※この作品は二次創作です
ご本人様とは一切関係ございません
ご本人様とは口調が違うところがありますがご了承ください
11月1日
屋敷が燃やされた
「なんで?なんでなんでなんでなんで」
僕の周りには倒れているスマイルとシャークんがいる
なんでこんな事になったの?
屋敷を焼かれながらそう思う
「燃やせ燃やせ!」
「もっと火をつけろ!」
「裏口を塞げ!誰も逃がすな!」
僕らの屋敷の外から街の人たちの声がする
「この化け物共が!」
「こんなのが街の近くに居ただなんておぞましいわ!」
「死ね!化け物ども!」
なんでそんな酷いこと言うの?
「お前らは悪魔だよ、いつからこの街を狙っていた!」
違う違うよ僕達は化け物じゃない…
僕は化け物でも他のみんなは…
「きんとき!裏口はどうだ!」
きりやんが大声できんときにそう聞く
「ダメだ塞がっている!」
さっき言ってたもんね塞げって
「水道も止まってるよ!」
nakamuが息を切らしながらそう言った
いつの間に止められたんだろう
スマイルとシャークんの手首を触って生きているかどうか確認する
微かに本当に微かに脈が動いているのを確認できた
「ぶるーく!2人は…!」
nakamuが心配しながらそう聞いてくる
「まだ生きてるよ」
そう言うとnakamuはホッとしたかのように胸をなで下ろす
しかしそんな安心もすぐ消えてしまう
ボワボワっと火が強くなっていく
「クソ!なんでこんな事に…」
きりやんがそう言い捨てた
なんでこんな事に…?
そんなの決まっている
僕のせいだ
「ごめんなさい」
「え?」
3人が同時に僕を見る
「僕が街に行き過ぎたんだ」
「顔を覚えられていた。みんな顔が大人っぽくなっている中で僕だけ何も変わってなかった」
「幼めの顔って言い済まされないほどの年月が流れちゃったんだ」
「そしてみんな異変に気づいたら」
「決定的だったのは僕の噂がまだあったこと。みんなが知っている噂は昔むかしからの言い伝えだったんだ」
「子供達には呪われるって言って大人になったら本当の事を言う予定だったんだ」
「不老不死の化け物がいるってことを、そしたら肝試しに行く人なんて居ないでしょ」
「街の人は積極的に僕と関わることを避けていた」
言葉が溢れ出す
うずくまっちゃいけない状況だと分かっていてもうずくまってしまう
体が震えていることが分かる
点と点が繋がってしまった
昔の人達は気づいてたんだ
ここに不老不死の化け物が住んでいることが
それで昔の人達は極力関わらないようにした
関わったら呪われる殺されるそう脅えて思い込んだ
それを後世に伝えた
呪いの屋敷という御伽噺として
街の人は僕の姿が変わらないことに違和感を感じた
それで御伽噺の化け物だと気づいたんだ
「ごめんなさい、」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
そういうしか無かった
「大丈夫大丈夫だよ、ぶるーく」
そう言ってnakamuは僕を抱きしめてくれる
「なかむ…」
「誰もブルークを恨んでいないよ」
「死ぬのは避けきれない運命だ」
彼はそう言って微笑む
「ここまで生きれたのはブルークのおかげ」
「nakamu!ブルーク!もう火がそこまで行ってる!」
きんときの叫び声が聞こえる
彼の言う通り火は僕らのすぐ側まで近づいていた
「nakamu…火が後ろに…」
「通りで暑いと思った」
そう言って彼は笑った
彼らしくない見え見えの痩せ我慢だ
「nakamuどーするんだ?」
すぐそばに居るきりやんがnakamuにそう聞いた
彼はもう覚悟を決めたようだった
「あーもういいよ」
nakamuはそう言いながら寝転がる
「nakamu?」
きんときと僕は不思議そうに彼を見つめる
「諦めよう」
