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03.黄色い帽子とランドセル
ランドセルを背負う年齢で日本に来た。
母親の再婚と新しい命の誕生の為に兄と私は呼ばれたのだ。
今までお金だけを送ってきた母親。
数年に1度しか顔を見にも来ない母親の口から 「みんなで住みたい」と言われたのだ。
もちろん子供に拒否権なんてない。
養われているのだから。
初めて踏んだ日本の土は白く冷たかった。
新しい父親が教えてくれた。
ホワイトクリスマス
真夏の国で生まれた私が初めて見た雪は記憶に残るほど綺麗だった。
私のもう半分に流れる日本はこんなにも綺麗な国なのだと感動した。
その気持ちはどこまでも真っ直ぐだった。
慣れない土地が違う自分を歓迎するとは限らないなんて、 少しも思わなかった。
黄色い帽子と真っ赤な皮のランドセルを買ってもらった。
二学期から転入の前夜、私は帽子を被りランドセルを抱きしめて眠った。
–ホワイトクリスマス
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