身代わりの花嫁は冷徹当主の最愛になる〜大正、妹の代わりに嫁いだら溺愛されました〜
大正の帝都。元子爵家の長女・有明千歳は、母を亡くしてから十年、継母と異母妹に使用人のように扱われてきた。右手の甲には、幼い妹を火事から救ったときの火傷の痕。継母はそれを「不吉」と呼ぶ。
妹が「妻を寄せ付けない」と噂の財閥当主・御堂玲司との縁談を泣いて嫌がると、継母は千歳に命じた。「お前が、妹の名で嫁ぎなさい」。
雨の日、妹の名を胸の中で練習しながら御堂の門をくぐった千歳を、傘もささずに待っていた玲司は、一目見て言う。「君は妹のほうではないな」。
身代わりと知りながら、玲司は千歳を妻にした。温かい食事。自分の部屋。人前で取られた右手。千歳は御堂の家で「初めて」を一つずつ受け取り、虐げてきた実家は一つずつ失っていく。
けれど、玲司はなぜ身代わりと知って千歳を選んだのか。夜になると灯りのともる離れには、誰がいるのか。
妹の名のまま嫁いだ娘が、自分の名で愛される日までの、大正の身代わり婚。