俺は、恋というものが分からない。
恋、をこの17年間で一度もしたことが無い。
「卯都木くん、おはよぉ!!」
「卯都木くんって卯都木財閥の一人息子ってほんと?」
「卯都木くん、頭良いもんね!」
俺の人生には女性ばかり。 もう飽きてしまった。
俺の名前は卯都木レイ。
結論から言うと、俺はすごくモテる。いや、自慢したい訳では無い。
俺はその事で悩んでいるのだ。
俺は小さい頃からモテていた。
何故かと言うと、俺が卯都木財閥の跡取りで、見た目も良ければ、何でも出来るからだ。
…本当に、自慢したい訳では無いんだ。
卯都木財閥というのは、日本の中でも上から数えた方が早いくらいの大企業で、主に貿易を行っている。
日本の貿易の約六割は担っているだろう。
しかも俺は、外国とのハーフで整った顔立ちをしていて、勉強も出来れば運動も出来る。
これだけ揃っていては、女性にモテて仕方ない。自分でもそう思う。
だが、俺は女性は求めていない。苦手なのだ。
小さな頃から、会社同士の付き合いなどで女性に迫られてきた。
あの勢いと話し方などが、どうしても苦手なのだ。
屋上で深い溜息をついた。
「レイ、溜息つくなんて珍しいじゃん。天下の卯都木様に何かあったのかなぁ?」
こいつは俺の唯一の友達、有栖川絃歌。
人付き合いが苦手な中で、心置き無く喋れるのは絃歌だけだ。
「本当になんかあったの?元気ないじゃん。 」
「いやぁ、それがさ」
俺は悩んでいることを全て絃歌に話した。
「天下の卯都木様がモテすぎて困ってる、か。贅沢な悩みだなぁ。」
「絃歌もモテるから分かるだろ。はっきり言って、女性達は俺の上辺しか見てないんだ。俺という本質を理解していない、なのに絡んでくる。そんな状態で付き合っても、せいぜい一ヶ月が関の山だろう。 」
俺の言葉は核心をついていたようで、絃歌は少し悩んで、こう言った。
「レイはさ、友達っていうか人付き合いが少なすぎんだよ。色んな人と関わって、色んな気持ちを知った方がいいと思う。ということで、明日俺の友達二人紹介するわ。 」
絃歌が勢いよくそう言うと、ちょうどチャイムが鳴り、慌ててクラスへと戻った。
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