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「それにしても悠のザック、なかなか良さそうなのだ。いっぱい入るし、背負い心地もよさそうなのだ」
そんな軽口をたたきながら登る余裕も出てきた。
体力的には春のハイキングより、特に強くなった感じはしない。
ただ歩いているうちに、この辺はきついけれど大丈夫、これ以上だと限界。
その感じがわかるようになってきた感じだ。
だから、きつければきついなりに歩けるし、話も出来る。
そんな感じに身体が慣れた状態だ。
「確かにこのザック、今まで背負っていたデイパックより楽かな。ちょっと荷物を詰めても肩が痛くならないし、腰でしっかり支えられるから」
「悠はどこで、そのザックを買ったのだ?」
「実家の近くの大きいスポーツ屋さん。ちょうどこのザックが安くなっていてさ。背負ってみるといい感じだったから、買って貰った」
「確かに、いいザックだと多少重い物を背負っても身体が楽ですね。入る量も安いものと比べたら違いますし。悠君のザックは何リットルサイズですか」
「確か50リットルで、上蓋を伸ばせば60リットルまで大丈夫な奴です」
「それなら単独行のテント泊でも充分ですね。大学の登山部とかでは、もっと大きな物を使いますけれど、普通に趣味で使うには充分でしょう」
「先生のは、どれ位のサイズですか」
「私のは大学の登山部で使っていたものなので、70リットルちょっとと大きめです。まあ大学の登山部でも、女子で70リットルクラスを使う人は、あまりいないんですけれどね。大体が50から60リットルクラスです」
そうすると、大学の先輩という誰かの事も聞きたくなるもので。
「参考までに秋津の小暮先生は、どんなのを使っていたのですか」
僕より先に、未亜さんが尋ねる。
「あの人はパワフルですからね。確か80リットル強という、最大クラスのザックを愛用していたような気がします」
「いかにもという感じなのです。何か色々想像できるのです」
うんうん、と未亜さんが頷いた。
「でも、あの人は悠君のザックと同じ大きさのも持っていますね。多分、このサイズが一番使いやすいと思いますよ」
「クリスマスには、サンタにザックと登山靴とバーナーとコッヘルと、寝袋とテントまで発注するのだ!」
完全にはまりつつある亜里砂さんが、そんな親泣かせの宣言をする。
「それって、相当高くないか」
川俣先輩が、そう常識的な質問をするけれど。
「実は父も昔やっていたようなのだ。ミレーのいいザックや、ダウンのいいシュラフを持っていると言っていたので、冬山までに全部奪っておくのだ」
どうも亜里砂さんは確信犯のようだ。
まったく亜里砂さんのお父さんも災難だな。
そんなしょうもない話をしながら、のんびりと歩く。
丸太階段の段差には、やっぱり悩まされるけれど。
そうしているうちに、周りが開けてくる。
後はもう景色が最高だ。
もう左右の山より、今の場所の方が高い感じ。
そんな中、石っぽくなってきた道を上り詰めると。
小屋が見えて、道標みたいなのが見えて。
これはどう見ても。
「到着です! お疲れ様でした」
山頂に到着だ。