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ロゼッタに『魅了』の魔法をかけたガ―レット。
彼女はガ―レットから距離を取ろうと試みた。
しかし、彼の腕を振り払うことができない。
まるで、彼を求めているかのように思えてしまう。
自分が自分ではなくなってしまったような感覚に襲われるロゼッタ。
「お前はもう俺のものだ。誰にも渡さない…!」
ガ―レットの言葉がロゼッタに深く刺さる。
ロゼッタは最後の力を振り絞り、懐に仕込んでいた仕込み刀を取り出した。
彼女は自身の身体に仕込み刀を突き刺した。
刀が肉を裂き、深々と突き刺さる。
「うああああああああああああ!」
出せる限りの大声を上げるロゼッタ。
刃が肉を裂く痛み、それを全て込めた叫びだ。
ロゼッタの叫びは、この場にとあるものを呼び寄せた。
「こっちで女の叫び声が!」
街の人の声がする。
おそらく騒ぎを聞きつけ、様子を見に来たのだろう。
「チィ!面倒な連中め…!ここはひとまず退くか…!」
そう言いながらその場を離れるガ―レット。
痛みでの覚醒、それは『魅了』の魔法の数少ない弱点の一つだった。
まさかそれを、ああも躊躇なくできるとは。
ロゼッタは、ガ―レットが想像していたよりも『強い』人間だった。
その事実に舌打ちしつつ、彼はその場を後にした。
「まあいいさ」
とはいえ、今回のことはほんの遊びに過ぎない。
とりあえずは宿に戻るか、そう考える。ガ―レット。
キョウナとルイサも待っているだろう。
宿に戻れば、すぐにでも二人を抱くことができる。
「早く帰ろう」
そう呟き、足早に歩き出すガ―レット。
だが、その途中で誰かとぶつかった。
「おっと、悪いな」
「いえ、こちらこそ申し訳ございません」
相手はフードを被った人物だった。
男は深々と頭を下げると、そのまま立ち去ろうとする。
普段なら怒鳴るところだが、今は宿に早く戻りたい。
そう考えたガ―レット。
しかし、少し気になることがあった。
「おい待てよ、ちょっといいか?」
「なんでしょうか?」
「お前はどこから来たんだ?」
「私は北の方から来ました」
この国ではなかなか見ない格好をしている。
それだけが気がかりだった。
北の方から来た田舎者か。
そう考えたガ―レットは、すぐにその場を後にする。
「そうかい、ゆっくりしていけよ」
「ええ、ありがとうございます。ゆっくりとさせていただきます」
そう言って黒ローブはその場を後にした。
妙な相手に時間を使ってしまった。
そう考えながら、ガ―レットは宿に戻った。
部屋に入ると、そこにはルイサがいた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「ああ」
「ふふ、なんてね」
「ははは」
すっかり夫婦気取りのルイサ。
今回の武術大会で上位成績を残す自信があるらしい。
ルイサを抱き寄せようとするガ―レット。
しかし、そこであることに気が付いた。
「キョウナのヤツはどうした?」
「疲れたって言って部屋で寝てる」
そう言うルイサ。
ちなみにバッシュは武術大会のために練習中。
メリーランは街で怪我をして療養中。
ミドリは食事に行っているらしい。
つまり、今この宿にいるのはガ―レットとルイサ、キョウナだけだ。
「珍しいな、あいつが…」
「どうする?」
それを理解すると、ガ―レットはすぐに行動に移った。
二人はベッドのある寝室へと向かっていった。
「よし、じゃあ俺たちも休むとするか。たっぷり可愛がってやるからな」
「うん、お願い…!」
「そうか、じゃあ早速…」
「ええ、私も楽しみにしてたから…」
二人は唇を重ね、ベッドへと倒れこんだ。
そして、夜通し愛し合う。
二人の愛の営みは、朝まで続いたのだった。
「あ…はぁ…」
「今日も良かったぜ」
「ありがと」
そう言いながら、ルイサがガ―レットを抱きしめる。
ガ―レットも彼女を優しく抱く。
「俺とリオン、どっちが勝つと思う?」
「そんなの決まってるでしょ。あなたよ」
「ははは、そうだよな!」
リオンの妹であるルイサ。
しかし、彼女は自分の方が兄より優れていると考えている。
そのことが、ガ―レットには嬉しかった。
ガ―レットも、心の中で笑っていた。
「なあ…これからもずっと一緒にいてくれるか?」
「もちろん」
そう言って、二人は夜まで愛を交わし続けた。
数日後…
ついに迎えた武術大会当日。
この日は街の外にある闘技場で試合が行われる。
街の外からでも見える巨大な建造物。
それが、この街の名物の一つである。
会場には既に多くの観客が集まっていた。
「すごい人ね」
「そりゃあそうだろ」
出場者の控室にも人がたくさんいる。
ガ―レットたちのいる控室は第二控室。
ルイサとキョウナも一緒だ。
唯一、バッシュのみ別の控室らしい。
スリューも参加するとは言っていたが、彼女はどこにいるのかは分からなかった。
「あの、ガ―レット」
「なんだ?」
「本当に大丈夫?その…緊張とかしてない?」
キョウナは不安そうな表情を浮かべていた。
それも当然だろう。
「ああ、心配すんなって」
ガ―レットの言葉に、渋々従うキョウナ。
だが、それでもどこか落ち着かない様子だった。
「おいおい、そんな調子だと勝てるもんも勝てなくなるぞ?」
「うっさい!アンタに言われなくても分かってるわよ!」
そう言ってそっぽを向くキョウナ。
そこへ、一人の男がやってきた。
「やあ、久しぶりだね」
「お前は…」
やって来たのは、ガ―レットより少し小さいくらいの少年。
年齢はおそらく彼より一回り若いといったところだろうか。
黒い髪を後ろで束ねている。
顔立ちは整っている方で、美形と言って差し支えないレベル。
体つきは細身ではあるが、しっかりと筋肉がついている。
「知り合いなの?」
「ああ、ちょっとな」
「まさかこんなところで会えるとは思わなかったよ」
「こっちも同じさ」
キョウナの質問に答えるガ―レット。
彼は以前、ガ―レットと訓練場で戦った少年。
ケルカだった。
「どうだい、調子の方は?」
「まあまあってとこかな。そっちはどうだ?」
「僕もそこそこだよ」
「そうかい」
「お互い頑張ろうじゃないか」
そう言って手を差し出すケルカ。
ガ―レットはそれを一旦は無視する。
しかし、周囲の目もある。
とりあえずは握手をしておくことに。
そこに、ルイサが割り込んできた。
「あら、貴方も出場するのね」
「そういう君は彼の奥さんかい?」
「ええ、そうよ」
そう言うルイサ。
この大会で上位の成績を収めてやる。
そう考えているルイサから出た言葉だった。
そんな二人を見つめながら、ガ―レットとケルカが話す。
「彼女、強いのかい?」
「ああ、かなりな」
「ほう、それは楽しみだ」
「あまり油断しない方がいいぜ」
「忠告してくれてるのかい?優しいところもあるんだな」
「うるせえ、俺は誰に対してもこうなんだよ」
そう言うと、二人は別々の控室へと向かっていった。
そして、ついに武術大会の幕が上がるのだ。
本戦に勝ち残るのは一体誰なのか。
その答えを知るものは、まだ誰もいない…