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楽屋の扉を開くと、あくびをしながら眠そうにしている渡辺がいた。
佐久間「お、今日早いじゃん」
渡辺「グループの仕事だから、俺早めに出ないとって」
佐久間「あー、早番か〜笑」
渡辺「佐久間も早いな」
佐久間「たまたま!家でじっとしてらんなくてさ〜」
バッグを置きながら、軽い調子で笑う。
渡辺「落ち着きないな」
佐久間「翔太に言われたくないわ笑」
渡辺「俺は静かだろ」
佐久間「顔がうるさい」
渡辺「は?」
佐久間「今の、めっちゃ不機嫌そう笑」
渡辺「……別に」
佐久間「いや絶対なんかあるでしょ。さっきから目合わせてくんないし」
渡辺「合わせなくても話せるだろ」
佐久間「そういうとこ!」
渡辺「どこ」
佐久間「壁作るとこ」
渡辺「作ってねえよ」
佐久間「作ってるって。前より」
沈黙が一瞬、楽屋に落ちる。
佐久間「……ねえ翔太」
渡辺「何」
佐久間「俺、なんかした?」
渡辺「してねえ」
佐久間「じゃあなんでそんな顔」
渡辺「……お前さ」
佐久間「うん」
渡辺「鈍いんだよ」
佐久間「え? 何が?」
渡辺「なんで分からねぇんだよ」
佐久間「言わないと分かんないし」
渡辺「だろうな」
佐久間「なんで怒ってんの?」
渡辺「怒ってねえ」
佐久間「じゃあ拗ねてる?」
渡辺「違う」
佐久間「じゃあ嫉妬?」
渡辺「……は?」
佐久間「図星?」
渡辺「調子乗んな」
佐久間「でもさ、翔太ってたまに変だよね」
渡辺「どこが」
佐久間「俺のこと、めっちゃ名前出すじゃん」
渡辺「事実だろ」
佐久間「付き合いたいメンバーとか、結婚したいメンバーとか」
渡辺「……」
佐久間「全部俺じゃん」
渡辺「嫌?」
佐久間「嫌じゃないけど」
渡辺「じゃあいいだろ」
佐久間「でもさ、翔太は本気じゃないじゃん」
渡辺「……なんで」
佐久間「冗談っぽいし。ツンツンしてるし」
渡辺「表で甘くしてどうすんだよ」
佐久間「え?」
渡辺「裏で全部飲み込んでんだよ、こっちは」
佐久間「…翔太?」
渡辺は冷たい口調で言いながらも距離を詰めてくる。
渡辺「他のやつに触られて笑ってるのも」
「スキンシップだって」
佐久間「……」
渡辺「俺、普通に無理だから」
佐久間「お前らしくないじゃん! 」
渡辺「逃げんな」
佐久間「な、なにが?」
渡辺「こっち見ろ」
佐久間「……」
渡辺「目逸らすな」
そう言いつつ、佐久間が一歩下がる前に、腕を壁につく。
佐久間「翔太、近……」
渡辺「今さらだろ」
佐久間「ちょ、待って、心の準備」
渡辺「いらねえ」
佐久間「翔太――」
渡辺「一回だけ」
佐久間「……一回だけ?」
渡辺「それで嫌ならやめる」
佐久間「……」
渡辺「佐久間」
佐久間「……なに」
渡辺「俺、お前のこと大好きだから」
沈黙。
息が、近い。
佐久間「……それ、今なの?」
渡辺「今じゃなきゃ言えねえ」
佐久間「……」
渡辺「拒否しないならするからな」
佐久間「……」
ゆっくり、距離が縮まる。
佐久間「…翔太」
渡辺「何」
佐久間「キス…慣れてないから」
渡辺「俺もだよ」
佐久間「嘘」
渡辺「お前相手はな」
静かに、唇が触れた。