テラーノベル
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寒い駅からとりあえず最終の新幹線に乗って東京とは違う寒さを味わいながらタクシーで移動して。
ホテルをとって朝イチに会うためにベッドに入ろうとした時に着替えも何にもないことに気づいて明日買いに行かなくちゃと少し笑ってしまった。
りょうちゃんに会えたら何を話そう。
何て聞こう。
不安と期待が入り混じる。
色々考えている間に気付けば朝日が登りかけてる、そう思いながら少しだけ目を閉じた。
若井が教えてくれた病院は大きくて新しい病院だった。受付で部屋の番号を伝えて教えてもらいコンコン、とドアをノックする。
まだ信じられなかった。
りょうちゃんに会えることも、病院で再会することになることも。
嬉しさと戸惑いが交差する。
「はい」
しっかりしたりょうちゃんの声にホッとする。深呼吸をしてドアを開ける時中は明るくて綺麗な個室だった。
「···久しぶり」
「久しぶり。元貴···本当に、来てくれたんだね」
若井から聞いていたんだろう、驚いた様子はなくて微笑むりょうちゃんは少し痩せたけど変わらず綺麗だった。
寒さもあってか肌が透き通るように白くて髪が黒い分より白さが際立って、消えてしまいそうに儚く見えて俺はすぐに近づけなかった。
触れようとすると幻みたいに消えてしまうんじゃないかって思ってしまって。
「···若井にはりょうちゃんのこと責めないでって言われたけど」
「うん」
「嫌味くらい言ってやろうかとか、泣いてやろうかとか色々考えてたけど」
「うん、いいよ」
「なんか全部忘れた。会えて嬉しいしかないんだ。大好きなんだよ···」
りょうちゃんがそっと腕を広げた。
付き合ってた時みたいに、俺の全部を受け入れてくれるみたいに。
やっと帰れる、りょうちゃんのところに。俺のいるべきところに。
「りょうちゃん···会いたかった」
「僕も会いたかったよ、忘れたことなんてない。毎日毎日どれだけ元貴のことを考えてたかわからない」
しばらく言葉も出せずに2人抱きしめあっていた。
離れていた分を取り戻すように、お互いの存在を確かめるように長い間、ただひたすらに。
そして落ちついてゆっくりりょうちゃんの話を静かに聞いた。
辞めた理由も別れた理由も本当のことを受け入れるのには少し時間が必要だった。そして同時にりょうちゃんに残された時間は長くないことも知った。
「病気になって···色んなことを考えた。もちろん元気になりたかった、治したかった。けど元貴の夢をね、僕のせいで壊したくはなかった」
りょうちゃんは治療のために脱退したこと。その姿を俺に見せたくなくて、俺の邪魔にならないように嘘をついたこと。
···そして、もう出来ることは尽くして全てを受け入れてここで終わりを迎えようと思っていたこと。
「そろそろ元貴にちゃんと話しなきゃって思っていたよ、本当に。けど受け入れるまでには時間がかかったし···治ったら、言わずに済むかなって思ってたんだ···それは、ちょっと無理そうだったなぁ」
穏やかに笑うりょうちゃんを抱きしめた。
神様お願いします。
どうかこの人を連れて行かないで。
しがみつくように抱きしめる俺を俺を慰めるようにりょうちゃんは背中を撫でてくれたんだ。
来てくれてありがとうと感謝まで伝えてくれるりょうちゃんの前で俺は本当に無力だった。
コメント
5件
💛ちゃん😭 せっかく会えたのに…💦 悲しすぎます…😭

やっと会えても、選べる道が限られていると、現実ってとことん残酷だよね。そりゃあ神頼みもしたくなるわ……会えた嬉しさより、苦しさの方が倍増しちゃうもんね。
うぅ、切ないし儚い。どうかみんなが幸せな気持ちになれますように
こうもり@スランプ
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稀灯 夏成🩵🍸
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