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一つ屋根の下、地雷注意報

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一つ屋根の下、地雷注意報

7 - 第六話:「あんた、なにになりたくてここいんの?」

2025年05月04日

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その日、俺が部屋でスマホいじってたら、ドアの外から聞こえた、高めで鼻にかかった声。


「えー、マジここ?ガチで同棲してんじゃんウケる」


「同棲じゃねーし」


「え、じゃあなに?ハウスシェア?意識高」


廊下の向こうから聞こえるその声に、

俺はスマホを置いて、リビングの扉をそっと開けた。


いた。


るかと、ピンクベースに黒レースの服を着た、

見るからに“盛れてる自撮りだけ載せてそうな女の子”。


口元がやけに笑ってて、目は笑ってないタイプ。


「あ、もしかして“同居の人”?あは、ウケるー」


「……どうも」


「なにその返事。めっちゃ地味じゃん」


るかはソファに腰を下ろし、

その子は勝手にキッチンの水を飲んでから、俺の方を振り返った。


「ねぇ、あんたってさ。るかとどういう関係?」


「…ただのルームシェア」


「それ、どっちが言い出したの?」


「…俺」


「へぇ〜、じゃあさ。あんたって、なにになりたくてここいんの?」


唐突すぎる質問。

俺が言葉に詰まってると、るかが小さく舌打ちした。


「やめなよ、そういうの」


「なにー?別にさ、るかが“いいようにされてないか”気になるだけだし?」


空気が静かに濁っていく。


この子は、たぶん悪気ないわけじゃない。

ただ、自分の価値観だけでしかものを見ない人間なんだ。


「大丈夫。こっちが振り回されてる側だから」


「…あは、そっかー。そう見えないけどね?」


笑顔のまま言われたその一言が、なぜか少し刺さった。



その夜、友達が帰ったあと。

るかは珍しくソファで静かにテレビを見てた。


「……あの子さ」


「うん」


「うちのこと、“変わった”って思ってんだろうな」


「変わったの?」


「わかんない。…でも、変えたくてここ来たわけじゃない」


るかの声が、いつもよりちょっとだけ弱かった。

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