テラーノベル
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朱雀視点。
あの時。
結局、僕は間に合ってしまった。
君が、誰にも頼らないまま終わる前に。
……最悪だよ。
ほんの少し、
ほんの一歩だけ遅れていれば。
君はきっと、
誰かに縋ることを覚えたのに。
……なのに僕は、
それすら奪った。
「…………」
暗闇。
蔵の中。
目の前には、今の君。
——ほんと、嫌になる。
何も変わってない。
変えられてないのは、
君じゃない。
僕だ。
『……何で自分を犠牲にするの』
『……何で君はそういう人なの』
分かってる。
どうせ、君自身だって理解してない
それでも聞く。
晴明くんは少しだけ首を傾げる。
「……逆に聞いていいですか」
静かに。
でも、確実にこっちを射抜く視線。
「なんでそんなに、僕に関与するんですか」
「放っておけばいいじゃないですか」
「僕がどうなろうと、あなたには関係ないでしょう」
——ああ。
やっぱり、そう来るよね。
僕を突き放すような言葉。
少しだけ、口元が緩む。
『関係ない、ね』
『本気で言ってる?それ』
距離を詰めても、君は引かない。
分かってるよ。そういうとこ。
『君が勝手に死ぬのは、別にいいよ』
あっさりと言う。
『でもさ』
『それで、僕が困るんだよ』
「……困る?」
『うん』
笑う。
余裕なんて崩さないまま。
『だって君さ』
『一回、自分の命で全部解決した気になってるでしょ』
『そういうの、すごく嫌いなんだよね』
ほんの少しだけ、目を細める。
『ちゃんと最後まで生きてよ』
『途中で投げるの、ずるいじゃん』
どちらも黙りこくる。
でも、僕なりの工夫。
この言葉の意味。
真っ直ぐには言わない。
——言うわけないよね。
遠回しに
君に、
「助けてって言わせたい」なんて。
晴明くんは目を逸らす。
斜め下を見てる。
「……よく分かんないですね」
「困るとか、ずるいとか」
「全部、あなたの都合じゃないですか」
ため息をつくように吐き出す言葉。
「僕は、別に頼んでないですよ」
「助けてほしいなんて」
——ああ。
その言葉に、ほんの一瞬だけ、
胸の奥がぐちゃっと潰れる。
でも、顔には出さない。
僕はそういうの、得意だし。
『そうだね』
『頼まれてない』
一歩、下がる。
さっきまで詰めていた距離を、あえて戻す。
『だから別に、助ける気もないよ』
『君がどうなろうと、君の自由』
『勝手に人を守って、勝手に死ねばいい』
『——ただし』
一瞬だけ、視線を細める。
『僕の前で、それやるのはやめて』
静かに。
でも、はっきりと。
『目障りだから』
晴明くんは何も言わない。
晴明くんは、少しだけ目を細める。
何かを言い返そうとして——やめる。
「……そうですか」
短く、それだけ。
まるで、僕なんか居ないみたいに、
僕を横切って
戸に手をかける。
そのまま、開ける。
光が、差し込む。
「じゃあ、もう関わらないでください」
振り返らないまま。
「僕も、あなたの前で死なないようにします」
「次こそは」
それだけ言って、出ていく。
………はは。
思わず、少しだけ笑う。
『無理だよ、それ』
誰にも聞こえない声で呟く。
だって君は。
どうせまた、
同じことをする。
そしてその時、
きっとまた——
僕は、見てる。
コメント
1件
うわ、第20話、朱雀視点の密度がすごかった……。 「助けてって言わせたい」なんて絶対に言わない朱雀のスタンス、逆に痛いくらい伝わってきた。 「僕の前でそれやるのはやめて」って、目障りだからって理由にしてるけど、本心は絶対それだけじゃないよね。 最後の「無理だよ、それ」で、全部見透かしてる朱雀の諦観と執着が同時に来て、胸がぎゅっとなった。 この二人の距離感、ずっと見ていたくなる。
ほげ
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2,402
腐ってて何が悪いですか?
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#安倍晴明
ほげ
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