすでに長時間だ。

「さあ。どうせ熱中してるんだよ、あのカメラマン」

からかうように樹が言って、またゲームを始める。

「もしかしたら、敵に遭遇してて勝手に闘ってるかも」

北斗が言った。4人は背中に冷や汗が流れた気がした。

以前、同じように散歩へ出かけていった大我が出先で敵に出くわし、念のため携帯している武器で対戦したことがあった。そういうときはメンバーの応援を呼ぶことになっているのだが、大我いわく「俺だけで倒したい」のだそう。

「……もしやってたら、めんどくさいことになるぞ」

高地が苦い顔でつぶやく。

「俺連絡するよ、早く帰ってこいって」

ジェシーがスマホを操作し始める。

それから慎太郎と、買ったものをみんなに見せる光景が繰り広げられる。

「その服いいじゃん」と北斗。

「だろ? ジェットも今度連れてってあげるよ」

それを尻目に、高地は冷蔵庫からおやつを取り出す。

「うわ、トパまたなんか食おうとしてる」

慎太郎が笑った。見つかった高地は、肩をすくめる。

「いいじゃんかよ、今日要請ないしゆっくりしたいもん」

「ちょっとちょうだい」

「やだ」

「なぁサファ、そろそろゲームやめたら?」

北斗に忠告された樹は、眉間にしわを寄せた。

「わーかったよ」

そんな各々の会話の中に、ぽつんと投じられたジェシーのつぶやき。

「ナイト、連絡つかない」

「え?」

みんなが一斉に振り返る。ジェシーは、メッセージの文面を見せた。

『そろそろ帰って来いよー』

それが送信されたのは5分前だが、未だに未読のまま。

「おかしいな。あいつ、メールはすぐ返信するのに」

高地が言う。それにうなずくメンバー。

「俺、電話掛けてみる」

慎太郎が電話を掛け始めた。通話をスピーカーモードにして聞こえるようにするけど、響くのは呼び出し音だけ。

「……最悪の場合を考えて、司令官に位置情報訊くか」

樹の声が緊張感をはらんでいた。

司令官というのは、彼らファンタジアを管理し、また戦闘の際の指令を送る重要なポストだ。もちろん、政府の管轄である。

そして司令官は、安全のためにファンタジア全員のスマートフォンの位置情報を見ることもできた。

しばらくスマホを操作していた樹が、ゆっくりと顔を上げた。

「位置情報、オフになってるらしい」

つまり。

「…さっきまで何ともなかったから、故障ではないはず。なら、ナイトのスマホは何者かに奪われてるとしか……」

北斗の低い声が、このときばかりは怖さを伴って聞こえる。

5人の脳裏に、「悪の組織」の4文字が浮かんでいた。


続く

瞳に秘められた宝石

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コメント

1

ユーザー

こういう展開めっちゃ好きです!🫶🏻 続き楽しみに待ってますー!😸😸

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