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「Welkom terug~」
 そんな事を考えていると、奥の部屋からおっとりとして、ふんわりとした雰囲気の声が返ってきました。「おかえり~」だそうです。
 蘭華さんに連れられるがままに家の中を進んで行くと、リビングに着きました。そこにあったソファーには、ふんわりとした雰囲気の国の化身が優しく笑いながら此方を向いていました。
 「主、ただいま〜。此奴は欧州連合のドールの欧華だ。今日生まれたばっかみたいでさ、家が無いから家で面倒見ても良い?」
 とても軽いノリで蘭華さんは蘭華さんの主さん、ですから、ネーデルラントさんですね。その方に尋ねました。
 「蘭華〜おかえり~。そっか〜、家が無いのか。そりゃ大変だ。欧華、君が良ければだけど、蘭華の気が済むまで一緒に暮らそう?」
 何処までもふんわりとした化身ですね。それが、ネーデルラントさんへの第一印象でした。
 こんなおっとりとした化身が元覇権国だなんて、信じれませんよね。
 「いえ、逆に私が泊らせてもらってる様なものですし」
 「一緒に暮らしてくれるんだね?なら良いよ。僕はこれからお昼寝だから〜」
 私が謙虚になると半分強引にネーデルラントさんと蘭華さんと共に暮らすことになりました。ネーデルラントさんはゆっくりと右手をユラユラと揺らしながら自室と思われる部屋へ向かいました。
 ネーデルラントさんの初めの一言には少し、威圧感があったような気がします。流石、元覇権国と言うべきですね。
 良く寝るのは、スペインさんの方では?なんて、まだ出会ってすらいない化身の話しを思い出したのは秘密ですね。
 「私の気が済むまでって、あの主、私の事なんだと思ってんだよ」
 苦笑いを浮かべながら蘭華さんは愚痴を零していました。
 「ですが、とても信頼されてるではないですか」
 そんな事を言っている蘭華さんに向けて、私はそう言いました。
 「だって、見ず知らずの私を蘭華さんの紹介だけで当たり前かのように共に暮らそうと言っているのですから。相当信頼されて無ければ、そんな事できないはずです」
 そっと微笑んで言うと蘭華さんはハハッと笑って、「そうだな」と笑いながら返してくれました。
 「じゃあ、欧華の部屋を案内しよう!そして一緒に掃除しよっか」
 そう言って、蘭華さんはニカッと笑いました。
 もしかして、ネーデルラントさんは掃除から逃げたのでしょうか。
 「えぇ」
 掃除はそれ程好きではないはずなのに、何故かこの時、私の口元はほころびました。
 私はそうして客間に連れられました。思っていたよりも客間は埃を被っていて、物は散乱してました。
 「そういや、最近時間が無くて、なかなか手を付けてなかったな」
 ハハハ、と乾いた笑い声と、泳ぎ過ぎている蘭華さんの視線から、多少は申し訳ないとは思っているようです。
 「頑張りますか」
 私も笑顔をなかなかしっかりと向けれませんでした。
 それから数時間後。
 「お、終わったー!」
 蘭華さんはグッと背伸びして手に持っていた雑巾をバケツの中に綺麗に投げ入れました。
 「大変でしたね」
 「これからは定期的に掃除するわ」
 蘭華さんは、苦笑いを浮かべつつも楽しそうに笑っていました。
 そんなこんなで、私達は楽しく暮らしていました。