テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雑踏に触れる影。
横断歩道に見える童心。
蜃気楼のような噂話。
どれもが僕には関係のないものだ。
大学の帰り、かろうじて太陽の見える時間。いつも通り、ぼろぼろなアパートのぼろぼろなドアに手をかける。
外見の割にキレイな部屋に足を踏み入れ、荷物もコートも床に投げ捨て、スマホ片手に布団に飛び込む。
布団に飛び込む瞬間に顔認証でスマホが開けたので、小声で
「よし」
とうなる。
敷布団なので、[飛び込む]ではなく、[膝から崩れ落ちる]が正解なのだろう。
膝が痛い。
うなるのも無理はないだろう。
軽く伸びをして、
「動くぞー、メシ作るぞー」
と自分に言い聞かせる。
もちろん誰もいないので、独り言が部屋に響く。
足を高く上げ、反動をつけて起き上がる。
ドドン!!
僕の足が床に触れるのとほぼ同時に大きな音が、少しずれて重なった。
僕の視線は自然と部屋の隅に向かった。