私
にとって最も大事なものは、妹である。
私の全てといっても過言ではないくらい大切な存在だ。
私が守るべきものであり、守りたいものである。
だからといって、私自身は必要のない人間だとは思っていない。
私にも守るべきものはあるし、私の命だって大事だと思っている。
ただ優先順位の問題なのだ。
妹さえいれば私は他には何も望まないし、欲しいとも思わない。
しかし、私は欲張りなので妹の次に欲しいものがあるのだ。
それはお金だったり地位であったり名誉であったりするのだが、やはり一番ほしいと思うものというのは愛とか恋というものだと思う。
私は今までの人生の中で、数えきれないほどのゲームをしてきました。その中には人生を変えるような名作もありましたし、つまらないクソゲーもあったと思います。しかしどんなジャンルであっても、クリアするまでは必ずやり遂げようと努力しました。それはきっとこのゲームも同じでしょう。たとえどれだけ難易度の高いゲームであったとしても、必ずクリアしてみせる――! そう思っていたのですが……やはり現実は非情なものですね。
『セーブデータが存在しません』
目の前に現れた残酷なメッセージを見て、私は静かにゲーム機を置きました。
――はい。またダメでしたね。これでもう何度目でしょうか。
いい加減うんざりしてきたところですが、それでもめげるわけにはいきません。だって諦めたらそこで試合終了ですよ? さて、気を取り直していきましょう。
えーっと、まずはこのゲームのパッケージを手に取ってみます。表紙に描かれている女の子はとても可愛らしく、思わず目を奪われること間違いなしです。しかも服装がとてもエロティックなのですよね。大きなリボンが付いた真っ赤な上着にミニスカートを合わせており、そこから伸びる太股は白く艶やかな肌に覆われています。さらにその上に羽織っているジャケットもまた魅力的で、肩の部分が大きく露出しています。そして何よりも注目すべき点は首元でしょうね。そこだけ異様に膨らんでいるのです。おそらくそこにネックレスを掛けることで隠したい部分を隠すようにデザインされているのだと思います。さて、ここで問題です。ではその隠すべき部分はどこでしょうか? 答えは次のページに記載してあります。ぜひ読んでください! そして最後にもうひとつ宣伝させてください。この本に登場するヒロインたちはみんな巨乳という設定になっております。どのキャラも個性豊かで魅力的なのですが、特にお気に入りなのは主人公の妹である『星川優奈』ちゃんですね。この子はとにかく可愛いんです。ただそれだけじゃなくておっぱいが大きいんですよ。服の上から見ただけでも分かります。Fカップはあるんじゃないですかね。もし彼女が主人公と同じ高校に通っていたとしたら……想像するだけで興奮してしまいますよ。ちなみに僕は高校生の時に彼女の胸に埋もれながら死にたかったと思っています。あぁ……羨ましい(笑)。こんな感じで僕のレビューはこの辺にしましょうかね。みなさん最後までお付き合いいただきありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
以上、レビュー担当でした。
プロローグ
――それは、突然のことだった。
「ねぇ、あなたって好きな人いないの?」
放課後。とある女子生徒の言葉から始まった会話だった。
俺の名前は佐藤太郎。どこにでもいるような普通の男子高校生だ。成績は中の中。運動神経はまあまあいけるほう
だと思う。容姿は平均的。身長体重も同じくらい。友達の数だって普通だし、顔立ちも十人並みと言っていいだろう。唯一自慢できることと言えば、彼女がいないことぐらいだ。それも高校入学以来ずっとなので、そろそろギネス記録に認定されてもおかしくはないと思う。
さて、今日もいつも通り学校に登校して、授業を受け、放課後になったら部活をして、帰宅するだけの一日が始まるはずだったのだが……。
突然、教室の中が真っ暗になってしまったのだ! 停電ではない。窓から差し込むはずの陽光すら消え失せてしまった。
さらに、異変はこれだけに留まらない。
『ようこそおいでくださいました』
どこからか声が聞こえてきたと思った瞬間――俺たちの目の前に大きなスクリーンが現れたではないか!? そして映し出されたのは、西洋風の城だった。
俺は思わず目を見張った。こんな演出あり得るはずがない。
だが同時に納得していた。これがいわゆる異世界召喚なのだと理解してしまったからだ。
スクリーンの向こうでは豪華なドレスに身を包んだ女性が優雅に微笑んでいる。年の頃は二十代前半といったところか。ウェーブのかかった金髪が腰まで伸びており、大きな碧眼と相まってとても美しい女性に見える。
しかし騙されてはいけない。彼女の瞳の奥からは隠しきれない野心の色が見え隠れしており、口元に浮かぶ笑みもどこかぎこちなく見える。そして何よりも彼女は僕に対して強い執着を持っているようだ。つまり僕のことが好きなのだ。ならば僕は彼女のことを好きになるべきなのだ。そうすればきっとハッピーエンドが訪れるはずだ。
しかし騙されてはいけない。彼女には決して知られてはならない秘密があり、それはおそらく彼女自身が最も嫌っているものであろうからだ。その証拠として彼女は自らのことを話す時だけ決まって顔をしかめており、さらに言えば声色にも嫌悪感のようなものが含まれているように思える。だから彼女が本当はどんな人間なのか知るためには慎重に慎重を重ねなければならない。たとえその結果として彼女と別れることになったとしても。
しかし騙されてはいけない。彼女の本性を見極めようとするあまり必要以上に彼女を疑うようになってしまえば、逆にこちらの身を滅ぼしかねないことになる。なぜなら彼女にとって最も都合が悪いのは疑いの目をかけられることであり、そうなれば彼女はますます警戒心を剥き出しにし、こちらの話を一切聞こうとしなくなるだろうからだ。それに彼女にはこちらのことを騙すつもりがないどころかむしろ信頼を寄せてくれており、ただ純粋にこちらに興味を持って接してくれていることはわかっている。ならばこちらも彼女のことを信用してあげるべきなのだが……。
「ねえ、聞いてよ! 今日ね、お兄ちゃんったらひどいんだよ!」
やはり彼女が一方的に話しかけてくるだけというのが問題だった。もちろんそれ自体は決して悪いことではないのだが、どうしてもこちらとしては黙って彼女の話を聞いていることしかできない。
しかもその話はどんどん加速していくのだ。最初はただ相槌を打っていただけだったが、途中からはもう完全に聞く側に徹することになってしまった。
しかし不思議なことに、彼女と話をしている時間はあっという間に過ぎ去っていくように感じられた。むしろもっと長く話していたいという気持ちすら湧き上がってくる。……一体、彼女は何者なんだろう。どうして俺のことをこんなにも知っているのだろうか。