テラーノベル
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●セレンの魔法●論理がないと警察に「証拠不十分」と言われる。
午前2時、雪が街を真っ白に染めるクリスマス。
イルミネーションの光は、笑顔を無理やり引き出すかのように煌めき、カップルたちの笑い声は冷たい空気に溶けて消えていく。
路上に、一人の少女が立っていた。
ボロボロの服、凍えた頬、震える手に握る小さなマッチ箱。
しかし、彼女の歩く足跡も影も、まるで雪がその存在を拒むかのように跡を残さない。
少女「マッチ、いりませんか…?」
その声は、冬の夜に溶けるガラスのように儚く、切なく響いた。
次の瞬間、少女は雪に倒れた。
目は虚ろに閉じ、声は冷たい闇に吸い込まれた。
私は迷わず彼女を抱き上げ、息の温もりを確かめながら、震える小さな指を握る。
体は氷のように冷たく、防犯カメラにも映らない――まるでこの世界に存在してはいけないかのように。
テレビの声が静かな部屋に流れた。
「1週間前の午前3時、マッチを売っていた少女が倒れたと通報がありました。目撃者は『お母さんに会いたい』と言った後に息を引き取ったそうです…」
少女の小さな体を抱きしめ、私は思う。
あの一瞬、彼女はどんな恐怖と孤独を抱えていたのだろう。
凍える手のひらに、絶望と希望が同時に押し寄せたのかもしれない。
少女「ここは…?」
セレン「大丈夫。ここは私のオフィスよ」
少女の瞳は涙で濡れ、胸の奥で絶望の波が何度も打ち寄せていた。
少女「マッチ、いりませんか?」
セレン「全部買うわ。でも、どうしてこんな時間に?」
少女「お母さんが病気で、お金を稼がなきゃ…」
セレン「分かった。生活を支える代わりに学校に行きなさい」
少女の瞳にかすかな光が戻り、ほんの少しだけ笑みが浮かんだ。
その儚い笑顔に、私の胸が熱く締め付けられる。
箒で少女の家に向かうと、母親は娘を認識できない様子だった。
セレン「まず、お母さんの体を治療させてください」
魔法の手が温かく光を放ち、1週間で母親は完治すると告げる。
母親の瞳に映る希望の光に、私の胸も熱くなる――この温もりは、雪の冷たさを凌駕する。
しかし、平和は簡単には訪れない。
テーブルには、コップが3つ並んでいた。
中には**遅効性の毒(2週間で死に至る)**が仕込まれている。
最後に会った人物は母親の友人3人。
読者への提示:人物と行動
人物
行動
コップ操作
a
お茶を注ぐ
-
b
運ぶ
-
c
飲む
母親隣に座り、最後にコップを持ち直す。縁に拭き取り跡
ティーポットの茶葉には毒はなく、毒は母親側のコップの縁だけに付着。
読者は気づくだろう――cだけが巧妙に毒を避け、意図的に毒を塗った可能性がある。
私はcを警察に引き渡す。
借金を返さないことへの腹立ちからの行動だと知るが、その心の闇を見つめると胸が痛む。
1週間後、母親の体調は完全に回復。
家の外に出ると、雪は止み、山に射す朝日が幻想的に輝いていた。
セレン「綺麗ですね」
母「えぇ、あの娘にも見せてあげたかった」
ふと気づくと、少女の姿は消えていた。
少女「ありがとう、魔女さん」
母「娘が家を出たきり、1週間、帰ってきていない…」
雪に埋もれたマッチ箱を見つめ、私の胸に温かく切ない感情が広がる。
セレン「(無事に成仏できたのね…)」
寒空の下、涙が雪に落ちる。
私の旅は、まだ続く