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ガラガラと扉が開かれる。中には男、男、男…男しかいない新鮮な光景が見えた。
当たり前だけど、男子校ってホントに男子しかいないんだな…。
…にしても…視線が痛い……今すぐ飛び出して家に帰りたい…でも帰れない…
「お前ら今日入学式なんだぞ…髪ぐらい黒色スプレーかけとけよ…」
赤…金…緑…青……髪派手だな…黒色の髪が5人ぐらいしか見当たらない。校則緩いって聞いてはいたけど、こんな比率で派手髪が多いと思ってなかった。
「それより先生ー、その超可愛い子誰ですかー?」
超可愛い子、というのは幻聴だと思う。疲れが出たんだろう。
「あぁ、コイツは高等部からの新入生だ。仲良くして上げろよ。」
そう言って九条先生が俺の肩をポンポンと叩く。その瞬間、 教室にいた人のほとんどが俺のところに集まってきた。
………嫌な予感がする。
「えっ、ちょっと…?!」
わらわらと自分の周りに集まる人たち。嫌な予感は的中したらしい。
…もういいから1人にして…。
帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい…
「ねぇねぇLIME交換しない?」
「抜け駆けすんなアホ!学園の案内ならいつでも俺に頼っていいからな!」
「まつ毛長いねー!てか肌白っ!」
俺は聖徳太子になった覚えは無い。うざい。だるい…………歓迎はされてるのかな……
「おいおいてめぇらいい加減にしろよー。あと15分たったら入学式なんだから、さっさと廊下出て並べ 」
九条先生の声にやっとみんなが離れた。はぁ…疲れた……。
一息をついて廊下の方を見ると、皆が並び始めていた。俺も並びに行こう。確か出席番号は9番だったっけ。
『これより、私立薔薇花学園高等部、入学式を開催致します。新入生、入場。 』
アナウンスが聞こえて前の人に合わせて歩く。皆俺より背が高いのが気に食わない。かかと削るぞ。
本格的に体育館に入ると、その大きさはひと目でわかった。俺が行ってた中学校の2倍はあるんじゃないかこれ。パイプ椅子まで歩くのが辛い…。
保護者たちの顔が見える。高そうなドレスとかアクセサリーとかつけて、Theお金持ちって感じ。俺の保護者は海外へ出張に行ったから、当然いないけど、あの二人は海外旅行とか好きみたいだから、別に構わない。
やっとパイプ椅子までたどり着き、アナウンスに合わせて礼をする。早く…早く座りたい…。足がすでに悲鳴を上げている。
着席の合図と同時に座り、ふぅとため息を吐いた。
これからあのながーいながーい入学式が始まるのか……絶対寝るな…。
『続いて、生徒会長挨拶。』
よし…まだ大丈夫……もうだいぶ瞼重いけど…。
にしても…さっきから色んな方向から視線を感じるのは気のせいじゃないと思う。
高等部からの新入生って珍しいのかな。
コツコツと生徒会長が階段を上る。…絵に描いたような美人イケメンだ。むかつく。
「生徒会長の西園寺 桜だ。」
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
生徒会長が名前を名乗った瞬間、図太い悲鳴が体育館に響き渡る。悲鳴と言っても、怯えではなく喜びや興奮から来るものだと思う。
眠気が一気に消えた。
「ど、どういうこと…?」
入学式でこんなうるさいことがあっていいのだろうか…。
にしても、なんで生徒会長が出てきただけであんな悲鳴が…?
「黙れ。」
ピタッとなりやむうるさい声や話し声。あの生徒会長、完全に主権を握ってる…関わったらめんどくさそうだし絶対関わらないでおこ。
にしても、あんな漫画みたいな俺様系初めて見たぞ。見た目は良くても性格に難ありだ。
「硬っ苦しい挨拶は好きじゃねぇから一言だけ言う。新入生のてめぇら、俺に逆らうんじゃねぇぞ」
きゃぁぁぁぁ!!!西園寺様ぁぁぁぁぁ!!!!
まるでアイドルだ。ホントに帰りたい。先生たちもなんでそんなスンッて顔してんの。
バチッ
…?あの生徒会長と目があった気がした……自意識過剰かな…。
にしても、本当に腹が立つぐらいの美形だ 。
クリーム色の髪と、空色の透き通った瞳、鼻筋がシュッとしていて、細身だがほどよく筋肉もついている。ハーフだろうか。
まぁ、これから関わることは一切ないだろうけど。むしろ関わりたくない。面倒事はごめんだ。
無事?入学式が終わり、これから地獄の時間の始まりである。
「帰りたい…」
ボソッと呟いた言葉は誰にも聞こえていなかった。
あとがき
こんにちは!ち、🌸です!
深夜投稿ごめんなさい🙏💦
早速新キャラでましたね…俺様生徒会長にはとある秘密があるそうです……。その秘密はこれから先分かります🤫
今日は王道学園簡単解説コーナーはお休みです!
次回:俺の地獄な一日