コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──翌朝目を覚ますと、ベッドに横たわっていた。
「あっ…れ?」
ぼんやりと目をこすると、
「ん…起きたんですか?」
私の傍らで、彼が瞼を開いた。
「私……いつの間に、ベッドに?」
半ば呆然と口にすると、
「ああ、昨夜酔いと快感とで昏倒してしまったんで、ベッドまで抱いて運んで来たんです」
そう事も無げに返されて、一気にボッと顔が真っ赤になった。
「……酔いと快感で、昏倒って……、」彼と初めて食事をしたいつかの時のような失態を、また仕出かしたことに、声を失っていると、
「何も恥ずかしがることなどは。それほど感じてくれたのなら、私も嬉しいので」
寝乱れた髪が手の平でさらりと撫でられて、よけいに赤面する。
うつむいて何も言えないでいる私の唇に、彼が指の先で触れて、
「……そんな顔をしていると、朝からその気になってしまう」
チュッとわざと音を立てて唇に吸い付いた。
「ダメ…朝からなんて……」
自分が裸なことにそこで初めて気づいて、ぎゅっと腕を巻き付けて身体の半分を覆い隠した。
「まだするとは言ってませんが、」
ふっと彼が笑い、
「……してほしいんですか?」
頬が両手で挟まれ仰のかされる。
「……意地悪……」
羞恥に涙目になる私の目尻に唇を寄せて、
両方の手を頬から首筋に滑らせると、そのまま肩から腕へすーっと撫で下ろしていき、
「キスぐらいは、許してくれるでしょう?」
私の手に指を絡めて、組み合わせるように握った。
握られた両手から彼の体温が伝わってくる。
「……ん…」
目の前で睫毛が伏せられて、唇に柔らかく口づけられると、
身体がその先を期待して、熱く高ぶってきてしまう。
「……や、ん…」
抱えられた腕の中から身を捩って抜け出そうとするけれど、
さらにきつく背中が抱き締められ、
「……逃がさない」
もうじんわりと濡れてきている脚の狭間に、片足をぐっと押し込まれた。
「…い…やっ…」
「キスだけですから」
言い聞かせるように口にして、舌先を口内に割り込ませる。
キスだけなのに、我慢し切れなくてシーツに漏れて沁み出してしまうのを感じる。
勘づいた彼に、「……キスの先も、お望みですか?」尋ねられて、
頭を横にふるふると振りたくった。
昨日の夜の気怠さもまだ身体に残ったままなのに、朝からこれ以上をされたらどうにかなってしまいそうで……。
「……気持ちが、顔に表れやすいですね」
そっと口づけて身体を離すと、
「しませんよ。あなたが嫌なら」
彼は喉の奥でくくっと笑った。
「……意地悪……」
それしか言えない私に、
「意地悪がしたくなるのです。
あなたが、可愛いので」
臆面もなく言って、またふっと微笑を浮かべる彼に、私は真っ赤になるしかなかった……。