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「…で?どうしたの?」
渋めのちゃぶ台と座布団。
よいしょ、なんて言って腰を下ろしたら、おっさんか!って言われた。
そうすか。そうすか。そうすね。
手元には、ぼんじゅうるの小言……じゃない湯飲み。
中身はたぶん、ホット黒烏龍茶。ぼんさん好きだものね。
「や、……ほんと、こんな時間に突然お邪魔してしまって………申し訳ないんすけど…」
と言いつつ勝手にその辺のせんべいを食べ始める俺。
「いいよいいよ、俺だって寝る気なかったし、暇だったしね」
と、純粋にやさし~ぼんさん。心に沁みるぜぇ!
「…あとこれで申し訳ないと思ってる奴は図々しくうちのせんべい食べ始めたりしないしね」
「…あははははっ、
………ア~、…こんどの誕生日は蟹プレゼントするんで。」
「うぇマジぃ!?…じゃあゆるす、じゃあ許すわ」
勝ったな。勝ったわ。
この人のことだから、絶対、ただの優しさだけど。
「………ほんで?なに?なんか話でもあるん?」
「え」
「…え?」
「…いや全然ないっすけど」
「ないんかい!!」
「うははははははwww」
サングラスなしぼんさん、絶妙にウケるな。ウケちゃいけないやつだけどな。
「ビビった~、今、本気でなんかエグいこと言われんのかと思った…」
「大丈夫です大丈夫です、ぼんさん解雇!とかじゃないです」
「さすがに俺もそれは考えてなかったけどね!?だとしてもタイミングおかしすぎるけどね!?」
「wwwww」
……ああなんか、今、いまこれだけでいいわ。
ホットココアとはちみつでもあればいい。なんとなく何も考えずに飲めればいい、そんな気がする。
「…や~…、………ちょっと、ね。寂しくなっちゃったんですよねぇ……、」
「なにぃ?なんかあったの?」
あ、なんか、今のこの感じいいな。男の語り合い感あって。好き。ハハハ。
「別に彼女と別れてないっすよ。あ俺彼女おらんかったわ」
「…オイオイオイむなしくさせんなよぉ~!」
「俺も彼女ほしいっすぼんさ~~ん…」
「禿同~~~☆」
「ちょっと古い…w」
そして本題に入れない。動画も回ってないのに、俺がボケすぎて寂しかった話にたどり着けん。アホか。
「…や、あのですね、………彼女……、いないし、俺普通に一人暮らしですしおすし。」
「おん。」
「まぁ寂しくなるわけですね。酒とか呑んじゃうとね。」
「いやあるよねぇ~~~!!わかる。わかりすぎる。(笑)」
「……んで、今ここです。」
「そこがぶっ飛んでんのよ。」
「いや……だってぼんさん、『なんかさみしいなぁ』でおらふくん家行かないでしょ?」
まぁ、ぼんさんと俺の家も、言うて近くはないんだが、な。
なんとなく、ぼんさんなら慰めてくれそうだったから。それだけかもしれない。真相心理かもわからん。
「それはそうだけど別問題じゃない!?」
「まあまあまあ。……まぁ、ぼんさんなら、多少は許してくれるかな~~あと起きてるかな~~…の甘えっすね。」
「……うん。まぁ、ね?いつでも寂しくなったら来ていいんだけどね?」
やさしい。やさしい。この人どこまで行ってもやべぇな。
「……あざっす。」
「うい。…………」
ぐい、とぼんさんは黒ウーロンを飲み干した。
「………めんでも寂しくなるんだなぁ…。」
どこか哀愁を纏ったぼんさんが、目線を外して呟く。
「っな、なりますよそりゃw」
「いやぁ~……なんか急に…………ね、かわいいと言うか、めんのイメージ変わったかも」
おもむろに立ち上がった彼が、さっと俺の隣に座る。なぜ?
「えぇ……?俺は俺っすけど」
「ん~…、鉄壁だと思ってた自分がいたんだよね。掴めないじゃん。めんって、さ」
「そうすか?結構素でいってるつもりなんだけどな…」
「ははは、掴みどころないし、三十路に見えるデカイ男のくせに、…かわいいよ。めんは。」
そう言って撫でられた。デカイ男の、くしゃくしゃの茶髪。
「…寂しくなっちゃったんでしょ?いいよ。甘えなよ。」
「…、」
一瞬。
ぼんさんがかっこよく見えた。
彼のゴツゴツした手に見惚れていた。
ああ、きっと、女の人は、こういうところで落ちるんだな。
「……………、…。かわいくないっすよ。…」
「ふふ、まぁね。」
なんだか子供扱いのようで少し恥ずかしくなった。一瞬でも甘えたくなってしまった自分だ。
「…………。」
また図々しくせんべいをかじった。