テラーノベル
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翌日の午後。
学校中がざわついていた。
「目黒、まだ見つかってないらしい」
「やばくね?」「事件じゃん」
笑いながら話すいじめグループの声が、
康二にはもう遠い雑音にしか聞こえなかった。
(もう、蓮をあそこに戻す気はない)
教師も警察も動き始め、
学校の空気はどんどん騒がしくなっていく。
そのころ、
小さなワンルームの部屋では——
目黒蓮が毛布にくるまり、静かに息をしていた。
康二の上着に顔を埋め、
どこか安心したように眠っている。
昨日までの怯えた目じゃない。
“康二のそば”だとわかっている穏やかな顔だった。
康二はそっとその髪を撫でながら、
ひとつ、深い呼吸を落とした。
「蓮、起きてる?」
目黒はゆっくりと目を開ける。
「……起きた。康二くん、帰ってきたの?」
「うん。なあ、蓮」
康二は、目黒の手を包み込むように握った。
「このまま、一緒にここ出よか」
「……出る?」
「学校も、家も、全部。
もうお前を苦しめる場所から離れよ」
目黒の目が揺れた。
「……でも、俺……逃げてばっかで……」
「逃げてええやんか」
康二の声は驚くほど柔らかかった。
「逃げるんは悪いことちゃう。
お前一人で耐えてきたんやから。
今度は、俺が蓮を守る番や」
目黒は唇を噛み、
肩を震わせた。
「……康二くん……俺……」
「蓮、見て」
康二がそっとその頬を支える。
「俺には蓮が必要や。
蓮がいないと、俺が壊れる。
だから……一緒に生きてほしい」
その言葉に、
目黒の目からぽろりと涙が落ちた。
「……うん……うん……
康二くんと……行く……
康二くんのいない世界、俺もう嫌だ……」
康二は目黒を強く抱きしめた。
「ありがとう。
蓮、生きててくれて……ありがとう」
⸻
***その夜
ふたりは最低限の荷物だけをまとめ、
静かにアパートを出た。
外の空気は冷たかったが、
目黒は康二の手を握るだけで
震えが止まった。
「どこ行くの?」
「遠く。誰も蓮を知らんとこ。
ふたりでまた始められる場所」
「……うん」
目黒の声はかすかに震えていた。
でも、目はまっすぐ前を向いていた。
駅へ向かう道の途中、
ふたりの影が並んで伸びる。
その影は、
もう“ひとりぼっちの影”じゃなかった。
⸻
電車に乗り込むと、
目黒は康二の肩にもたれ、小さく息をついた。
「康二くん」
「ん?」
「俺ね……はじめてだよ。
逃げてもいいんだって思えたの」
康二は微笑んだ。
目黒の手をそっと握り直す。
「蓮はもう逃げてへん。
“選んだ”んや。俺と一緒に生きるって」
目黒はその言葉に、
静かに笑った。
「……幸せって、こういうことなんだね」
「そうや。これからもっと増やしたる」
電車が遠ざかる。
ふたりの過去と、痛みと、孤独と、嘘と、傷を
全部置き去りにして。
行き先表示には
知らない地名が流れる。
けれどそれは、
ふたりにとって“救い”の名前だった。
手と手がしっかり繋がったまま、
二人は新しい朝へ向かっていく。
もう、誰にも壊されない。
もう、離さない。
——ふたりだけの世界で、生きていく。
完
これで終わりになるんですが番外編出します!!!
いいねください!!!
ライブライブのめめこじえぐかったですね
ほぼ付き合ってましたよねあれ((
コメント
4件
うわ最高だったよ😭😭‼️ めめが彼女側なのあんま見たことなかったからなんか不思議な感覚🥹🥹
はい!めちゃめちゃ幸せでしたっ🥹💖
初コメ失礼します! こじめめ最高すぎますッ🥹💖 めめが彼女なの大好きなんですッ♡ ライブライブみました! あれヤバかったですよね?! 他のメンバーもイチャイチャしてて最高でしたッ✨