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テラーノベル(Teller Novel)
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その頃である。ケンも出発するところだった。「ケン、最後にキョウカになにか話しておきなさいよ」「えっ?」真っ赤になるケン。「サキ・・・・」つられてキョウカも真っ赤になっている。「なに?2人して赤くなるなんて怪しいよ!さてはもう約束でも交わしたの?」サキが冗談っぽく言ったがふたりは静かに頷いた。「やるじゃない、ケン。こうなったら、絶対生きて帰ってきなさいよ?裏切ったら許さないから」サキが2人の手を取り、「キョウカのことは、私に任せといて!あんたが無事にあるように2人で祈ってるから」「サキ・・・色々ありがとね」「うん」

「じゃあ、行ってきます」ケンはニコリと笑うと、旅立って行った。

「ケン、気をつけて。それから、仲間を大切にね・・・・」


キョウカは、そう呟いていた。

その頃ヨシはと言うと・・・体の調子も戻り、起きて窓の外を見ていた。「もう、起きてもいいのか?」「・・・・風が止まっている。こんな静かな場所なのか?」「・・・そうよ。ここは、守られているから・・・」「世話になったな。そろそろ行かないと・・・」「あなたはまだ、自分の力が目覚めてないのね」「えっ?」

「私にはわかるわよ。あなたがかつての戦士と同じ血を持っているって」「そんなの俺は信じない。信じたくもない」「・・・・でも、きっとわかるわ。自分の使命が・・・・」「俺はもう、大切な人を失いたくない」「でも・・・・」「しつこいな」「あなたの大切な人がどうなったかは知らないけど・・・。同じことを繰り返したくなかったらあなたは使命を果たすべきよ」「何も知らないくせに勝手なことを・・・・・・」「あなたは・・・・」「俺には、父も母もいない。父親なんて、旅に出たまま帰ってこないんだ。家族がいなくなったことなんてきっと知らないだろうさ・・・・」「人間は、いつか死ぬのよ?でも、人を恨んではダメ」「父親は、俺たちを捨てたんだ」「違うわよ」「あんたに何がわかる!!」

「・・・・わかるわよ・・・・」彼女が泣き始めた。「なぜ、泣いている・・・」「・・・わからない・・・」

「女って、すぐ泣くよな・・・」

ヨシは、少し困った顔をして・・・「世話になったな」これ以上、この人と話すことは無いと思い、帰ることにした。「ミュウ、おいで」だけどミュウは、彼女の肩から動こうとしない。「・・・よほど君が気に入ったんだな。俺以外には懐かなかったのに・・・」

「飼い主に似たのね」「えっ?」「ふふっ、冗談よ。ほら、ミュウ、お前の大好きなご主人様が呼んでるよ」彼女は、優しくミュウに語りかけた。するとミュウは、大人しくヨシのもとへと戻った。「それじゃあ・・・」「待って!」彼女は、呼び止めた。「まだ、なにか?」「この弓を持っていきなさいよ」「いらないよ」「魔物がうろついているんだから、普通の弓ではやられるわよ?それでもいいの?」「しつこいな・・・俺は戦いには・・・」「いずれ必要になるから。この矢も・・・」「いや、だから・・・」「あなたはきっといい戦士になる。いい仲間にもきっと会える」「俺は1人で・・・・」

「一人で生きていく?そんな寂しい生き方しないでよ」「寂しいだと?」「あなたはきっといつか人として気づくことになるわ」「人として気づくこと・・・・?」「これから会う仲間に気付かされるはずよ」「なぜ、そんなことが分かる。さっきからほんと不思議なことを言うよな・・・あんたって」「言っとくけど、わたし・・・「あんた」って名前じゃないわよ?」そう言えば、名前聞いてなかったっけ?そういう俺も言ってないけど・・・・

「レイナよ」「・・・・・・レイナ・・・・」

「また・・」「また、なんてあるのかな・・・」「あるかもしれないし、ないかもしれない。でも、わたしは信じてる」「・・・・じゃあ、俺も信じるよ。ミュウが、信じろってうるさいから・・・・・」「(笑)なにそれ」「・・・ありがとう、レイナ」「・・・・元気で・・・・」この2人も、いずれまたあうことになる。でも、それは、先のこと。

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