「……なん、」
「ちょっとあんた、大丈夫?」
顔は、仮面のようなもので隠しているけれど
はっきりと分かる。この人は、人間だ
「おい____ーーが倒れてるぞ!!」
「…うーん、まずいね
立てる?逃げるよ」
「は、はぁ…。」
手をひかれ、走った。後ろから…さっきのヤツが、怒鳴っていたのが聞こえたし
なんどか群衆に捕まりそうになったけれど
逃げて逃げて、逃げた。
「…ふー、ここまで来れば大丈夫かな」
「……あの、どうしてー
助けてくれたんですか?」
「…んー?いや、ただの趣味?」
慈善活動的な?
なんて適当な事を言い、煙草に火を付ける。
……変わってるな、この人
「それで……あんたは?」
「え、」
「なんであんなとこ居たの?」
「……
逃げてきた」
「ふぅん?逃げてきた……ねぇ
てことは、あんたも”施設出身”だ?」
「あんたも……って」
「そ!アタシも施設出身さ。」
施設、というのは
“人外”が人間を支配するためだけに作られた施設で。
戦争の途中で捕まった人間は、大抵█されるか、施設に入れられる。
強制労働の日々。戦争で生き残っても、施設に入れられれば___……
「……髪、不揃いだね
切ったげるから、来な」
「……逃げてくる途中で、切った」
「……そ。
最近は人間相手でも女だったら襲ってくる奴多いからね。」
「…それに、髪捕まれたりしたら逃げきれない」
「……ふ、頭良いじゃんか」
ーーー
これが、あなたとの不思議な出会い。
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