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「欧華。お前、まだ生まれたばっかだから家も無いだろ?私の家に来ると良い。主もそう言うのでは怒らないからな。逆に歓迎するだろう」
ニカッと笑って、先程の、深みがあって、少し悲しそうな雰囲気を無かったかのような仕草を蘭華さんは見せました。
「そうですかね。ならば、御言葉に甘えさせて頂きます」
「おう!甘えろ甘えろ!」
蘭華さんはとても気さくな方の様です。
「と言っても、そのヒールで連れ回すのは流石にあれか、駄目か」
ハハッと笑って、蘭華さんはくすんだ赤色の上着の内ポケットから手鏡を取り出しました。
「ドール全員に能力があるのは知ってるだろ?」
蘭華さんは手鏡を綺麗に拭きながらそう尋ねました。
「はい」
「私の能力は鏡世界(キョウセカイ)って言って、鏡同士を扉みたいにして、他の鏡と繋げて移動できるんだ。他にも、鏡の中の空間を部屋みたいにして使ったりもしてる」
手鏡を拭き終わったのか、満足そうに蘭華さんは、微笑みました。
「さぁ、鏡を通って私の家へ行くか。場所は、玄関でいいかな」
そう言って、蘭華さんは手鏡に触れました。その瞬間、手鏡はピカ〜と光出しました。
「行くぞ~」
蘭華さんに手を掴まれて、そのまま二人揃って手鏡の中に入ったみたいです。
鏡の中は、木のような質感の廊下が伸びていて、そのあちこちに鏡が置かれていました。鏡の上には、「huis」や「park」、「handspiegel」と、どれもオランダ語で書かれた木札が置かれていました。
「此処だな」
そう言って、蘭華さんは「Ingang」と書かれた木札のある鏡の前に止まりました。
「ちょっと、まぶしいぞー」
そう言いながら蘭華さんは私の手をナチュラルに掴んで又、ピカーと光る鏡に入りました。
鏡から出てきて始めに蘭華さんは「Ik ben thuis~」と言いました。オランダ語で「ただいま〜」と言っているのでしょう。
欧州の国々の言語は知ってますからね。
「Welkom terug~」
そんな事を考えていると、奥の部屋からおっとりとして、ふんわりとした雰囲気の声が返ってきました。「おかえり~」だそうです。