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第六章
「え、ど、どういうことですか?」俺は全くと言っていいほど今の状況が理解できなかった。
福田達央は泣きながらこくこくと頷きながらゆっくりと口を開きこう言った。
「俺が、美羽の部屋に入って美羽の首を絞めたんです。」福田達央はごめんなさい、ごめんなさいとずっと言いながら泣いていた。
俺はどうすれば良いのかわからなかった、通報するべきなのか事情をもっと聞くべきなのか、しかし実の妹を殺すような人なのかも知れない、この拍子に俺は殺されてもおかしくないのだ。
俺は迷った末に、ゆっくりと太もものポケットに入ったスマホに手を滑らせ
福田達央にバレないように119とゆっくりと押した
その時急に福田達央が立ち上がったのだ
バレたかもしれないもしバレていたら殺されるかも知れない
そんな状況で俺は警察に音量ゼロで電話をかけた。
「ふ、福田達央さん殺したってどういうことですか?」俺の声は震えていたのかもしれない。
「はい、俺が妹を殺しました。」福田達央は震えた声で目をキョロキョロしながら言った。
「ここ、町役場でこんな話をするのは物騒ですね。」俺は警察に場所を伝えようと必死に言葉を発したら不自然になってしまった。
バレただろうか、ここは町役場だから人も多いし殺されることはほぼないが福田達央が1人殺したらもう2人目も同じと言う理論で俺を殺しにくるかもしれない。
殺されないとは言い切れない。
数十分後警察が到着し福田達央は連行されて行った。
俺は、とてつもない恐怖から解放され安心したのかそのまま床に崩れ落ちてしまった。
あのあと警察から聞いた話だと、殺した手口は福田美羽の首をハチマキで絞め、ハチマキは捨てたと言っているらしい。発言に矛盾は無いし、合鍵も持っているという事だった。
さらに、福田達央の携帯を調べるとまともに福田美羽と連絡をとっていなかったことが判明した。
それに加えて、動機は?と言う質問にだけは答えないらしい。
でもこれでは、12時ごろにいた男の事は分からないままだし、バックがあからさまに禿げていたことにも説明がつかないままだ。
突発的に殺したのなら凶器を捨てるのもまだ分かるが、連絡もまともにとっていない妹に突発的殺す理由が分からない。
その後も福田達央の行動について色々聞いた。
すると、よく考えると矛盾があることに気がついた。
福田達央は福田美羽を殺したのは4時半ごろだと言っていた。
しかしそれでは、犯行自体が“不可能”なのだ。
殺されたのは午後3時〜5時の間だ、殺した時間に問題はない、しかし、町役場の人に聞いた話だと福田達央は午後4時半に仕事場を上がり午後5時のチャイムと共に1度、町役場に忘れ物取りに帰って来たらしい。
福田美羽の住んでいるアパートから町役場まで10分は掛かる。
しかも犯行が早くて8分で終わるとしてもその日は雨だったから自転車を使う事はほぼ無いだろう。
しかも、福田達央は車を持っていなかった。
そもそも免許すら持っていない。
福田達央はなぜ嘘をついているのか、
嘘をつく理由として挙げられるのは3つだ。
1つ目は誰かを庇っている、と言うことだ。しかし、妹を殺した犯人を庇う理由があるだろうか。
2つ目は福田達央が庇っているのではなく庇わされている、つまり、福田達央は何だかの理由で誰かにはめられていると言うことだ。
3つ目は犯行時刻は全くの嘘で、その矛盾に気が付かせるように仕向け誰かを庇ってたと思わせて無罪になる。つまり、福田達央はもっと前に福田美羽を殺しており、わざと矛盾が発生する時刻に犯行をしたと嘘をついたと言うことだ。
すると、スマホに一件の通知が届いた。
和馬からだった、そこには
「悠一を待たずに原義十の家に事情聴取に櫻井百合香と一緒に行った。そしたら、櫻井百合香が12時ごろ部屋で見たのは間違いなくこの人だって言ってたんだ。
しかも、原義十は12時ごろに福田美羽の部屋に居たのを認めた。
でも、福田美羽とはそういう関係じゃないって言い張ってる。
でも、栗崎理波の方から振って来たらしいんだ。」和馬からの長いメールを読み終わった後
和馬達はまだ福田達央が自首した事を知らなが、いずれ知る事になるだろう。
この事件何かが引っ掛かるんだよな、何か見落としている点というか
何か根本的に何かが違うような気がする。
俺は、ある人物像を作った。
犯人は合鍵を持っていなく、なんだかの理由で福田美羽を殺害してしまった。
そして何だかの方法で密室殺人事件を完成させた。
しかし、犯人には凶器を現場に置いていくことができない理由があった。
ん?待てよ
俺は一つの考えが頭をよぎった。
置いて行くことができなかったのではなく、持ち去った方が良かったのかも知れない。
もしかしたらそうなのかも知れないわざと凶器を持ち去ったのかも知れない。
そうひとつ謎が解けたような気がした。
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