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困惑からか、素がもろ出ているサラに対し、彼は続けた。
「他人を下げて自分をよく見せるだけでなく、ご友人に酷い物言いをして人前で辱める。サラさんのような非常識な方がいるせいで、場の空気は最悪だと言ったのです」
彼は怒るでもなく、諭すでもなく
まるで明日の天気予報でも読み上げるかのように淡々と言い放った。
それは、冷徹な研究者が実験データのバグを指摘しているかのような響きだった。
不機嫌なわけでもない、口角はどちらかと言えぱ上がっている。
だが、目の奥は確実に笑っていなかった。
サラもそれに気づいたのか、さっきまでの勝ち誇った顔は消え去り
「や、やだなぁ!こんなのじゃれ合いですよぉ?」
晴輝さんに弁解しようと、あたふたしている。
私に視線を送っては「も、モカからもなんとか言ってよ~!」と平然を装っている。
それにトドメを刺すように、晴輝さんは低い声を出した。
「…それが、あなたの答えなんですね。よく分かりました」
諦めたように言葉を吐くと、今度は彼が席を立った。
ますます状況が掴めなくなっていると、今度は笑顔で続けた。
「…それでは、僕たちは他のお店で飲み直すことにします」
「は?僕たちって……わ、私のこと置いてくの?!普通置いてくならモカじゃん!!」
サラがテーブルを手でバンッと叩いて反論するが
晴輝さんは頭が痛いとでも言いたげに、ため息を吐いた。
「…まだ状況が掴めていないとは、可哀想に」
「可哀想……?は?いや、可愛いの間違いでしょ…っ?」
「なるほど。こんな醜い女性を可愛いと思う人がいるとしたら、目を合わせてくれるはずですがね」
まさにそれは鶴の一声だった。
瞬間、サラと目が合いそうになると
拳斗さんも竜馬さんも露骨に目線を逸らし
ユミも下を向く始末。
「な……っ!?」
答えは一目瞭然だった。
「…っ、意味、わかんない」
すると、般若のような恐ろしい剣幕をしたサラが、私の肩を掴んで叫んできた。
「ぉ、おかしいじゃん?!なんで?なんで私があんたに負けてんの?なんでなのよ!!?地味女のくせにっ!!」
その後、収集の付かなくなったサラを置き去りにして、私たちは店を移動した。
◆◇◆◇
「いやぁ、にしてもモカちゃん大丈夫?あのサラちゃんって子だいぶヤバそうだったけど」
「だよな、本性見たって感じ?顔はタイプだったけど、あれじゃあな…」
間接照明が優しく灯る、シックでウッディな個室。
靴を脱いで上がるロフトタイプの半個室で、さっきと同じ順番で席に座ると
開口一番に出たのは私への心配とサラへの不満だった。
俯いていた顔を上げて、声を絞り出す。
「い、いつものことなので…!私は大丈夫なんですけど…みなさんに不快な思いをさせてしまって……すみません」
コメント
1件
うわあ第4話読み終わったよ〜!!😭💕 晴輝くんの「他人を下げて…」の冷静なお説教マジでかっこよすぎません!? 目が笑ってない圧、最高に痺れた!! サラの本性バレた後の「可哀想」の追撃も完璧すぎてスカッとした!! モカちゃんはいつも気遣い屋さんでほんと良い子すぎる、、みんなでサラ置いて移動した後の温かい空気にじんわりしたよ。続きが気になるー!!