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第五章
この殺人事件、大体の予想はつく、今の時点では、犯人は橋本健ではないかと俺は予測を立てている。しかし、橋本健では説明できない事がいくつかある。
例えば、わざわざ凶器を持ちさった理由だ橋本健の所ではそれらしき理由は見つからなかった。もしかしたら、橋本健だと思うこと自体が的外れなのかもしれない。
「悠一.どうする?今日はもう時間が遅いし202号室に訪問するのは今度にしないか。」
和馬は困ったような顔でこちらを見つめていた。
さすがに俺も非常識ではないから今日は訪問するのはやめることにした。
「そうだね。そうしよう」俺はそう言って204号室に向かって歩き出した。
204号室に帰ると、櫻井が、なにか分かったかどうか聞いてきた。
「留守だったよ。」俺はあえて嘘をついた。
そこには橋本健がいたからだ。彼女が浮気していたなんて知ったらどうなるか分からないしな。
まぁもう知っていたのかも知れないし。
俺は、そんなことを考えながら橋本健が犯人ではないことに薄々気がついてしまっている。
でもやっぱり、今の所、殺人の動機も、もし知っていたら浮気で納得行くし、合鍵をもっていたし
納得行かない所があるとしたら、なぜ凶器を持ちさったかだ。
自殺だと思わせたいなら普通、凶器を持ちさったりしない。
まあそれは全員共通なんだが。
あと、バックの一部があからさまに禿げていた事だ、あんまり犯行には関係なさそうだけれどきっと何かあるのだろう。
俺は帰り道、和馬と別れた後1人である場所へ向かった。
ある場所とは町役場だ。
町役場にこの街の回覧板の制度について聞きに行こうと思ったからだ。
櫻井のアパートからは町役場はそこまで離れていないが、町役場に移住希望でもない俺がいくのは少し気が引けた。そんなことを考えているうちに町役場に着いてしまった。
町役場は2階建てだろうか、あまり大きくなくオレンジに白の文字で町役場と書いてあった。
ドアは重く、かなりの力をかけてやっと開いた。
開いたドアの隙間から風が入って来た。
中には2.3人の会社員と4.5人のこの町の住民だと思われる人がいた。
俺は、窓口の方に歩いていき福田達央と書いてある名礼を首からさげている、いかにも話しかけやすいような人に話しかけた。
「あの、すいません。この町の制度について少し知りたくて」俺は頭に言い訳を考えながら言った。
「移住希望ですか?」福田逹央は、聞いて来た。
「えっと、実はこの前の事件で少し知りたいことがあって、回覧板の事を教えて頂けないでしょうか?」俺は、"あること"に気がつき事件のことを少し喋った。
すると、福田達央は何かに取り憑かれたように
「少し話したいことがあります。個室に移動していただくことはできませんか?」福田達央は少し取り乱していた。
「はい。大丈夫です.」と俺は予想通りの反応が返って来て安心して返事をした。
そう、俺は福田達央が福田美羽の兄なのではないかと考えた、見たところ福田美羽よりも年齢が高いように見えたからだ、さらにこの町の場所的に福田と言う苗字は少ない、だから親族の可能性が高いと考えた。
福田美羽の親族は母と兄弟が1人いると聞いている。父は福田美羽が小さい頃に他界したらしい。
俺は福田達央に小さな個室へ案内された。
福田達央は改まったように姿勢を正し、
「先ほどは取り乱してしまい申し訳ありませんでした。改めまして、福田美羽の兄、福田達央と申します。」と福田達央はぺこりとお辞儀した。
俺もそれに合わせてお辞儀し
「松島悠一です。福田美羽さんの友人の頼みでこの事件について調べさしていただいています。」と俺も自己紹介した。
「何か聞きたいことでもあるんでしょうか?」福田達央はそう聞いてきた。
「はい、いくつか質問してもいいでしょうか?」
はい、と福田達央は身構えた。
「福田美羽さんの家庭事情を話せるところまで教えて下さい」俺は質問した。
「はい、妹とは4つ歳が違います。父は俺が13歳の時他界しました、妹は8歳でした。母はそこから女手1つで俺たちの事を育ててくれました。もちろん父の保険金もありましたが、それでも大変でした。俺たちは働ける年齢になったら母になるべく迷惑かけないように頑張ろうと2人で約束したんです。」
そう話した時福田達央はだんだん声が小さくなっていき、福田達央は泣き始めた。
「す、すいません」俺も流石に焦ってしまった。
と言うか、
親族が死んだ直後に聞くような質問ではないと改めて反省した。
「だ、大丈夫です。俺が弱いばかりに」福田達央は涙が出ているであろう両目を片手で隠している。
福田達央は泣きながらこう言った。
俺の聞き間違いだったのだろうか、わからないが確かに福田達央はこう言った、
罪悪感からなのか、この事件が普通に終わることはないと直感した。