スマイルがこんなこと聞いたら怒るんだろうなぁ
と彼は呟く
「もう息をするのも精一杯、逃げ道は全部塞がられていて逃げられない」
「もう無理だよ」
あははと彼は乾き笑いをこぼした
「最後にお願いがあるんだよ。みんなに」
「ねぇ最後だなんて言わないでよ」
「もっともっと僕と一緒に生きてよ」
僕を置いていかないでよ
そんな僕を見てnakamuは呆れたように笑った
「ブルークって本当に寂しがり屋だなぁ…」
「大丈夫、また会える。約束だ」
そう彼は言った
嫌だ嫌だ…
涙が止まらない
もう失いたくない
まだ一緒にいたい
僕はまだ…
まだ生きたい
みんなと一緒に
「それでnakamuお願いって?」
泣いている僕を横目にきんときがそう聞いた
「寝よう、みんなで、さ」
彼の芯のある声は弱々しく彼が得意な大声ももう出せなくなっていた
「初めて俺たちがあった時みたいに…」
彼を見ると目の焦点があっていない事が分かる
もうすぐお別れだ
そう直感した
「僕に寂しがり屋とか言って寂しがり屋はどっちだよ」
声がありえないほど震えている
本当に、どんだけ寂しがり屋なんだ…
みんな一緒の所で死にたいだなんて
「nakamuとブルークが寂しがり屋だから仕方ないなぁ」
ときんときときりやんは笑ってくれた
「まぁいいんじゃないか?これが夢の可能性もあるしな」
そうきりやんは笑う
「そーそーもしかしたらこれは初めて会った日に見ている夢かもしれない」
「そうかもしれないね〜!夢から起きてもよろしくね」
あぁ…冗談を言えるのもこれで最後か
きりやんはスマイルを
きんときはシャークんを運ぶ
「冷たいな…」
ボソッときりやんはそう呟いた
「こんなに暑いのにね」
そう言ってきんときは笑うけどその目は少し涙を浮かべていた
スマイルとシャークんを端にしてみんな初めて会った時のように眠る
火が近づいてくる
きりやん達が使っていたキッチンも
nakamu達が愛用していた掃除用具も
僕らが毎日苦しめられた洗剤も
思い出の日記も写真も
ゲームも
ソファーも本も
全部が焼けて灰になる
暑い、暑い、暑い暑い暑い暑い暑い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い
火が近づくのを感じながら僕は意識を手放した
目を開けると綺麗な青空が広がっていた
あぁ…死ねなかったんだ
服も燃えていた
しかし何故か僕の体は傷一つもついていなかった
あんなに熱かったのに肌寒いと感じてしまう始末だ
「あぁ…」
なんで生きてるんだ
「死にたい!生きたくない!疲れた!辛い!」
あの子達と会う前日に放った言葉を繰り返す
もしかたらあの日に戻るかもしれない
もしかしたら…!
「死にたい!生きたくない!疲れた!だるい!」
どんなに大声で叫んでも誰も返事してくれない
「死にたい!」
声ががさつく
「生きたくない!」
喉が詰まる
「疲れた!」
水が欲しい
「だるい!」
こんなに苦しんでるのに、死ねない
「死にた…!」
その瞬間、咳き込んでしまう
こんな言葉も言えないほど喉には限界がきていた
「なんで…」
「なんで、生まれてきたんだろう」
体の75%は水でできているらしい
だけど僕の中に水なんてない
それでも僕は生きている
街の人たちの言葉を思い出す
「化け物ども、かぁ」
ガサガサした声で呟く
確かにそうだなと思ってしまった
なぜならこんな事になっても尚生きてしまっているのだから
だけど
彼らは化け物なんかじゃない
ただの優しい子供なんだ…
僕と一緒に居てくれた、ただの…
そういえばあの子たちの死体はどうなったんだろう
ふと思って自分の周りを見回す
けれど何処にもなかった
「なんで?」
なんで無いの?
確かに最後まで皆と一緒に居たはずなのに
なんで…?
