コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
藤澤視点
僕は小さい頃から、
可愛らしいものが好きだった。
だから絵本の中いる「白馬に乗った王子様」なんかよりも、
キラキラと「華やかにドレスを着飾ったお姫様」に憧れている。
それはもちろん今も変わらない。
そのせいで学校ではいじめられたけど、
両親は「涼架は涼架のままでいいからね」と、
こんな僕を受け入れてくれて、
ああこれが幸せじゃなかったら何だろうってくらい心が満たされた。
だから僕も懐の深い両親のような、
理想のパートナーが欲しいと憧れていた。
簡単なことではないことくらいわかっていたが、
運命的な出会いをしてみたかったのかもしれない。
まさか「それ」が突然訪れるだなんて思わないからーーーーー
スタスタスタ
ん?
誰だろう。
新人さんかな?
足音を探すとそこには、
見たことのない人物がこちらに向かって歩いてきた。
身長は多分150cm後半くらいだろうか。
そんなに高い方ではない。
でも姿勢が良くて体幹がしっかりしていた。
ツリ目だから少し鋭く感じるキリッとした大人っぽい目に、
丸っこい輪郭の童顔で、
格好いいより可愛い印象の人だった。
目と顔の印象がまるきり正反対で、
初対面なのにもっと彼を知りたくなる。
すれ違う瞬間に彼と目が合うーーーーー
ドキッ
え?
なんだろう。
彼を見ているとすごくドキドキする。
「どちら様?」
僕の視線に気づいたのか、
わざわざ立ち止まってくれた。
想像よりも低く渋みのある声で、
僕に問いかける。
問いかけられて気付いた。
え?
この日本でミセスを知らない人なんているの?
ライブだけじゃなくテレビ出演も、
音楽番組やバラエティだけにとどまらず、
ミセスロックというラジオ番組ももっているため、
それなりの知名度があるはずだ。
なのに知らないなんてことあるの?
僕は何故だか動揺して、
言葉が出てこない。
パクパクと口が空振りするだけで、
声にならなかった。
彼がその様子を見て、
もう一度聞き返してくれた。
「すいません、
僕⋯海外生活が長くて日本の情報に疎いんです。
それで何さんですか?」
思わず彼の顔をじっと凝視した。
どう見ても日本人顔だ。
しかし仕事の拠点が海外であれば、
日本の情報は確かに手に入りやすい国と、
ネット回線が制限されている国があるのも事実だった。
そういうことであれば納得だ。
「ふ、
藤澤涼架です」
ふっと緊張の糸が緩むように鋭かった目が、
穏やかなものに変わって彼が微笑む。
少年みたいなあどけなさの残る、
それは何とも愛らしい笑顔だった。
「僕はギタリストの星崎瑠璃夜です。
よろしくお願いします」
それが彼との出会いーーーー
僕の完全な一目惚れだった。
雫騎の雑談コーナー
はい!
初っ端なんでね。
言いなりアクセル全開はしんどいので、
かんっなり短いのはご愛嬌ということで。
本編さらっといきますか?
まあ、
多様性の時代ですからね。
こういう小説が以前は本屋に全く置かれてもいなかった、
転生もの漫画くらい一般的になればいいなと、
願望を込めて鉄板ではありますが、
一目惚れネタからのスタートとさせていただきました。
次回は星崎視点です。
彼は藤澤さんをどう思ったのか?
お楽しみに〜