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絶対辰哉
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宮舘が「真実を知る」と決めた翌日。
空はどんよりと曇っていた。
雨が降りそうな空模様は、まるで二人の心を映しているようだった。
────────
❤️side
「おはよう」
楽屋へ入る。
翔太はまだ来ていない。
昨日のことが頭から離れなかった。
『まだ言えない』
あの一言。
今までなら、翔太は何でも話してくれた。
喧嘩した日も。
仕事で悩んだ日も。
デビュー前に不安で眠れなかった日も。
全部。
なのに今回は違う。
“話せない”じゃなくて、“言えない”。
そこに大きな違いを感じていた。
💜「舘さん?」
❤️「ん?」
💜「ぼーっとしてる」
❤️「少し考え事」
💚「珍しいじゃん」
宮舘は苦笑する。
そうだ。
考え込むタイプじゃない。
でも今は。
考えずにはいられなかった。
────────
その頃。
💙side
病院の駐車場。
翔太は車の中でハンドルを握り締めていた。
診察を終えた母を家まで送り届けた帰り道。
時計を見る。
仕事には間に合う。
でも。
気持ちが追いつかない。
「翔太」
助手席の母が静かに口を開く。
「涼太くんには話した?」
💙「……まだ」
「言わないの?」
💙「言えない」
「どうして?」
翔太は少し笑う。
💙「あいつなら止めるから」
「当たり前じゃない」
💙「だから言えないんだよ」
もし話したら。
涼太はきっと。
「一緒に考えよう」
そう言う人だ。
でも。
翔太はもう決めていた。
誰にも背負わせない。
これは自分だけの問題だから。
────────
昼。
テレビ局。
翔太が楽屋へ入ると、メンバーが一斉に顔を上げた。
💜「おはよー」
🧡「ギリギリやなぁ」
💚「間に合ってよかったじゃん」
💙「悪い悪い」
荷物を置く。
自然と宮舘と目が合う。
昨日のことがあったからか。
お互い少しだけ気まずい。
でも。
宮舘は何も言わなかった。
それが逆に苦しかった。
────────
今日は雑誌の表紙撮影。
二人ずつ順番に撮影していく。
「次、渡辺さんと宮舘さんお願いします」
呼ばれてスタジオへ入る。
白い背景。
カメラマンが笑顔で指示を出す。
「少し距離近めでお願いします」
二人が並ぶ。
肩が触れる。
昔なら何も思わなかった距離。
今は少しだけぎこちない。
「宮舘さん、渡辺さんの肩に手をお願いします」
❤️「はい」
そっと肩へ手が置かれる。
温かい。
昔から知っている温度。
「渡辺さん、もう少し宮舘さんを見てください」
視線を向ける。
宮舘もこちらを見ていた。
目が合う。
「いいですね!」
「そのまま!」
シャッターが何度も切られる。
周りから見れば。
いつものゆり組。
息ぴったりな二人。
でも。
翔太の胸の中だけは違った。
(こんなの反則だろ……)
離れようとしている相手に。
こんな優しい目を向けないでほしかった。
────────
撮影が終わり、休憩に入る。
翔太は一人、自販機へ向かった。
缶コーヒーを買おうとして財布を取り出す。
その時。
「それ」
後ろから声がした。
振り返る。
宮舘だった。
❤️「今日は俺が買う」
💙「いやいいって」
❤️「いいから」
百円玉を入れる。
温かいお茶が落ちてくる。
❤️「はい」
またお茶だった。
翔太は苦笑する。
💙「またコーヒー禁止?」
❤️「今日は」
💙「今日は?」
❤️「顔色悪いから」
翔太は受け取る。
缶の温かさが手に伝わる。
💙「……ありがと」
少しだけ沈黙が流れる。
そして。
宮舘が静かに口を開いた。
❤️「昨日はごめん」
💙「え?」
❤️「無理に聞いた」
💙「……」
❤️「言いたくなったらでいい」
❤️「でも」
❤️「俺は待ってるから」
その言葉だけを残して。
宮舘は先に歩き出した。
追いかけない。
振り返らない。
ただ。
翔太が自分から来てくれる日を信じるように。
────────
💙side
“俺は待ってるから”
その一言が頭から離れない。
昔からそうだった。
涼太は急かさない。
答えを押し付けない。
ただ。
隣で待っていてくれる。
だからこそ。
言えない。
言った瞬間。
その優しさを失う気がして。
翔太は温かい缶を強く握り締めた。
その夜。
机の上に置かれた封筒を開く。
一番上の書類。
そこには大きく書かれていた。
『退所に関する契約確認書』
翔太は静かに目を閉じる。
もう。
後戻りはできないと思っていた。
だけどその頃。
宮舘もまた、自宅で一枚の写真を見つめていた。
幼い頃。
公園で笑い合う二人の写真。
「絶対、一人で行かせない」
誰にも聞こえない声でそう呟く。
二人の想いは、少しずつすれ違いながら。
静かに運命の日へ近づいていた。
コメント
2件
病院に行ってたからタヒだと思ってたけど退所…? てかどっちも…?
ああーっ、もうダメだ……胸がぎゅっとなるエピソードでした。涼太が「待ってるから」って、急かさずに背中を押すような言葉を残すところ、本当に彼らしい優しさだなって思いました。それに対して翔太が「言った瞬間、その優しさを失う気がして」と握りしめるお茶の缶……あの温度、すごく伝わってきました。お互いを想えば想うほどすれ違うもどかしさ、でも二人ともちゃんと相手を大事に思ってるのが透けて見えて、切なくてたまらなかったです。