「僕には彼らの死体に会う権利すら無いのかよ…」
それはそうか
彼らが死んだのは僕のせいなんだから
自業自得だな
自嘲気味に笑ってしまう
「ごめん、なさい」
そう言っても誰も何も返してくれない
抱きしめてもくれない
あの時のnakamuの肌の温かさを今でも鮮明に覚えている
あれが最後だったんだ
抱きしめられるのは
もう誰も一緒に居てくれないんだ
もう二度と彼らには会えないんだ
そう思った瞬間
口から雄叫びに近い何かの声が出ていくのがわかった
何度も何度も何度も
逃げられるはずのない現実から逃げるように、僕の口から言葉にならない叫びが溢れ出す
それを止めることはできなかった
あれから数百年がたった
燃えた屋敷には木が生えてきて次第にそこは森の一部となっていった
そして僕は木にもたれかかって座っていた
何をする訳でもなくただぼーっと空を見ている
理由は簡単
何もしたくなかったから
何も考えたくなかったから
何かしようとすると頭の中に彼らが浮かんでしまう
彼らは僕の脳裏に蔓延ってしまったんだ
ずっとずっと…
これはきっと神様からの罰だ
これまでの僕は幸福すぎた
だから神様が罰として僕から彼らを奪ったんだ
本当に神様って
無慈悲だなぁ…
「ねぇ、なかむ」
ふと彼の名前を呼んでみる
「シャークん」
「スマイル」
「きんとき」
「きりやん」
大好きな彼らの名前を呼んでしまう
涙が頬をつたっている
会いたいよ
そう思ってしまった
また馬鹿なことして遊ぼうよ
イタズラしたり散歩したりゲームしたり
いっぱい馬鹿なことしようよ
なんで誰もいないの…
「君らのいない人生なんてつまんないよ…」
ずっと彼らとの思い出に浸って居たいなぁ…
彼らの顔を思い浮かべて思わず俯いてしまう
「お兄ちゃん泣いてるの?」
幼めの声が聞こえた
やめてくれよもう誰とも関わりたくないんだ
顔を上げたくない
「何か悲しいことでもあったの?」
その子は僕の気持ちなんか気にせずグイグイ話しかけてくる
君にはわかんないよ
「おれが聞いてあげる!なんでも話して!」
なにか話せるわけないじゃん
君には到底理解できないことだよ
「お兄ちゃんもしかしてどこか痛くて泣いてるの?」
いたいのいたいのとんでいけー
と彼は言った
別にどこも痛くないよ
苦しいだけ
悲しいだけ
寂しいだけ
とてつもない孤独感に襲われてるだけだよ
「痛いのなくなった?」
「お兄ちゃんもしかして耳が聞こえないの!?」
僕が何も反応しなかったからか彼はそう思い込んだ
「おれ手話とかわかんないよ…」
彼の戸惑ってる声がする
さっさとどっか行ってよ
お願いだから…
「なかむーなにしてんのー!」
「あ!きりやん!」
え?
思わず顔をあげてしまった
「nakamu…?」
その顔は幼くなっているが間違いなくnakamuだった
「お兄ちゃん喋れたんだ!」
よかったぁ
と喜ぶ彼は今まで見てきた彼の笑顔と一緒だった
そしてさっき声のした方を見ると幼くなったきりやんが居た
「みんなはどうしたのー?」
とnakamuはきりやんに聞く
「おまえが迷子になったからみんなで探していたの!」
と怒りながら言うきりやんにどこか懐かしさを感じた
「ねぇ君たち」
声をかけてしまった
「ん?」
2人は不思議そうに僕を見る
「えっと」
なんて言えばいいんだ…
えっと
「僕も君たちと仲良くなりたいなぁ」
「なんて…」
やばい僕不審者だ
きりやんも変な目で見てくるし!
終わった!
また街の人達に殺される!
そう絶望していた時だった
「いいよ!」
とnakamuが言ってくれた
「え?」
「おれ達といっしょに遊ぼう!」
そう言ってくれた
「おい!なかむ大丈夫なのか?」
変な人には話しかけるなって言われただろ!
ときりやんが怒る
「だって、この人困っているし、困ってる人は助けろって言ってたもん!」
「それに、この人はいい人な気がするの!」
そう言ってnakamuは真剣な目できりやんを見つめる
「はぁ…」
きりやんは呆れたかのようにため息をついた
「わかったよけど危険だと思ったらすぐに大人たちに言うから!」
「ありがとうきりやん!」
そう言ってnakamuはきりやんに飛びつく
nakamuってちっさい時はボディータッチ多めの子だったんだろうなぁなんて思ってしまう
「お兄ちゃん名前なんて言うの?」
nakamuがそう聞いてきた
名前…
「ぶるーく」
数百年前に君たちが呼んでくれた名前をもう一度
「ブルーク!よろしくね!」
そう言って彼は手を差し伸べる
「うん、よろしくnakamu」
彼の手を握りしめた時僕は決意した
もう二度と君たちを老衰死以外で死なせない
僕が守ってみせると
to be continued…
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