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※どうでもいい会話文ぶっ飛ばしてください(『w』『(笑)』多用すみません)
MEN side
誰かに会いたいと思うなんていつぶりだろうか。
ずっと寒いところにいた。そんな気がする。そんな気でいる。
……だから、ここ数年は、あたたかい。
かまくらに炬燵を見つけて、ただそこに、ぐうたら丸くなっている猫をやっている。豚だけど。
「……、」
眠れなかったから。
終電で出た。
向かうのはなんでもない、サングラスの先輩の家。
こんな時間に家を凸るなんて、普通なら怒られるだろうけど。
「………まぁ、大丈夫だろ。」
あの人なら笑って追い出してくれそうだ。
だから、俺は手ぶらでそのアパートへ向かうのだった。
「……………は!?」
がちゃりと古そうなドアを開けて出てきたのは、
サングラスもなんもない、ふつうの「おじさん」をやってる、部屋着のぼんさんだった。
「………ちわ~っす…。」
スウェットと上着一枚でピンポン鳴らしやがる後輩。しかも、午前1時。
東京の冬ってのは、思った以上に寒いようだ。ナメてた。
「なになになにっ、どうしたのめん!?」
「あ、ぼんさん深夜なんで…声抑えめで。」
「あ。…ハイ。」
いやこれ俺が言える立場じゃねえんだな。あ俺が悪いんかこれ。
「…、」
ぼんさんが当然のように顔を出してくれた瞬間に、びっくりするくらい安心してしまった自分は、いた。
緊張、と、安堵。
恋とかそういうんじゃなく、ただ仲間(?)として胸がいっぱいになった。
愛か?愛か。ほぉ。ほぇ。
…だってそこに人がいるんだもん。
ぼんさんの体温の音がするんだもん。
許してもらえるなら抱き締めたいくらいだった。そんなに寒かったんだな、俺は。
「……………とりあえず、……上がる?」
おあ。やさしい。さすがぼんさん。
「じゃあお言葉に甘えて……おじゃましま~す」
「はぁい、いらっしゃ~い」
「ヒィ、あったけ~ありがてぇ~~」
先輩ん家は、案外、あったかかった。
散らかった狭い廊下を、踏めるところを見つけてぴょいぴょい歩く。
人のこと言えないどころの話ではないが(my部屋=ゴミ屋敷)。
「………。」
それでも。
こんなに雑然としたこの空間は、この人がいるだけで、こんなにも、暖かくなるのだな。
柔らかそうなスウェットとシャンプーの匂いを、どこか愛おしいと思った。